今井印刷株式会社様
写真の多彩なバリエーション展開など、
独自の企画提案が可能に
新しいことにチャレンジする機運が高まり、
社内改革にもつながった

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株式会社今井印刷_メイン画像

B2サイズ枚葉型インクジェットデジタルプレス「Jet Press 720S」 導入事例


株式会社今井印刷_社外風景山陰地区の老舗書店グループとして知られる今井書店グループの株式会社今井印刷(本社:鳥取県米子市富益町8、代表取締役社長:永見真一氏)は、インクジェットデジタルプレス『Jet Press 720S』を活用し、高画質・小ロット対応を武器とした企画提案型ビジネスを展開し注目を集めている。「従来の受注型ビジネスからの脱却」を目指す中で、同社はJet Pressをどのように活かしているのか。また、その取り組みは社内にどんな変化をもたらしているのか。常務取締役・古磯宏樹氏、プレス係 係長・脇坂努氏に話を伺った。


■企画・デザイン力を活かす武器として導入を決断

今井書店グループは、1872(明治5)年の創業以来148年の歴史を持つ、山陰地区最大の書店グループ。今井印刷は、今井書店の前身である今井郁文堂の活版印刷所として1884年に創業し、1999年に今井書店から分社化した。書籍などの出版物はもちろん、チラシやパンフレット、ポスターなどの商業印刷物も幅広く手がけている。2018年には、書籍のほか手帳やカレンダーなど、鳥取にまつわるオリジナルグッズを販売する通販サイト『イマコレ!』を立ち上げ、商圏拡大を図っている。
そんな同社がJet Pressを導入した背景には、近年力を入れている企画・デザインの機能を活かしながら、時代に合った提案型ビジネスを展開していくという戦略がある。
「私がこの会社に入ったのは13年前になりますが、まず受注産業のスタイルを壊すことが必要だと感じました。つまり、自分たちで企画を考え、仕事をつくっていくということ。最近は企業も行政機関もコスト意識が高まり、情報発信の方法が変わってきています。印刷物は小ロット多品種の方向にシフトしている。その中で生き残っていくためには、印刷と企画・デザインの両方で勝負できるようにならなければなりません。そんなビジネススタイルを実現するためのツールとして、Jet Pressの導入を決めたのです」(古磯常務)
同社が手がける仕事は、チラシをはじめとする商業印刷物が大きな柱になっているが、小ロット化の流れは加速する一方で、全体のボリュームも減少傾向にある。こうした状況から、従来のオフセット印刷のみで受け身のスタイルを続けていては、会社の成長は見込めないという危機感が、古磯常務にはあった。
企画・デザインの力を活かす新しい武器として着目した『Jet Press 720S』。同社がとくに注目したのは再現性の高さだ。
写真のRGBデータをストレートに出力でき、しかも原画に忠実な色で再現できる。これには驚きましたね。クリエイターさんにとっても理想の世界ではないでしょうか。このJet Pressと企画・デザイン力があれば、どんなお客さまにもアプローチできると確信しました」(古磯常務)
デジタルならではの機動力と、ずば抜けた再現性に、ビジネス拡大の可能性を感じたことが、同社のJet Press導入の決め手になった。


■小ロット対応で「出版」をより身近なものに

今井印刷が企画から携わり、『Jet Press 720S』を活かして製作した商品の一つに、『GIFT』という写真集がある。山陰地方を中心に活動している写真家KWAN氏が撮影した美しい風景写真を収めたもので、広い色域を活かして海や植物などの鮮やかな色が美しく再現されている。しかも、表紙のビジュアルが6種類あり、それぞれページ順も異なる。オフセットでは困難だった多彩なバリエーション展開を実現しているのだ。
「複数種類の本を1パスで印刷するという発想は、Jet Pressがなければ出てこなかったでしょう。また、このような写真集をつくろうとすると、従来は初版で少なくとも1,500冊ぐらいは生産しないと利益ラインに乗りませんでした。しかしJet Pressなら、100冊程度からできます。時間的にも、いままで2週間かかっていたものが、わずか2~3日、ものによっては1日でできてしまう。もはや次元が違います。早く商品が完成し、売上につなげられるので、経営的なメリットは大きいですね。何より、どう活用しようかと考えるのが面白い。仕事の楽しさにもつながっています」(古磯常務)

印刷、製本に2週間かかっていたものが、わずか2~3日で完成する
印刷、製本に2週間かかっていたものが、わずか2~3日で完成する

また、写真家などのクリエイターからも、Jet Pressのクオリティに高い関心が寄せられているという。
オフセットより色域が広いこともあり、鮮やかな色彩など、伝えたいことを意図どおりに表現できるということが、クリエイターさんにとって大きな魅力になっているのだと思います。昔オフセットで写真集をつくられた方から、『ぜひJet Pressでつくってみたい』というお話をいただくこともあります」(古磯常務)
さらに、古磯常務は、「小ロット対応が可能になったことで、出版のハードルを下げることができた」と続ける。
「たとえば書籍やフリーペーパーでも、最初から何千部もつくらずに、まずは300部、500部からやってみたいというお客さまも多く、そういう方にとってもJet Pressは非常に価値があるのではないでしょうか。原稿が短期間で本の形に仕上がる。コストも安い。本づくりが、ずっと身近なものになったと思います」(古磯常務)
今井印刷にとっての営業的なメリットも大きく、Jet Press導入以降、受注件数も確実に増えているという。「仕事の幅が広がり、さまざまなことにチャレンジできるようになった」と古磯常務。Jet Pressを活かした新たなチャレンジの一つが、本づくりのセレクトショップ『小さな今井』の開設だ。差別化戦略の一環として、また地域貢献の取り組みの一つとして、昨年9月にオープンさせた。
「地元の方に気軽に立ち寄っていただき、本づくりのお話ができるような場にしたいと考えています。イベントを企画したり、ワークショップを開いたり、さまざまな切り口で、本に触れ合う機会を地域の皆さんにたくさん提供していきたいですね」(古磯常務)
『小さな今井』は米子市の中心部に位置することから、今井印刷の新たな営業窓口としての役割も担う。実際に、自費出版物では、ここで内容の打ち合わせを行ない、本社のJet Pressで印刷し出版するケースも多いという。また、同社はこのショップを、「本」に限定せず、地域の憩いの場としても広く活用していきたいと考えている。
「やりたいことは無限にあります。ソーシャルメディアの勉強会、あるいは、いま話題のeスポーツの大会など。若年層からお年寄りまで、幅広い層の人たちと触れ合える場にしたい。今井書店グループとしても、この新しい拠点で、いろいろな提案・発信のチャンスをつくっていきたいと考えています」(古磯常務)

写真集
Jet Press 720Sで製作した写真集『GIFT』。高い再現品質と多彩なバリエーションを実現

■クリエイターの意図を反映しやすくなった

『Jet Press 720S』の導入は、今井印刷の生産現場にも大きなメリットをもたらしている。オペレーターを務める脇坂係長は、「オフセット印刷に比べて工数が格段に減った」と話す。
オフセットのような前準備作業などが必要なく、1枚目から色が合うので色校正とのマッチングで悩むこともなくなり、ストレスが格段に減りました。RGBデータをそのまま出力できるため、データ変換に時間を取られなくなったことも大きいですね。また、トラブルがあると機械が検知してくれるので、印刷中つねに張り付いている必要もなく、別の作業を進めることができ、仕事の効率も上がっています
また、クリエイターの要望に素早く的確に応えられる柔軟性も魅力だと脇坂係長は強調する。
「色域が広く、写真などの色が鮮明に再現できることもそうですが、色に関して要望があった場合でも、簡単操作ですぐに応えられることも大きなメリットです。オフセット印刷のように版を出し直す必要もなく、しかもデータに忠実に再現できる。クリエイターさんの意図を反映しやすくなったと思います」
加えて、古磯常務は、「営業・制作含めた社内全体に変化が生まれている」と語る。
「Jet Pressの導入、『小さな今井』のオープンによって、新しいことをやってみようという意識が会社全体に広まってきたと感じています。“大量に安く”という世界とは違うフィールドに向かっている。どんなアイデアを出せるか、どんな工夫ができるか、そういう次元で勝負できるようになったのが、会社としての最も大きな変化でしょう。これによって営業が強くなり、制作・印刷現場もストレスがなくなり、お客さまにもメリットがある。まさに三方良しですね」

Jet Press 720Sは、印刷現場だけでなく社内全体に変化をもたらしている
Jet Press 720Sは、印刷現場だけでなく社内全体に変化をもたらしている

■「小さくて強い会社」を目指す

『Jet Press 720S』という新たな戦力を得て、受注拡大に加え、社内の活性化も図れているという今井印刷。まだ導入から日が浅いこともあり、試行錯誤を重ねているとのことだが、古磯常務は、「皆でアイデアを出しながらJet Pressの使い方を考えるのが、非常に楽しい」と笑顔を見せる。
「このような新しい設備を採り入れていくということは、会社の社風を変えていくこと、新たな動きをつくることだと思っています。そしていま実際に会社が変わりつつある。ものすごいスピードで変化している現在の環境をどうやって生きていくかと考えると、いままでと同じやり方を続けていてはダメで、従来の受注産業スタイルから抜け出し、自ら変化していかなければなりません。そのための武器として、Jet Pressのような設備はこれからマストアイテムになると思っています
100年以上にわたって培ってきた印刷・出版のノウハウを活かしながら、つねに時代の先を見据え、柔軟な発想で新しいことにチャレンジし続けるという攻めの姿勢が、同社の成長の原動力になっている。最後に、今井印刷が目指す将来像について古磯常務はこう語った。
「私どもは、鳥取という全国的にも一番小さい商圏の中で生きているわけですが、どこに出しても恥ずかしくない商品をつくる力を持っていれば、会社の規模は小さくてもいいと思っています。設備も、必ずしも大型の機械を揃える必要はない。アイデアと工夫で勝負できる“小さくて強い会社”を目指したいですね」

本づくりの提案や地域交流の新たな拠点としてオープンした『小さな今井』
本づくりの提案や地域交流の新たな拠点としてオープンした『小さな今井』

■お客様プロフィール
株式会社今井印刷
所在地:  鳥取県米子市富益町8
URL: //www.imaibp.co.jp/index.html

■関連リンク
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