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印刷の基礎知識

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コラム第50回MV

はじめに

新入社員の皆さま、ご就職おめでとうございます。本コラムは、新入社員の方や、新たに印刷業務に携わる方向けに、印刷の基礎知識についてご説明します。
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1. 印刷物とは

デジタル社会がもはや当たり前となった現代においても、私たちの生活には印刷物があふれています。印刷物には、書籍、雑誌、新聞をはじめ、チラシ、カタログ・パンフレット、ポスター、パッケージ、容器に貼られたラベルなど、さまざまな種類があります。

さまざまな印刷物の例(チラシ、カタログ・パンフレット、書籍)

これらの印刷物は、基本的にシアン・マゼンタ・イエロー・ブラックの4色で構成されています。シアン・マゼンタ・イエローの3色を塗り重ねることによってさまざまな色を表現し、塗り重ねのみでは表現が難しい黒をブラックで表現します。これら4色で表現しきれない色は、特色という専用の色を使用します。

印刷物で色を表現する上で、「網点」という小さな点が用いられています。網点は点の大きさを変えることができ、それらが連続的に並ぶことで濃淡を出すことができます。

網点図

印刷物を作る印刷方式には、いくつか種類があります。大きくは「アナログ印刷」と「デジタル印刷」の2つに分けられます。これらの違いは、「版」と呼ばれるハンコの役割をしたものを使用するかどうかです。「版」を使用するアナログ印刷は、デジタル印刷と比べて印刷解像度・生産性などで優れている点があり、現在の商業印刷・出版印刷の主流となっています。
デジタル印刷は、小~中ロットの製造で活用される他、デジタル印刷ならではの金・銀などの加飾(かしょく)印刷や、バリアブル印刷でも用いられ、近年では商業印刷分野を中心にアナログ印刷とデジタル印刷を併用するケースが増えています。

図版その①

2. 印刷物ができるまで

印刷物ができるまでには、複数のステップがあります。

フローチャート

①企画・編集:どのような印刷物を制作するか企画立案し、デザインする。
②DTP:Desk Top Publishingの略で、コンピューター上で印刷物データを制作する。
③校正:印刷をする前に品質確認を行う。
④製版:コンピューターで作成したデータをもとに、版を作成する(アナログ印刷のみ)。
⑤印刷:印刷する。
⑥製本・加工:印刷後に加工し、印刷物を完成させる。

これら一連の流れを経て、印刷物が完成します。

3. オフセット印刷について

アナログ印刷方式には複数の種類がありますが、商業印刷・出版印刷で主流のオフセット印刷は、水とインキの反発を利用した印刷方式です。インキが付く画像部と、水が付く(インキが付かない)非画像部があり、色を出したい部分にのみインキを付けることで印刷物の絵柄を作ることができます。

イメージ図①

オフセット印刷では、「刷版(さっぱん)」というアルミの版を使用します。刷版から紙に直接印刷せず、ブランケットに転写して(Off)から紙に印刷(Set)するため、オフセット印刷と名付けられました。

イメージ図②

富士フイルムは、このオフセット印刷で使用する「刷版」を製造する国内シェアNo. 1のメーカーです。
現像機、現像液を使用する刷版「SUPERIA XP-F」、現像機、現像液を使用しない環境に配慮した無処理版「SUPERIA ZP」「SUPERIA ZD-Ⅱ」など豊富なラインアップで、オフセット印刷の各分野を支えています。

4. オフセット印刷に求められる高い管理技術を支える「Plate Trouble Shooting(PTS)」とは

オフセット印刷は、デジタル印刷と比べて印刷解像度・生産性などで優れていますが、品質管理において、印刷機の設定や状態維持にノウハウを必要とし、また、製造工程では、インキ・用紙・刷版(さっぱん)など複数の資材を適切に扱わなければなりません。そのため、状況によっては印刷上でトラブルが発生する場合があり、都度適切な対応が求められます。
FFGSでは、オフセット印刷のトラブル解決のため、「Plate Trouble Shooting(PTS)」というツールをご提供しています。階層ごとに現象の特徴や状況をご回答いただくことで、推定要因を知ることができるツールです。お困り事の際に、ぜひご活用ください。

Plate Trouble Shooting(PTS)バナー
PCキャプチャ画像

「PTS」は、FFGSサポートタウンからご利用いただけます。サポートタウンへのログインには、IDおよびパスワードが必要です。ご不明な方は、弊社担当営業にお問い合わせください。

5. カラーマネジメントについて

カラーマネジメントとは、印刷物ができるまでの全工程を、共通の色基準に基づいて管理する技術です。
「同じデータでも表示するモニターによって異なる色が表示される」「印刷機によって色の仕上がりが異なる」など色の違いの発生に対して、一貫して色の基準を設けることで、入力から出力まで色再現の共通化が可能となります。

共通の色基準による運用

色基準を設けるためには、色の数値化が必要となります。色の数値化の表現方法として主流となっているのが、「XYZ表色系」と「L*a*b*表色系」です。
「XYZ表色系」は、CIE(国際照明委員会)が作成した表色系です。物理学者のT.ヤングが発見し、後にH.へルムホルツが拡充した光の三原色(R=赤、G=緑、B=青紫)の加法混色の原理に基づいて発展したもので、色度図を使って色をYxyの3つの値で表します。
「L*a*b*表色系」は「XYZ表色系」に対して、人間の感覚に合うように考案されました。現在では最も使用されている表色系になり、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化され、日本でもJIS(JIS Z 8781-4)において採用されています。L*a*b*色空間では、明度をL*、色相と彩度を示す色度をa*、b*で表します。

XYZ表色系とLab表色系

富士フイルムでは、色基準作成や各分野の色再現が合わないなどのお困り事を支援する「GA SMILE NAVI」というサポートメニューを用意しています。ご興味のある方は、ぜひ関連メニューもご覧ください。

以上にて、印刷の基礎知識を解説しました。本コラムを通じて、印刷に対する理解が深まりましたら幸いです。

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