今さら聞けない刷版・印刷の基礎知識①
湿し水の正しい管理方法

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pHや電導度の数値管理は本当に正しいか?

水とインキの反発を利用するオフセット印刷において、湿し水の正しい管理は印刷品質安定化のために非常に重要です。湿し水の状態を知る手掛かりとして、pH値や電導度値を利用していることがありますが、そこには落とし穴があります。

印刷中の湿し水にはインキや用紙成分が溶け込み、pH値や電導度値は上昇していきます。それに、インキや用紙成分の溶け込む量は一定ではなく、印刷枚数や使用インキ、用紙によって変動幅は変わります。そのため、pH値や電導度値の実測だけでは、H液が常に正しく入っているかを知ることができないのです。

pH値や電導度値に頼った管理を信号機で例えるならば、「黄」と「赤」を点灯させることができても、本当に「青」信号なのかは分からない、という状態なのです。

アイコンキャラクターPOINT

•pH値や電導度値だけでは、リアルタイムでH液が正しく入っているかを知ることはできない。

•pH値や電導度値は、あくまで湿し水交換のサインとして使う情報。
(交換の目安はpHが「6」を超えたとき、または電導度が新液の2倍を超えたとき)


正しい湿し水の管理方法は?

湿し水の印刷性能を発揮させるには、H液の補充量と浸し水中の液量を常に一定に保つことが重要で、pH補充方式ではなく定量補充方式がおすすめです。

・pH補充方式……pH値を一定に保つようにH液を補充する。
・定量補充方式……あらかじめ設定した量のH液を常に補充する。

また、突発的な機械故障の可能性も考慮すると、H液が「常に正しく入っているか」を調べる必要もあります。そこで活躍するのが、糖度計を用いた濃度管理です。糖度計の屈折率から、リアルタイムで湿し水のH液濃度を知ることができます。

糖度計 糖度計の画像「PAL-1」(株)アタゴ製

糖度管理 換算表 商談風景

アイコンキャラクターPOINT

•湿し水のH液は定量補充方式で運用し、糖度計を用いて濃度管理をする。

•pH値や電導度値の情報と併せて、湿し水のライフサイクルの管理をすればOK。

※アルコール(代替を含む)使用の場合、糖度計による管理はできません。


「湿し水診断サポート」をご活用ください!

湿し水の状態が良好なのか分からないなど、お困り事がありましたら、ぜひFFGSへご相談ください。FFGSが行っている「湿し水診断サポート」では、湿し水のH液含有量はもちろん、pH値や電導度値、腐敗の有無までをしっかりとデータでご報告します。

「湿し水診断サポート」報告例

湿し水のメンテナンスは、健康診断のように定期的に行うことが大切です。ぜひ御社の湿し水の “健康状態”を調べてみませんか?


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