今さら聞けない デジタルプレス活用編②
デジタルプレスの効率的な活用を阻害する要因とは?

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デジタルプレス運用の課題

印刷会社の生産工程を効率化する手段の一つとして、オフセット印刷とデジタルプレスの併用が進んでいます。しかし、「デジタルプレスは単なる大型のプリンター」という認識で、運用を出力オペレーターに任せてしまってはいませんか?長い歴史の中で運用が最適化されてきたオフセット印刷と異なり、デジタルプレスの運用はまだまだ発展途上です。
一般的に、デジタルプレスの特長を生かした運用として、「小ロット」「多品種」「短納期」のジョブへの対応が挙げられます。今回は、それら3点への対応を阻害する要因を確認し、より効率的なデジタルプレスの運用を考えていきましょう。


小ロット対応

刷版が不要なデジタルプレスでは、小ロットのジョブを安価に印刷することが可能であるため、オフセット印刷と比べて出力部数が少ない傾向があります。
大ロットが中心のオフセット印刷では、1つのジョブの印刷に時間がかかるため、印刷中に次のジョブの印刷にかける準備時間を確保しやすいと言えます。一方、デジタルプレスは出力指示をするとすぐに印刷が開始されること、小ロットのジョブが多いこと、そして近年は出力スピードが向上したことから、印刷が短時間で完了する傾向にあります。
しかし、デジタルプレスも、出力データの準備(プリフライト・面付け・殖版などの製版処理)は、専任オペレーターが時間をかけて実施することが多いのが現状です。そのため、前のジョブを印刷している間に次の出力データの準備ができず、デジタルプレスを待機させてしまい、効率的な運用を妨げる要因になり得ます。

デジタルプレスの稼働率を向上させるためには、出力データ準備の効率化に取り組む必要があります。

デジタルプレス活用2_図版01

多品種対応

デジタルプレスの特長の一つとして、用紙選択の幅が広く、多品種対応が可能なことも挙げられます。オフセット印刷機のように時間をかけて調整しなくとも用紙の切り替えが可能なため、お客さまの多様なニーズに柔軟に対応することができるのです。
そのため、ジョブごとにさまざまな種類の用紙で出力することも多く、小ロットのジョブが多いこととも相まって、デジタルプレスではオフセット印刷よりも頻繁に用紙の交換作業が発生します。用紙の種類や厚さが変わる場合、表裏見当の調整、色調の調整が必要で、特に電子写真方式(※1)では定着温度の調整があり、印刷可能になるまでに時間を要する場合があります。出力データの準備は完了しているのに、デジタルプレスの出力開始までに調整時間がかかってしまったという経験がある方も多いのではないでしょうか。

用紙の交換を最小限に抑える生産管理により、デジタルプレスの効率的な運用が可能になります。

デジタルプレス活用2_図版02

※1 粉末状のトナーを帯電させたドラムに付着させて画像を形成し、印刷媒体へ転写して印刷する方式。詳細はこちら をご覧ください。


短納期対応

デジタルプレスは刷版が不要でデータから直接出力するため、オフセット印刷と比べて入稿から納品までの時間を短縮できるという特長があります。さらに、顧客のニーズに応えるべくデジタルプレスを活用して、より納期を短縮した「特急対応」を用意している印刷会社もあります。
優先すべき「特急対応」ジョブが生じた場合、生産現場は現在印刷中のジョブを中断して特急対応に追われます。そして特急対応が終了した後に中断していたジョブを再開しようとしても、部数変更指示や用紙交換、印刷再開時の品質差異の確認などが必要になる場合があり、すぐには再印刷できないこともあります。
特急対応が必要になったとき、保有する全てのデジタルプレスの稼働状況や、特急対応のジョブで使用する用紙がどのデジタルプレスに装填されているかをリアルタイムで把握することができれば、最も効率的に出力できるデジタルプレスを選定でき、場合によっては印刷中のジョブを中断する必要がなくなるかもしれません。
また、適正コストを伴わない短納期発注によるオペレーターなどへの負担の「しわ寄せ」については、厚生労働省も注意喚起(※2)しており、「特急対応」が労働環境悪化につながらないよう注意しなくてはなりません。

このように、無駄のないプリンターの選定や、印刷中断の要否判断のためには、保有する全てのデジタルプレスの稼働状況を見える化することがポイントとなります。

デジタルプレス活用2_図版03

(※2)厚生労働省 「しわ寄せ」防止特設サイト パンフレット より


デジタルプレスは、オフセット印刷と比べてオペレーションの習得が比較的容易で、昨今の人手不足に伴うオペレーターの高齢化や技術継承問題などの解決に寄与する手段として、今後もさらに普及が進むと思われます。また、印刷物の小ロット化はさらに加速していくと予測され、印刷の製造工程でもより効率的な運用が求められています。

デジタルプレスで売上・利益向上を実現するには、小ロット、多品種、短納期というデジタルプレスの強みを活用した価値の訴求が必須です。そのためには、それぞれの強みを阻害する要因を取り除くことを目的とした業務フローの見直しが重要となります。しかし、個々の担当者の判断や操作だけに依存した業務フローでは大量のジョブを正確に処理することは困難なため、ソフトウエアを活用した業務フローの自動化などにより、デジタルプレスの効率的な運用を実現した事例も増えています。

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デジタルプレスを導入後の課題は会社ごとに異なりますが、それらの課題を解決するさまざまなソリューションも登場しています。皆さまの業務における「ボトルネックは何か?」を今一度確認し、ソリューションを活用して人手をかけずに課題を解決できないか検討してはいかがでしょうか。

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