Iridesse™ Production Press導入事例
東京・東池袋の株式会社サン・ブレーン(本社:東京都豊島区東池袋5-44-15、代表取締役社長:岡村和哉氏)は、2019年にカラーオンデマンド・パブリッシング・システム『富士ゼロックス Iridesse™ Production Press』を導入。イリデッセの持つ印刷表現を生かし、メタリックカラーのオンデマンド印刷に特化した自社ブランドを立ち上げ、販促ツールやPR制作物の差別化提案に力を入れている。イリデッセの導入経緯や活用方法について、サン・ブレーンの制作ディレクター・北山紅さんに伺った。
■PODの付加価値を高めるため、新機種の導入を検討
サン・ブレーンは㈱サンエー印刷のグループ会社で、カタログ・パンフレット等の企画・制作といったクリエイティブサービスを提供している。同社がPODを立ち上げたのは約9年前。カラー機2台、モノクロ機1台で運用を開始した。それから数年がたち、印刷機のスペック不足や故障が目立つようになっていた。
「一番の悩みは、印刷機の安定性が低いことでした。既存の機械は故障が増えて稼働が安定せず、印刷物の受注に対して生産が追いついていない状況でした。現場からは、生産の安定性を高めたいという要望が上がっていました」と北山さんは振り返る。
また、同社は営業戦略の面でも悩みを抱えていた。
「オンデマンド印刷の認知が進み、印刷会社間での価格競争が進んでいました。ただオンデマンドというだけでは差別化が図れない中で、“どうすればより付加価値の高い印刷物を提供できるか”という課題に対する対応を営業部門と一緒に考えていました」
サン・ブレーンは「印刷の安定性向上」や「付加価値の向上」といった課題を解決できるデジタル印刷機、という観点で、新しいオンデマンド機導入の検討を始めた。あらゆるメーカーの機械を候補に挙げ、スペック表を作って細かく比較。さらにショールームなどにも足を運び、現物を見て入念に評価を行った。その結果、安定した生産が期待できる点と、ゴールドやシルバー、メタリックカラーといった特殊色を生かした表現力の高さが、自社の課題解決にマッチすると判断し、イリデッセの導入を決定した。
設置されたIridesse™ Production Press
■印刷の安定性が大きく改善され、コスト削減に貢献
イリデッセ導入による効果はどうだったのか。まず、課題の一つだった生産の安定性は、大きく改善された。
「以前は、深夜まで残業をして仕事をこなしていたこともありました。しかし、イリデッセ導入後は機械を止めることなく安定して印刷ができるようになり、リードタイムは約1日短縮されました。その結果、残業時間が減り、オペレーターの人件費や電気代といったコストの削減につながりました。現場のオペレーターからもイリデッセは安心して使えるという評価を得ています」
故障によって機械が止まる時間が減った結果、印刷物の量は減っていないのに、カウント数は大きく減少した。つまり、従来はそれだけ紙や保守費用をムダにしていたということになる。イリデッセの導入が、さまざまな側面からコストダウン効果を発揮したのだ。
オペレーターの残業が減ったことは、働き方改革の推進にも貢献している。さらに、安定した生産ができるメリットは、営業面にも良い効果をもたらしている。
「営業からは、これまでは機械の不調を見越して、だいぶ余裕を持たせた納期をお客さまにお伝えする場合もあると聞いていましたが、イリデッセ導入後は、以前のような余裕を持たせる必要はなくなりました。スケジューリングの精度が上がったことで、最短の納期を伝えられるようになっています。営業の話では、お客さまに“もうできたの?”と言われることも増えたと聞いています」
■展示会で大きな反響。お客さまとのコミュニケーションが増加
新しい印刷機のもう一つの導入目的だった、付加価値の高い印刷物についても、確かな手応えを感じている。
「従来、“オフセット印刷した紙に箔押し”で対応していたメタリック系の印刷物を、イリデッセを活用することで、小ロット・低価格・短納期のオンデマンド印刷で提供できるようになった点が大きいです。また、薄紙などの特殊な紙も扱えるようになり、お客さまが紙を持ち込み、“この紙で刷りたい”という要望にも応えられるようになりました。
さらに、クリアトナーを使って金券や証票類に偽造抑止印刷を施した、セキュリティ対応の印刷ソリューションも可能になりました。できる印刷の種類が増え、提案の幅も大きく広がったと感じています」
サン・ブレーンでは、このメタリックカラー印刷を生かしたサービスを加速するべく、2019年夏に自社ブランド「LUMI-COⓇ(ルミコ)」を立ち上げた。フランス語のLumière(光)と英語のColor Print(カラー印刷)を組み合わせた造語だ。メタリックならではの高い訴求力で、販促ツールやノベルティ制作の可能性を広げたい考えだ。
「LUMI-COⓇ」ブランドを紹介するパンフレット
2019年10月には、東京・池袋で開催された「第60回インターナショナル プレミアム・インセンティブショー秋2019」に出展し、「LUMI-COⓇ」を前面に展開。高級感のあるメタリックカラー印刷でバックボードを制作し、きらびやかなブースを設営した。さらに、「LUMI-COⓇ」ブランドのサンプルやカラーチャートなどを大量に用意し、会場でアンケートに答えてくれた来場者に、メタリックカラーの24色から選べるオリジナルのノートをプレゼントするなどして、サービス内容をアピール。その結果、会場の中でひときわ目を引く「LUMI-COⓇ」ブースは、来場者でごった返すほどの大盛況となった。
「特に女性からの評判が良く、“色がきれい” “これでどんなデザインにしよう”と言ってくださるお客さまがたくさんいました。男性の方々も興味を示され、印刷費についてよく聞かれました。展示会後に電話でご挨拶した時も、“ああ、あのきれいなブースの”と覚えていてくださっていたお客さまも多く、顧客訪問に至る確率も高かったです」
イリデッセの高い表現力によるメタリックカラー印刷が、お客さまとのコミュニケーションのきっかけになっているといえそうだ。
「LUMI-COⓇ」ブランドで制作したオリジナルのカラーチャート
展示会でサンプルとして配布した「LUMI-COⓇ」のカード(左)と、自社の名刺(右)。
イリデッセのバリアブル印字機能を活用し、1枚ごとに色を変えた華やかなデザインは来場者の注目を集めた
メタリックカラーの24色で展開したオリジナルノート。
表紙右下の番号は、カラーチャートの番号と合わせるなど、細やかな工夫を盛り込んでいる
■「高品質なものを」というニーズに応える提案
採用事例も増えてきた。例えば、あるお客さまの創業15周年記念誌(発行数:1,000部)の案件では、「高品質なものを作りたい」というニーズに対して、イリデッセの強みであるメタリックカラーを使った表紙の印刷を提案。その際に、類似の事例のサンプルや、「LUMI-COⓇ」ブランドの提案活動の一環として制作したカラーチャートを提示して、お客さまとイメージを共有することに配慮した。そのかいもあり、お客さまに納得いただいたうえで、この提案は採用された。
「しかし、提案は通ったものの、先方のデザイナーはメタリックカラーを使ったPODの経験がありません。データ上で見ていた色が実際にはどんな色に仕上がるのか、刷ってみないと分からない。その不安を解消すべく、印刷過程では、お客さまに刷り上がったサンプルを確認していただき、細かな色味を調整しながら完成に近づけていきました」と北山さんは語る。
印刷過程での苦労はあったものの、完成した15周年記念誌は高い評価を得ることができた。お客さまからは、「名刺の印刷にもぜひ、このメタリックカラーを使ってみたい」との声も上がっているといい、他案件受注へのきっかけも生まれている。
表紙にメタリックカラー印刷を施した、創業15周年記念誌
■メタリックカラー印刷を、自社の強みとして育てていく
イリデッセを導入したことでできることが増え、提案内容の幅は大きく広がった。一方でそれは、自社の提案力が試されることも意味する。
「多くのお客さまは興味を持ってくださるのですが、“実際に印刷してみないと分からない” “デザインの幅が広がる分、難易度が増す”などという声もよく聞かれます。当社としてもまだ慣れていない部分はありますが、お客さまと綿密なコミュニケーションを取りながら、一緒にものづくりをしていきたいです」
今後、サン・ブレーンでは、「LUMI-COⓇ」ブランドのサンプルのラインアップを拡充するなどして、提案活動を強化していく考えだ。
「新しい機械を入れただけでできる提案は、どこの会社でもできます。新しい機械を使って、自分たちは何ができるのかが重要。自社独自の強みとして、『LUMI-COⓇ』を育てていきたいですね」
昨今のマーケティングやブランディングの分野では、単に必要な「機能」ではなく、独自の「世界観」や「価値」を提供できるものへの評価が高まる傾向にある。イリデッセの導入によって、「LUMI-COⓇ」という独自の世界観を構築できたことは、サン・ブレーンが今後、付加価値の高い印刷サービスの領域で勝負していくうえで、大きな武器となるのではないだろうか。
メタリックカラーの表現力を生かし、デザイン性を高めたオリジナルのグリーティングカード
■お客さまプロフィール
株式会社サン・ブレーン
住所: 東京都豊島区東池袋5-44-15
URL: https://www.suna.co.jp/about/group.php#Sunbrain
1990年、株式会社サンエー印刷の企画・制作部門として設立。企画・デザイン、印刷物からWEB、ブランディング・VI、さらにイベントプロモーションやオンデマンドなどの印刷サービスまで、多彩なクリエイティブサービスを提供し、顧客の課題解決を支援している。
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