目前に迫る2025年問題に対し、どう備えるべきか

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目前に迫る2025年問題に対し、印刷会社はどう備えるべきか?MV

はじめに

経済産業省が「2025年の崖」に警鐘を鳴らしてからすでに5年が経過し、2025年まで残すところ2年となりました。この間、多くの印刷関連企業やメーカー、ベンダーが解決に向けた取り組みを進めてきたこともあり、情報経営の重要性が広く認知され、経営情報システム(MIS)などを導入する会社も年々増加しています。
しかし、全ての印刷会社がMISを導入しているわけではありません。まだ具体的な対策を実行していない印刷会社には、どのような備えが必要とされているのでしょうか。


2025年問題とは?

「2025年問題」
これまで日本の経済を支えてきた「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となることで生じる問題を指しています。総務省『令和2年国勢調査』によると、2025年には後期高齢者の人口が2,180万人となり総人口の19.4%にあたることがわかっており、さらに65歳以上の「高齢者」人口を含めると総人口の30%に達するとされています。

図版1

この状況からも印刷業のみならず、全ての業種において今後ますます現役世代の負荷が増加し、人手不足が加速していくことが予測されます。

「2025年の崖」
こちらも皆さん一度は耳にした言葉だと思います。これは2018年に経済産業省が発表した「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」に記載されたもので、「”レガシーシステム”と呼ばれる、技術面の老朽化、システムの肥大化・複雑化、ブラックボックス化した既存ITシステムが、維持管理費の高騰、セキュリティーリスク増大などを引き起こして経営・事業戦略上の足かせになり、DXを阻むこと」によって生じる問題を指します。

このレガシーシステムは日本企業のDXが遅れている原因のひとつと捉えられていますが、実際どれだけの日本企業がこの問題を抱えているのでしょうか。以下のグラフは日本企業へのアンケート結果ですが、8割以上の企業が老朽システム(レガシーシステム)を抱えており、約7割の企業で老朽システム(レガシーシステム)がDX推進の足かせとなっていると回答しています。

図版2

2025年問題で印刷企業に何が起こるのか

2025年問題が日本の企業活動へもたらす影響はさまざまですが、「承継問題」と「人材不足」も大きな課題です。これらを印刷会社に当てはめてみましょう。

「承継問題」

技術を引き継げる人材がいない
印刷会社はいわゆる「職人」の世界でした。製版、印刷、製本などそれぞれの担当者が経験の中で培ってきた技術やノウハウを企業価値に転嫁することで成長を遂げてきました。しかし、これらの技術やノウハウは人に依存したまま企業の“モノ”として体系化を行ってこなかったために、「属人化」という問題を生んでしまいました。
そのため、2025年を迎えるこのタイミングになり技術承継問題が顕在化したことで、多くの経営者が数年先の事業計画を見通せない状況に陥っているのです。

継承者不在 ⇒長年培ってきた独自の技術やノウハウといった知的財産の消失⇒ 事業存続の危機

「人材不足」

新しい人材が集まらない
経済産業省の報告によると、人手不足は大企業・中小企業共に90%超の企業において問題となっていることが分かります。

図版3

出典:経済産業省『製造業における人手不足の現状および外国人材の活用について』

この調査は平成30年に実施されたものですので、現在は新型コロナウイルスの影響なども重なり、さらに状況が悪化していることが予想されます。
企業が人手不足に陥る原因はさまざまですが、「求人募集しても人材が集まらない」「すぐに辞めてしまう」といったケースにおいては「企業と人材のミスマッチ」が原因であると考えます。企業としては求人募集をする場合、若くて働き盛りの人材を期待すると思いますが、製造業界には、いまだに「きつい、汚い、危険」のいわゆる「3K」や長時間労働のイメージがあり、業界イメージは良いとはいえません。このような状態では、「デジタルネイティブ」と呼ばれる若者たちが魅力を感じられず確保できる可能性が低くなるばかりです。

労働環境の悪化 ⇒ 従業員のはたらきがいや意欲低下⇒
新規事業や事業拡大計画が停滞 ⇒ 競争力の低下

上記のいずれかの問題を抱える印刷関連企業は、まさに2025年問題の当事者であるといえます。


2025年問題にどう対応するのか

では、2025年問題に対して印刷関連企業はどう対応したらよいのでしょうか。対応の一例を、事業承継と人材不足の課題別にご紹介します。

事業承継に向けた備え
①現状の整理
まず現場担当者を集めて、それぞれの立場で作業の内容や問題点を共有しあってください。その際のポイントは、固定概念に縛られないことです。

②ビジョンの共有
①で挙がった問題点を踏まえて、自社のあるべき姿(理想的な運用フロー)をイメージしてください。特定の部門へ課題を押し付けるのではなく、フラットな立場でお互いがどう協力しあえば効率的に実現できるかを話し合えば、素晴らしいアイデアが出てくるはずです。

③課題の可視化
共有されたビジョンを元に運用マニュアルを作成します。独自技術、ノウハウの体系化と標準化を図るとともに、ビジョンがイメージしやすくなるため、チームとしての結束力もより高まります。

人材不足への備え
多くの経営者にとって、これからの担い手である若い層の人材確保は大きな課題だと思います。
しかし生まれた時からインターネットが当たり前にあった「デジタルネイティブ」と呼ばれるこの世代は非常に効率性を重視する世代でもあります。彼らのモチベーションを維持し最大限に活用するためには、慣習で縛ることなくICTやRPAなどのテクノロジーを積極的に活用し、業務効率化を図りやすい職場環境を提供することが重要と考えます。


今から2025年に向け備えましょう

このように、2025年問題は多くの印刷会社が直面している大きな問題です。しかし事前に対策を打ち、適切に解決を図ることで、事業承継と人材不足という問題を軽減することは可能です。FFGSは「2025年問題」に対応可能な、生産最適化や製作ワークフローの標準化・自動化などさまざまなソリューションを提供しておりますので、ぜひご相談ください。


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