今さら聞けない デジタルプレス活用編③
新たな利益を創出する「バリアブル印刷」とは?

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今さら聞けないデジタルプレス活用編3_コラム用

「小ロット」「多品種」「短納期」といったニーズへ効率的に対応する手段の一つとして活用が進むデジタルプレス。その特徴を生かして新たなビジネスを展開されている印刷会社も増えています。
そんなデジタルプレスの効果的な活用方法についてご紹介している本シリーズの第3回は、デジタルプレスによる新たな利益の創出が期待される「バリアブル(可変)印刷」について解説します。

バリアブル印刷を始めるメリット

チケットへのナンバー(ナンバリング)やバーコードの印刷、DMやあいさつ状への宛名印字など、1枚1枚で異なる情報を印刷するのがバリアブル印刷です。デジタルプレスだからこそ対応できる印刷ですが、印刷会社にとってバリアブル印刷への対応は手間がかかり、敬遠されがちです(詳細は後述します)。しかし、バリアブル印刷への対応は、デジタルプレスによる新たな利益創出につながります。その理由は主に3つあります。

1.バリアブル印刷は、実はリピート率が高い!
バリアブル印刷はリピート率が高い仕事です。一度実績をつくると、クライアントは次回以降もバリアブル印刷に関する仕事は同じ印刷会社へ相談する傾向があります。例えば、クライアントが販促イベントを定期的に行っている場合、DMでバリアブル印刷の実績をつくると、翌年のイベントでDMの相談が来るようになります。バリアブル印刷を頼める印刷会社がそもそも少なく、また入稿データなど事前に印刷会社と細かい取り決めが必要なため、クライアントは以前発注した印刷会社へ相談することが多いようです。

2.バリアブル印刷は、実はリピートの収益性が高い!
バリアブル印刷は、支給される原稿データの入力内容や組版後の仕上がりをクライアントと合意したり、自動組版の設定を作り込んだり、デジタルプレスの色校など、特殊な準備が必要で負荷がかかりそうに思えるため、敬遠されがちです。しかし、一度ジョブの進め方を決めてしまえば、①入稿データのチェック、②自動組版で印刷データを生成、③印刷、④断裁と、システマチックに作業を進めることができます。そのため、リピートでは生産効率が良く、収益性の高いジョブといえます。
また、例えばハガキやチケット、名刺といったカード印刷であれば、デジタルプレスの他に、バリアブルソフトと簡易なカード断裁機を導入するだけで対応できるため、比較的安価な設備投資で始められることも、高い収益性を実現できる要因になっています。

図版1

3.原稿作成から関われるため、新たな企画提案にもつなげやすい!
バリアブル印刷では、印刷会社がクライアントの原稿データ作成の部分から関わることができます。そのため、リピートが続いていくと、「印刷を配布する消費者をセグメント化して、セグメントごとに関心の高い広告へ差し替える提案」や、「バリアブルQRコードを紙面に印刷して、Webへ誘導するDMの提案」といった企画提案につなげることが可能です。これにより販促の企画段階からクライアントの相談を受けるようになるなど、良好な関係の構築につながります。その結果、バリアブル印刷での取引をきっかけに他の商業印刷物の獲得につながるケースもあります。


バリアブル印刷による成功事例

近年では、複雑な条件のデータ作成も高速処理できるバリアブルソフトを活用することで、バリアブル印刷の作業の大幅な効率化が可能になっています。ここでは、デジタルプレスの導入に併せてバリアブル印刷をスタートさせた印刷会社の成功事例をご紹介いたします。

【事例1】
複写伝票・名刺・封筒といった小ロットジョブの生産効率を改善するためデジタルプレスを導入。特に複写伝票は、これまではオフセット印刷後にナンバリングを外注していたが、デジタルプレスと同時にバリアブルソフトを導入したことで、完全内製化を実現。「印刷+ナンバリング」がワンパスで処理できるようになったことで、工程の短縮につながり、生産効率と利益率の改善を同時に達成できた。

図版2

【事例2】
これまでは、自治体の宛名入り発送物や、企業のイベント案内DMを宛名印刷のソフトで製作していたが、デジタルプレスの導入と同時に最新のバリアブルソフトへ入れ替え。1ジョブあたり2万件のデータ(PDF)制作に2日間かかっていた工数が2時間へと激減。
また、PDFのRIP時間も従来と比べて1/6となり、製造時間が大幅に短縮。これにより、以前は2万件のデータ処理にも苦労していたが、現在は100万件を超える通販会員向けのDMも受注できるようになり、売り上げ増につながった。

従来は手間がかかると思われがちだったバリアブル印刷ですが、このように最新のデジタルプレスとバリアブルソフトにより作業を大幅に効率化し、受注の拡大や利益の創出につなげることが可能になっています。

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FFGSではお客さまの生産環境に合わせて、オフセット印刷からデジタルプレスの有効活用までトータルにサポートしています。ぜひお気軽にご相談ください。

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