富士特殊紙業株式会社様
小ロット・多品種対応でテストマーケティングや在庫削減に貢献
現場の省力化も実現し、誰もが活躍できる職場環境に

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富士特殊紙業株式会社_MV

Jet Press 540WV導入事例


食品パッケージの開発・製造を手がける富士特殊紙業株式会社(本社:愛知県瀬戸市暁町3-143、代表取締役社長:杉山真一郎氏)は、UVインクジェットデジタルプレス『Jet Press 540WV』に水性グラビア印刷ユニットを接続した独自のデジタルグラビア印刷機『FUJI・M・O®』(フジモ)を活用し、急増する小ロット軟包装ニーズに応えている。導入から約6年。現在の活用状況やメリットなどについて、あらためて伺った。


■デジタルとグラビアのハイブリッドという新発想

富士特殊紙業は、1950年にキャラメル包装用ロウ紙の製造会社として創業。昨年70周年を迎えた老舗企業である。食品軟包装のグラビア印刷・加工業としては最も長い歴史を持つ。一貫して“食の安心・安全”を追求し、有機溶剤を使用しない低環境負荷の印刷・加工方式を積極的に採用。2001年には、グラビア印刷技術の中でも極めて難易度の高い水性グラビア印刷の実用化を果たし、より安全性の高い製品づくり、商品価値の向上を実現している。この水性グラビア印刷技術と、併せて開発した無溶剤ラミネート技術は、『デュポン賞・金賞』を受賞するなど、国内外で高い評価を獲得している。また、ピロー袋を横から開封できる『スマートカット』、開封後も品質を保つ『ジッパーテープTZ』など、独自の包装技術を自社開発しており、その技術開発力の高さにも定評がある。
一方で、女性や高齢者を含め、「誰もが安心して活躍できる職場環境づくり」にも長年力を入れており、「出産育児、介護支援制度」「66歳定年制度」などを実施。2017年に新設した暁工場には、事業所内保育所『あかつきキッズランド』を設けている。こうした取り組みが評価され、同社は「ダイバーシティ経営企業100選」「あいち女性輝きカンパニー」「障害者雇用優良企業」の認定を受けている。
そんな富士特殊紙業がデジタルグラビア印刷機『FUJI・M・O®』を開発したのは2015年。最大の目的は、急速に進む小ロット・多品種化への対応だった。当時すでに4,000m以下の仕事が受注全体の約半分を占めていたという。営業本部CS室課長・鈴木貴史氏はこう振り返る。
「従来の、版をつくって色を合わせて…というアナログの作業で小ロット・多品種に対応するのは、作業者にとって大きな負担になります。段取りに1時間半かかって、本刷りがわずか30分ということも珍しくありません。何か新しいやり方で、根本的に解決できないか、というのが長年の課題でした。以前は“グラビア印刷での小ロット対応”を検討していたのですが、2012年頃になると、海外の展示会などで、グラビアからデジタルへの流れが見られるようになってきたことから、いち早くデジタル印刷機の検討を開始したのです」
小ロット対応に加え、VOC削減を含めた「働きやすい職場づくり」という観点からも、デジタル印刷機の導入は有効と考えた。しかし、軟包装へのデジタル印刷には、いくつかの課題をクリアする必要があった。そこで、富士フイルム、ミヤコシ、オリエント総業の3メーカーと共同プロジェクトを組み、幅広い基材対応力や耐熱・耐水性などを特長とするUVインクジェット技術と、富士特殊紙業の強みの一つである水性グラビア印刷技術を組み合わせて完成させたのが『FUJI・M・O®』である。
グラビア印刷ユニットを組み合わせたのは、軟包装に求められる白の深みを得ると同時に、ランニングコストを抑えるためです。印刷面積の広い“白”にグラビアインキを使用することで、より低コストでの運用を可能にしました」(鈴木課長)
水性グラビアインキであれば、溶剤を使わず、高い環境性・安全性が確保できる。また、白については色指定がないため、ジョブごとにインキを交換する必要もない。版交換も1版のみで済む。かくしてデジタルとグラビアの長所を併せ持った革新的な印刷機が誕生することになった。

Jet Press 540WVとグラビア印刷ユニットをインライン接続した『FUJI・M・O®』

Jet Press 540WV(左)とグラビア印刷ユニット(右)をインライン接続した『FUJI・M・O®』


■諦めざるを得なかった販売戦略が『FUJI・M・O®』で実現

『FUJI・M・O®』の導入メリットについて、鈴木課長は、「既存のお客さまにも、新規のお客さまに対しても、いままでできなかった提案が可能になった」と語る。既存顧客への提案例として挙げられるのが、製造サイクルの短縮による在庫レス化だ。
「たとえば、いままで1年分をまとめて製造し2回に分けて納品していたところを、半年に1回の製造にすれば、当社もお客さまも在庫を抱えずに済むわけです。1年分在庫を抱えてしまうと、商品やパッケージの変更が1年間できなくなってしまいます。しかし、より短いサイクルで少量ずつの製造にすれば、『原材料価格が少し上がったので中身を減らす』といった調整が柔軟に行なえるようになる。現在のように社会の状況が目まぐるしく変化する中では、在庫を最小限に抑えることが重要になっています」(鈴木課長)
最近は消費者ニーズが多様化しているため、新商品を市場に出しても、予測に反して売れ行きが伸びず、在庫が大量に余ってしまうというケースもある。そのため、「まず複数種類の商品を少量ずつ製造して市場の反応を見たい」というニーズも増えている。
たとえば5種類を試作するとなると、いままでは版のコストが非常に高くついていましたが、『FUJI・M・O®』であれば、白の版を共通にすれば5種類つくっても版は1版だけで済みます。テストマーケティングがより低コストで行なえるのも、デジタル印刷ならではのメリットですね」(鈴木課長)
こうした小ロット・多品種展開や試し打ちなどの提案は、既存顧客だけでなく、新規顧客へのアプローチでも行なっている。実際に「デジタル印刷で試作した後、グラビア印刷で量産」という仕事につながるケースもあるという。
具体的な例としては、キャットフードのレトルトパウチがあります。味違いのバリエーションを5種類製作しました。お客さまとしては、複数のラインアップを出して、それぞれどの程度売れるのかを見極め、売れ行きの良いものをレギュラー商品として量産したいという意向です。いままでは、デジタル印刷機を持っているところに依頼しても『レトルトには対応できない』と断られ、仕方なく1~2種類に絞ってグラビアで印刷していたそうです」(鈴木課長)

『FUJI・M・O®』で印刷したキャットフードのレトルトパウチとお茶のパッケージ

『FUJI・M・O®』で印刷したキャットフードのレトルトパウチとお茶のパッケージ

レトルトパウチへの印刷には、インクの耐熱性が必要になる。つまりこの事例は、デジタルならではの小ロット対応力と、UVインクジェットのメリットが活かされた好例と言える。クライアントがこれまで諦めざるを得なかった販売戦略が、『FUJI・M・O®』によって具現化できたわけだ。
また、既存ジョブをデジタルに切り替えた例として、鈴木課長は、お茶のパッケージを挙げる。
「お茶袋の場合、包材問屋さんが“新茶”の文字や裏面のラベルなどを追い刷りして販売されるのですが、とくに個人商店で売られるようなお茶は非常に小ロットのものが多いため、『FUJI・M・O®』のジョブとしてすっかり定着しています。お茶屋さんが包材問屋さんからデザインの入ったパッケージを購入し、自分たちで品名や店名などを入れて販売するというケースが多いようです。1回の発注量は少ないのですが、差別化を図るためにデザインのバリエーションはたくさん欲しいというニーズがあり、まさにデジタル印刷向きの仕事と言えます」(鈴木課長)
この他にも、大手ECサイトで販売される味噌汁やフリカケなどの“お徳用パック”の外装袋や、UFOキャッチャーの景品のパッケージなど、『FUJI・M・O®』で手がける仕事は多岐にわたっている。鈴木課長は、「小ロット対応が可能になったことで、新規顧客の“窓口”ができ、同時に、既存顧客へのサービス向上も図れている」と手応えを語る。
「もちろん、提案がすべて受注に結び付くわけではありませんが、何かあるたびに相談をいただけるようになるなど、お客さまとの関係を深める上で、『FUJI・M・O®』は非常に有効なツールになっていると感じています」


■大幅な作業負荷低減により老若男女問わず働ける現場に

『FUJI・M・O®』のオペレーションは現在、女性2名が担当している。両名とも印刷経験はなく、入社後半年ほどの基礎的な現場研修を終えるとすぐに『FUJI・M・O®』担当に抜擢された。
パッケージ印刷の現場で、入って半年の若い女性が印刷機を回すというのは、いままでのグラビア印刷の世界ではあり得なかったことです。大きく重い版を扱わなければならないなど、女性を入れたくても入れられない環境でした。そう考えると、『FUJI・M・O®』の現場環境は革新的ですね。もちろん、色を見て判断し、調整するという部分は、経験がないと難しいので、最初の2~3年は60歳代のベテランオペレーターと組み、印刷のイロハを学んでもらいました。いまでは、2人の女性オペレーターが画像処理から出力まですべてこなせるようになっています」(鈴木課長)
女性や高齢者も含めて誰にでもオペレーションできる環境が実現し、しかも、印刷の作業負荷が大幅に減ったことで、オペレーターの担当範囲も広げることができた。業界共通の課題でもある「人材不足への対策」にも寄与しているのだ。
「愛知県は全国的に見ても求人事情が厳しい地域なのですが、『FUJI・M・O®』によってスキルレスでクリーンな作業環境が整い、老若男女問わず誰でも働ける現場が実現したことで、人材確保の面でも今後メリットが出てくるのではないかと期待しています」(鈴木課長)


■環境性の評価・訴求にもあらためて注力

営業戦略面でも、社内の働き方改革においても確かな効果をもたらしている『FUJI・M・O®』だが、同社は現状に満足せず、その活用率をさらに高めていきたい考えだ。
「当初の目標である、小ロットジョブの『FUJI・M・O®』への切り替えは、今後も引き続き推進し、それによってグラビア印刷機を大ロットに集中させ、工場全体の生産効率を高めていきたいと考えています。『FUJI・M・O®』は導入から6年経った現在でも最先端のシステムだと自負していますし、お客さまに提案すると高い関心を示していただけます。もっと多くのお客さまと一緒に、この印刷機を活かして新しい取り組みにチャレンジしていきたいですね」(鈴木課長)
そのために、デジタル印刷ならではのメリット、グラビア印刷との特性の違いなどを、さらに広く訴求していく必要があると、鈴木課長は力を込める。
一方で、環境面の優位性についても、「より時代に即した形でアピールしていく」としている。いま具体的に取り組んでいるのは、CO2排出量の算出だ。
「導入当時は、環境対応としてはVOC削減というのが大きなテーマになっており、お客さまに対してもその点をアピールしていたのですが、昨年、政府が『脱炭素社会の実現』を掲げたことから、社会全体でCO2削減の機運が一気に高まってきました。こうした状況を踏まえて、『FUJI・M・O®』でどこまでCO2削減に貢献できるのか、FFGSさんにも協力いただきながらLCA(ライフサイクルアセスメント)による評価に取り組んでいるところです。油性グラビア印刷との比較だけでなく、他のデジタル印刷機と比べるとどうなのか。さまざまな観点から『FUJI・M・O®』の環境性を提示できるようにしたいと考えています」(鈴木課長)
地球環境・作業環境への配慮は、同社が最も力を入れて取り組んでいる重要課題の一つだ。将来的には、印刷工程だけでなく後工程も含めた工場全体の「溶剤フリー化」を目指している。技術開発でも、社会貢献においても最先端を走り続ける同社の挑戦に、業界内外から熱い注目が集まっている。


■お客様プロフィール
富士特殊紙業株式会社
住所: 愛知県瀬戸市暁町3-143
URL: http://www.fujitoku.net/

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