ビジネスとSDGsを両立させる
軟包装におけるデジタル印刷とは?

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ビジネスとSDGS_コラム用

軟包装印刷の分野でも注目されているデジタル印刷。その活用が国連のSDGs(持続可能な開発目標)への貢献につながることをご存じでしょうか。ビジネスとSDGsの両立が注目される昨今において、印刷品質の向上やコスト削減だけにとどまらない、デジタル印刷活用のメリットをご紹介します。

多様化の時代が求める個別ニーズ対応を
デジタル印刷で支援する

近年、消費行動の多様化により、あらゆる商品に対して大量生産品にはない個別ニーズに対応することが求められています。そのトレンドは軟包装パッケージ印刷の業界にも波及していますが、大ロットを効率的に印刷する技術として確立された現在主流のグラビア印刷方式だけでは、対応が難しくなってきました。
そこで注目されているのが、小ロット印刷になりがちな個別ニーズ対応を可能にするデジタル印刷です。必要最小限な分だけ製造可能であり、廃棄するフィルムを最小限に抑えることができます。

ニットーパック株式会社様のサンプル作例の画像

〈導入事例〉
ニットーパック株式会社様

デジタル印刷機を導入し、小ロットのニーズや、限定品・新製品サンプルなど多品種の印刷に対応。軟包装印刷の可能性を広げています。

→事例記事はこちらから

デジタル印刷で実現する
「働き方改革」と「環境対応」とは

SDGs画像

軟包装へのデジタル印刷の活用には、印刷ニーズの変化に対する柔軟な対応だけではなく、SDGsで掲げられている目標達成への貢献にもつながります。キーワードは「働き方改革」と「環境対応」です。

SDGsへの貢献:働き方改革

働きがいも経済成長も

従来、印刷工場の仕事は重労働といわれ、オペレーター不足は今も大きな課題となっています。しかし、デジタル印刷機によって労働環境の大幅な改善が可能となります。

●作業環境の改善、作業者への身体的負担の低減
インクジェットインクは有害な揮発性有機化合物(VOC)を含まず、作業環境が改善されます。また、作業に必要な重量物がないため、運搬などの負荷を大幅に減らせます。

●女性オペレーターの登用
上記のように身体的な負担が少ないことから、近年、印刷工場において女性オペレーターの活躍の場が広がっています。

●残業時間の低減
「大ロットはグラビア印刷、小ロットはデジタル印刷」といった使い分けをすることで、工場全体の生産効率が上がり、結果として労働時間の短縮につながります。

さらに、こうした取り組みを進めることは企業イメージの向上にもつながります。「デジタル印刷に取り組んでいる会社=働きやすい環境づくりに取り組んでいる会社」という印象があり、従業員の採用や定着といった面でのメリットを期待できるのです。

富士特殊紙業株式会社様MV

〈導入事例〉
富士特殊紙業株式会社様

デジタル印刷機を導入し、作業負荷を大幅に低減。老若男女問わず活躍できる職場環境が実現し、人材確保の面でもメリットが期待されています。

→事例記事はこちらから

生産効率をアップさせる“オフセットとデジタルの使い分け”とは?

上記の富士特殊紙業株式会社様では、小ロットジョブをデジタル印刷機に切り替えることで、グラビア印刷機を大ロットに集中させ、工場全体の生産効率アップに成功しています。ジョブ全体を分析して、小ロット・中ロットのジョブをデジタルプレスに集約する「最適生産環境の構築」が、今後ますます求められることになるでしょう。
→「最適生産環境の構築」について、詳しくはこちらのコラムをご覧ください。


■SDGsへの貢献:環境対応

SDGsアイコン7、9、12、13、14

今や、あらゆる企業にとって最重要課題の一つとなっている環境対応。製造業・小売業を問わず、扱い商品のサプライチェーン全体での環境負荷低減が求められており、パッケージに関しても環境配慮を消費者に示す動きが出てきています。印刷会社も、印刷の面からどのようにSDGsに貢献できるか、クライアント企業へ可能な限りのアプローチを図っていかなければなりません。
デジタル印刷では次の点において、環境対応に関する優位性が挙げられます。

①資源・エネルギーの消費量減
②大気汚染対策
③環境配慮素材への適用

それぞれ具体的に見ていきましょう。

①資源・エネルギーの消費量減

SDGsアイコン7、9、12、13

●製版工程の廃液削減
グラビア印刷方式では、製版工程(グラビアシリンダー)で使用する薬品の廃液が発生しますが、デジタル印刷では薬品の使用量は少なく、廃液を大きく削減できます。

●刷り出しロス削減
刷り出し前の色や見当調整に使用するフィルム基材やインク量が少なく、刷り出しロスが抑えられます。

●LED-UV硬化による消費電力削減
グラビアインキは熱乾燥なのに対して、富士フイルムのデジタル印刷機で採用している「EUCON(ユーコン)Technology」(下記※参照)では、LED-UV照射装置で紫外線を照射してインクを硬化させるため、消費電力の削減につながります。

②大気汚染対策

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●VOCフリー
インクジェットインクには、光化学スモッグなどの原因とされるVOCが含まれないため、大気汚染対策にもつながります。

③環境配慮素材への適用

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●繊維系や環境配慮型の新基材への適用
「EUCON Technology」では、さまざまな基材との密着強度が確保できるため、紙や生分解性・植物由来フィルムなど新たな基材に適しています。プラスチック基材を代替できる分、海洋汚染などの原因にもなるプラスチックの使用削減につながります。

●基材の適合範囲が拡大
インクジェット印刷は非接触の印刷方式で、多少でこぼこした基材でも対応できるため、和菓子のパッケージをはじめとした、風合いを重視するクラフト紙や和紙への印刷に適しているという特長があります。
昨今は、従来のようにフィルムにフィルムを貼り合わせた包装基材ではなく、紙にフィルムを貼り合わせることで、フィルムの使用量を削減できる基材が注目されています。こういった環境配慮型の新しい基材に対しても、デジタル印刷機での印刷対応が進められています。

※EUCON Technology:
軟包装用フィルムへのインクジェットプリントが可能な、富士フイルム独自のUVインクジェット技術。①高感度&低臭気の「UVインク」、②インクのにじみを防止する「下塗り技術」、③臭気を大幅に低減する「窒素パージ技術」の3点が大きな特長です。高画質・低臭気で、耐熱性・耐水性・耐摩耗性・安全性などに優れているため、食品パッケージなどの印刷にも適しています。

事業継続と社会的課題の解決に向けて
デジタル印刷の導入・活用を

以上のように、デジタル印刷は高付加価値な軟包装印刷を実現するだけではなく、SDGsが掲げる社会的課題の解決にもつながる、さまざまなメリットを兼ね備えています。未来に向けた事業継続のために今重要なのは、グラビア印刷・デジタル印刷それぞれの利点を生かした生産環境を構築することです。
FFGSでは、さまざまなソリューションで印刷業界の皆さまが抱える課題解決に向けて、強力に支援します。ぜひ弊社担当営業にご相談ください。


■関連ページ
・UVインクジェットデジタルプレス「Jet Press 540WV」の詳細はこちら
「SDGsの取り組みを一緒に考えよう! 富士フイルムのSDGsの取り組み」
「身の回りの変化に気づいていますか? 軟包装で使われはじめたデジタル技術」

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