BMWを20年間売り続けた
伝説のコピーライターに学ぶ
DMは最強のマーケティングツール 第1回

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なぜ紙DMバナー_コラム

紙DMは最強のマーケティングツール

 紙DMは時代遅れと思っていませんか? クライアントのニーズに応えられるのは、もはやネット広告やSNSマーケティングだけと考えていないでしょうか?
 しかし、その考え方を180度ひっくり返すお話を、3回にわたってご紹介していこうと思います。
 私は長年、大手広告代理店にて、広告クリエイターとしてキャリアを積んできました。さまざまなクライアントに携わってきましたが、中でもドイツの自動車メーカーBMWにはフリーランスになった後もご縁をいただき、約25年以上にわたってコミュニケーション活動に参加しました。
 TVCM、ラジオCM、新聞・雑誌広告、WEB、各種イベントなど、あらゆるシーンでのマーケティング制作物をディレクションしてきましたが、その中で、集客効果が高く、実際にBMWも力とお金を注いできたと思うのが、紙DMだったのです。

 紙DMは顧客の行動に影響を与える手法(センサリーマーケティング)として、世界的に再注目されています。実際に手に取って見てもらえ、「見て、触れて、読んで、嗅いで」と、読み手の五感を刺激することで、人に訴えかける効果的なマーケティングツールなのです。
 例えば、DMなら化粧品のサンプルが送れますし、ドリップ珈琲バッグを封入して、その味わいや香りを試してもらうこともできます。このように自由度の高い媒体が他にあるでしょうか?
 しかし、大抵の企業はその価値や使い方をわかっていません。だからこそ、印刷会社から企業に対して、紙DMの企画をプレゼンするメリットは高いと思うのです。

イメージ画像(コーヒー)

紙のダイレクトメールの開封率はなんと7割以上

 朝、コンピューターを開くと、Eメールの数にうんざりすることはありませんか?
 そのほとんどが売り込みやつまらないメルマガだったりで、大切なお客さまからのメールを間違えて削除してしまうこともあります。
 JDMA(一般社団法人 日本ダイレクトメール協会)のDMレポートによると、1週間に届くEメールは一人平均67.4通だそうです。その一方、紙DMの数は平均約5.7通です。つまり、紙DMの方が目に留まりやすいといえます。
 さらに、紙DMとEメールの開封率を比べると、100人中で紙DMを開封する人は64.2人。それに対して、Eメールは11人という少なさ。
 しかも、自分あてに届いたDMなら開封率は74.3%という高い数字が出ています。
 また、DMを受け取った人は、ネットでさらに詳しく調べたり、友人や家族と話題にしたり、購入したりと、「DMを見て、行動する人」が22.4%もいることがわかっています。
 実は若い人ほど行動する割合が高いとも言われているのです。
 これは私見ですが、若い人は紙DMを受け取った経験が少ない分、逆に興味を持ってくれると考えられます。
 つまり、ネットよりも、アナログが利くという、現象が起こっているのです。
 このデータはクライアントへ紙DMを提案するときの武器になるのではないでしょうか?

出所:日本郵便株式会社自主調査

出所:日本郵便株式会社自主調査


「1:5の法則/5:25の法則」というのをご存知ですか?

 コンサルティングの際に、企業の方から「新規客を取るにはどうしたらいいか?」と尋ねられることがあります。しかし、お話を聞くと、目的は売り上げであり、必ずしも新規客の獲得ではない。その一方、既存顧客のリストを持っているのに有効活用されていないことが多いのです。
 ここでマーケティングの法則をご紹介します。
 一つ目は「1:5の法則」。これは、新規客に販売するコストは既存客に販売するコストの5倍かかるという法則。
 二つ目は「5:25の法則」。これは、顧客離れを5%改善すれば、利益が最低でも25%改善されるという法則です。
 例えば、ある料理屋を想像してください。新規客を獲得するのに労力とお金を掛けてチラシを配ったとしても、新規のお客さんは意外と少ない。ところが、常連さんたちに「新鮮な魚が入ったから今晩どうですか?」と電話をすると、圧倒的に売り上げに結び付く。そのような想像をしてもらえれば、既存客へのアプローチがいかにコストパフォーマンスに優れているかわかるでしょう。
 一度、顧客になった人はすでにそのお店のサービスを知っていて、来店する不安感がない。つまり、敷居がとても低いのです。一方、新規の顧客は「どんな店なのか? 失敗するのではないか?」という不安感を抱いています。つまりマイナスからのスタートです。
 将来的には新規客も獲得すべきですが、売り上げの即効性を考えれば、断然、既存客にアプロ―チをする方がいいわけです。
 BMWが紙DMに力を入れていた理由もそこにあります。すでにBMWに興味を持っていたり、旧モデルに乗っていたりする人なら、新モデルの良さも即座に理解してくれ、販売に結び付きやすいのです。
 「リスト」を持っている企業にとって、紙DMこそが最善のマーケティング手法と言える。それをクライアントに伝えて、あなたのビジネスにも生かすべきでしょう。


BMWはなぜ本物のゴルフボールが入ったDMを作ったのか?

 もしゴルフ好きの方がゴルフボールの入ったDMを受け取ったらどう思うでしょうか? もちろん開封率は100%ですし、興味を持って中身も読んでもらえるでしょう。
 このDMは奇をてらったものではありません。BMWは見込み客リストからゴルフ好きの方をチョイスしDMを発送しました。
 ゴルフ場への移動手段は自家用車がほとんどです。その移動が退屈なものではなく、走る歓びに満ちたものに変われば、ゴルフがさらに楽しくなるはずです。そこを戦略として組み立てたわけです。このDMの要はゴルフ場への移動手段として、BMW5シリーズを無料でレンタルできる点でした。
 効果はご想像通りです。実際にステアリングを握れば、BMW5シリーズの虜になり、購入を前向きに考えます。
 さらには、友人に「さすがBMWだ。ゴルフボールの入ったDMだよ!」と興奮しながらDMを見せて、知らず知らずにBMWのブランディングに貢献しているのです。
 確かに多少お金の掛かったDMでしたが、送るリストを絞り込むことで、最大限の効果を上げた実例です。

ゴルフボール入DM

クライアントへ積極的に紙DMをプレゼンしてほしい

 ここまでお話ししただけでも、紙DMの可能性を感じたのではないでしょうか?
 紙DMは一過性のマーケティングツールではなく、効果を上げれば継続しての発注が望めます。
 「前回はこういうリストを使って送ったが、今回はこういうリストを使って、こんな戦略で集客してみようか?」などとクライアントとの打ち合わせも熱を帯びてくるでしょう。
 印刷業界にとって、年々、紙DMは売り上げで大きな役割を果たすようになっています。ぜひ、あなたもクライアントへ紙DMの企画をプレゼンしてください。
 さて、次回は紙DMの制作で失敗しそうな点も含めて、もう少し実務レベルでのお話をしていこうと思っています。ぜひ次回も、ご高覧ください。


著者紹介

中村ブラウン
小さな会社だからこそ、DMは最強のツール!

中村ブラウン
電通グループの広告代理店等にて、シニアコピーディレクターとして、25年以上にわたってBMWのブランディングを支えてきた。全日本DM大賞などの受賞歴を持ち、ダイレクトマーケティング全般に深い造詣を持つ。著書『小さな会社だからこそ、DMは最強のツール!』(WAVE出版)はネット全盛のマーケティングに斬新な切り口を与えている。本記事を深く理解する上でも、一読をお勧めする。
DMなど集客のご相談は、nakamurabrown@gmail.comへ。


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