この先の10年を見据え
今取り組むべき企業変革とは?

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「ワークフロー改革」やるなら
覚悟を持って徹底的にやり切れ

富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社 取締役 常務執行役員 中森 真司中森 われわれは「XMF Remote」を、印刷発注者・印刷会社間の単なる便利なツールではなく、「全ジョブ運用」をキーワードにした「プリプレスにおけるワークフロー改革」のためのシステムと考えています。しかし、「XMF Remote」をご導入いただいても、経営者や現場の皆さんに「いままでのやり方を変えてやろう」という強い意志がないと、なかなかワークフロー改革は実現できません。「XMF Remote」が10年でここまで普及したのは、一つには、松岡社長が自社で実践された改革を惜しげもなく他の印刷会社に公開してくださったことで、多くの経営者が具体的な目標をもってシステムを導入できた、ということがあるのではないかと思います。ワークフロー改革を制作や営業の現場に浸透させていく秘訣について、あらためて教えてください。

株式会社アサプリホールディングス代表取締役社長 松岡祐司松岡 中森さんが「強い意志」とおっしゃいましたがまさにその通りで、やるからにはその目的をきっちりと全社員に伝え、徹底してやり切ることです。社長の覚悟が最も重要で、中途半端ならやらない方がいい。社員だけでなくお客さまにも、導入する理由と具体的なメリットを丁寧にご説明し、機能をきっちりと理解してもらい、徹底的に使いこなしていただく。お客さまへの提案書には必ずリモート校正のページを追加しておくべきですね。導入するからには、実際のデータをお客さまのパソコンで運用するぐらいにまで入り込んでいかなければダメです。「仏作って魂入れず」では、「XMF Remote」の本当の実力は発揮できません。

中森 魂を入れる、とはすごい(笑)。でも真のワークフロー改革ともなると、そうした信念が必要なのですね。


営業と制作スタイルの改革が
そのまま「働き方改革」につながる

中森 さてここからは、いまこの時代に必要な営業戦略について考えてみたいと思います。先日の「page2020」でFFGSは「営業スタイルを変える」というテーマで展示を行いました。松岡社長の進めていらっしゃる営業スタイルの変革についてお聞かせいただけますか?

株式会社アサプリホールディングス代表取締役社長 松岡祐司松岡 「やらなくてよいことはやめる」ということです。これだけ印刷単価が厳しくなってくると、今までの延長線上では立ち行きません。お客さまにご理解いただき、単価の安い仕事は、Web 発注・Web入稿に変えていただくなどの改革が不可欠になると思います。営業は、受注した仕事をできるだけ手を掛けずに内勤の社員へ引き継ぎ、次の仕事を取りに行く。仕事量を増やし「売上最大」、増客あるのみです。

中森 営業が攻めの狩人なら、内勤の守りも重要になってきますね。

松岡 内勤は営業が獲得してきた仕事の付加価値を社外に流失させない、つまり「経費最小」です。

中森 そのためにどんな営業スタイルをとっているのですか?

松岡 営業は初校出しのタイミングで制作デザイナーを同行し、お客さまと対面で校正します。そして二校目からはリモート校正で、制作者がお客さまと直接、校正のやり取りを行う。営業を通さず直接お客さまの要望を受けられるので、なぜデザインの修正が来たのか理解しやすくなり、だったらこうしませんかと次の提案ができて、やりがいを感じられるというわけです。一方で営業は、校正の進捗状況をiPadで確認できるので、校正の負担減になり、空いた時間で次の受注活動に専念できます。

中森 なるほど。営業活動については、独自のデータベースを活用されているそうですね。

松岡 「AGPナレッジ」という、グループ全体の営業活動の成功事例をデータベース化したものを運用しています。印刷物以外にも、Web・SNS・イベント・映像などの事例を検索して活用できるようになっています。客先でiPadをチラッと見るだけで、自分では提案したことのないような案件でも、その場で費用感まで含めて提案できます。これを、「一度持ち帰って相談してきます」なんて言っているようなスピード感ではダメなんです。こうした取り組みで今期も新規受注を増やすことができました。

富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社 取締役 常務執行役員 中森 真司中森 素晴らしいですね。「page2020」のプレゼンテーションでもご紹介したのですが、福井県のエクシート様では、お客さまの課題やその背景を知ることの重要性に早くから着目し、営業の効率化を図りながら、お客さまの経営課題にまで踏み込んで提案できる体制を確立しました。帯広市の東洋印刷様では営業エリアを道内に絞り、自社のWebサイトを充実させて新規受注を呼び込む営業スタイルをとっています。一方、渋谷区の千葉印刷様では、自社の店頭窓口でお客さまと直接コミュニケーションをとる営業スタイルで、デジタル印刷を武器に、店頭でのお客さまの依頼に即座に印刷サンプルで応えられる新たな体制を構築しています。

松岡 皆さん、個性を出して工夫なさっていますよね。

中森 企業によって営業スタイルはさまざまですが、今元気があるのは、従来とは異なる柔軟な発想でチャレンジをしている印刷会社さんですね。はじめに松岡社長が「XMF Remote」導入の動機として「お客さまとのパートナーシップ」ということをおっしゃいましたが、成功している会社は、自社をお客さまのビジネスパートナーと位置付け多彩な提案を行っています。

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