持続的に成長していくために
深刻化が増す人手不足や急激な物価高など、印刷業界を取り巻く市場環境は急激な変化が続いています。このような市場環境でも企業が成長を続けるには、これまで以上に保有する設備や人材といった経営リソースの有効活用が重要になります。新規ビジネスへの挑戦といった新たな成長戦略を描いても、それを実行するリソースがなければ実現できません。まずは現在の生産環境を見直して最適化を図ることで、人材や設備、時間といった成長戦略へ投入する経営リソースを生み出すことが可能となります。
最適な生産環境とは
では、最適な生産環境とは、どのような生産環境でしょうか。富士フイルムは、人材や設備が有効活用され「利益を生み出し続けられる」ことが、最適化された生産環境だと考えています。つまり、印刷内容や数量、納期にかかわらず、最適なコストで常に利益を生み出せる生産体制です。
この最適な生産環境を構築する有効な手段のひとつに、デジタル印刷機の活用があります。すでに数百部までの小ロットにデジタル印刷機を活用している印刷会社も多いと思いますが、富士フイルム独自のジョブ分析の結果、1,000部を超えるロットでもデジタルで印刷した方が、オフセットの稼働も上がり、生産工程全体で効率が上がるケースがあることが分かってきました。
「最適な生産環境」を運用するキーは、オフセット印刷の品質安定化
最新のデジタル印刷機は印刷品質の安定性が向上している一方で、オフセット印刷機は変動要因が多いため、市場からは以下のような印刷現場の課題についてご相談いただくことが多くなっています。オフセット印刷が安定しないことで、時間や資材のロスといったさまざまなムダが発生しているようです。
【現場からの相談】
ケース①:デジタル印刷機を導入したが、特定JOBの印刷を行うだけで稼働率が上がらない。オフセット印刷物と同時印刷比較するも、色味がなかなか合わないため、オフセット印刷からデジタル印刷へ全くJOBが置き換えられない。
ケース②:リピートJOBで印刷の色味がなかなか合わない。このために、印刷調整に長時間を要してしまい、損紙などのコストがかさむほか、社員の残業時間が多いことが常態化している。
ケース③:オフセット印刷機ごとに色味が異なるため、JOBにより印刷機が特定されてしまう。特定の印刷機、作業者にJOBが集中してしまうことがあり、短納期のJOBへの対応で苦労する。
<オフセット印刷の品質が安定しないことで起きる課題>
基準となるオフセット印刷機が安定しないと、ケース①・ケース➁・ケース➂のような問題も起こります。
このような課題を解決するキーは、オフセット印刷の品質安定化です。オフセット印刷の品質を安定させることで、上述した課題が解消されています。
【オフセット印刷の品質が安定した結果】
ケース①:品質が安定したオフセット印刷を基準として、デジタル印刷の品質を近づけることができました。デジタル印刷でもオフセット印刷のJOBを行うことができるようになり、特定の小ロットJOBだけで活用していたPOD機の稼働率も大きく上げることができています。
ケース②:定期的に品質管理を行った結果、刷り出し時間が短くなり、損紙や工程遅れなどが減少しました。
ケース③:オフセット印刷機の品質を安定させたことで、2台の枚葉機を、ほぼ同じ印刷品質に合わせることできました。この結果、特定の印刷機・作業者にJOBが集中することがなくなりました。短納期のJOBも複数の印刷機へ分散させることが可能となり、余裕を持って対応できています。
「最適な生産環境」を支える安定した印刷品質を実現する「GA Smile Navi」
「最適な生産環境」を支える安定した印刷品質を実現するためのツールとして、FFGSでは印刷物や作業条件の診断から課題の解決、維持管理までをサポートメニューに揃えた「GA Smile Navi」をご提供しています。「GA Smile Navi」で印刷工程全体の品質管理を行うことにより、どの印刷機で印刷しても安定した製造が可能になるほか、デジタル印刷機も含めた印刷工程全体の品質の統一が図れます。
最適化された生産環境は、一度構築したら終わりではなく、常に安定した製造を保つために印刷品質の維持管理も重要です。FFGSでは、これまで培ったオフセット印刷の知見を生かし、「GA Smile Navi」で印刷現場の品質管理のお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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