軟包装印刷の色校正をオンライン化
印刷立ち会いを効率的に!

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第47回コラム記事MV

コロナ禍は、産業全般に負の影響を及ぼした一方、これまで当たり前に行われていた慣習を見直す一つの契機になりました。日常生活では、指を近づけるだけで階数指定できるエレベーターのボタンや、配達員と対面しなくても受け取れるデリバリーサービスなど、新たな商品やサービスが生み出されています。
印刷業界でもテレワークや非対面の営業活動が広まるとともに、商業印刷分野では、FFGSへのオンライン校正システム導入に関するお問い合わせが増えました。コロナ禍以前からオンライン校正システムを設備していた印刷会社では、テレワークにスムーズに対応できたり、新しい働き方を模索するクライアントとの関係性を強化できたなどの効果が生まれています。

新生社ホールディングス株式会社様サムネイル

■「XMF Remote」導入事例
 新生社ホールディングス株式会社様

「コロナ以前から(商印用オンライン校正システム)『XMF Remote』を活用できていたため、非対面型の業務やリモートワークを希望されるお客さまにも、営業が自信を持って提案できています。『XMF Remote』は営業ツールとしても非常に大きな武器になっていると思います」(岡崎社長)
→事例記事はこちらから

軟包装印刷分野では、顧客との対面業務、遠方への出張となる「印刷立ち会い」の代替手段として新たな提案が求められました。今回、この軟包装印刷分野のニーズを元に生まれた「遠隔色校正システム」についてご紹介します。


コロナ禍で制限された軟包装印刷分野の「印刷立ち会い」

製品パッケージ製造分野において、印刷時にクライアントの意図どおりの色・仕上がりになっていることを確認する「印刷立ち会い」は、必須のプロセスとされてきました。しかし、コロナ禍での移動制限や工場への訪問制限により、2020年初頭から印刷立ち会いが困難な状況となり、多くの軟包装印刷各社は代替手段の模索など対応に追われました。
校了済みの色見本と、試刷りの色の確認が印刷立ち会いにおけるクライアントの判断ポイントであることから、FFGSは判断承認のプロセスを遠隔地で行える「遠隔色校正システム」の開発に取り組みました。コアとなるのは、FFGSが商業印刷および軟包装印刷分野で長年培ったカラーマネジメント技術です。

カラーマネジメント図版

工場側で試刷りをスキャンして送信、営業所側では受け取ったデータをモニターで確認し、色調整の指示はテレビ会議ツールを介して印刷機長へフィードバックします。営業所では、刷り取りサンプルの代わりにモニター表示データをインクジェットプリンターで出力、最終承認の判断結果をハードコピーとして保存して持ち帰ることが可能になります。


印刷立ち会いのオンライン化がもたらす価値

コロナ禍の必要に迫られて印刷立ち会いのオンライン対応に関心が高まりましたが、そもそも軟包装印刷会社にとって、印刷立ち会い自体が大きな負担でした。特に、ジョブの小ロット化が負担比率を高めています。

<売上のマイナス影響要因 TOP5>

グラビアコンバータの印刷立ち合いの負荷

出典:全国グラビア協同組合連合会 緊急アンケート集計結果報告(2016年)

例えば、4,000mのジョブで90分立ち会い確認をすると、印刷機稼働率は20%にとどまります。

グラビアコンバータの印刷立ち合いの負荷その①

印刷立ち会いのオンライン化により、工場では印刷現場から立ち会い室への出入りに要する時間がなくなり、印刷立ち会いにかかる時間が短縮できます。

工場現場からの入退出が1回7分以上短縮され、4回の試刷り調整を行うとすると、立ち会い時間が90分から60分となり、33%削減されます。これにより、印刷機稼働率は20%から25%に向上する試算となります。また、オンライン化の効果として 遠隔地の工場への移動がなくなることで、クライアントや担当営業の負担は大きく軽減されます

グラビアコンバータの印刷立ち合いの負荷その②

大阪シーリング印刷株式会社様サムネイル

■「遠隔色校正システム」導入事例
 大阪シーリング印刷株式会社様

「立ち会いルームへの行き来がなければ、手洗いやエアシャワーの工程を経ずに現場の横移動だけで使用することができます。その分、修正内容をより速く正確に反映でき、OK判断の迅速化が図れるようになるわけです。時間短縮と同時に、お客さまの信頼性アップにもつながるのではないでしょうか」(北川課長)
→事例記事はこちらから

アフターコロナの新しい生活様式でも、テレワークは一定数、定着することや、出張がこれまでより制限されることが予見されます。長い拘束時間や出張を伴う印刷立ち会いをオンライン対応にすることは、今後もクライアントにとって価値のある提案になるでしょう。

営業面で期待される運用効果

印刷立ち会いのオンライン化がもたらす価値について、業務効率化の観点でお伝えしてきましたが、印刷立ち会いは発注者と製造者との信頼関係を保ち、顧客満足度を高める重要なプロセスです。FFGSは本システムを、効率化と信頼性を両立させる新しい品質合意のコミュニケーション支援ツールとして浸透させたいと考えています。
コロナ禍だからこそ、顧客が聞いてくれる提案、興味を持ってくれる仕事の進め方があるかもしれません。もう一度、当たり前に行っている日常の業務を見直してみてはいかがでしょうか。

お問い合わせはこちらから


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