CCCアートラボ株式会社様
三島由紀夫超大型写真集
オフセットと遜色ない印刷品質に高い評価
モノクロ写真の滑らかな階調表現や優れた色安定性で満足できる仕上がりに

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三島由紀夫超大型写真集

Jet Press 750S採用事例


日本近代文学、戦後政治思想において大きな足跡を残した三島由紀夫氏。その死から50年となった2020年11月25日、三島氏の超大型写真集『OTOKO NO SHI」がCCCアートラボ株式会社(本社:東京都渋谷区南平台町16-17、代表取締役社長:久保田佳也)から出版された。これは篠山紀信氏が撮影、横尾忠則氏が装丁・編集したB2版(515×728mm)の超大型写真集を蔦屋書店のプライベートブランドとして企画・刊行したものだ。初版50部(篠山紀信・横尾忠則両氏のサイン入り)、価格50万円(税抜)というこの豪華写真集の印刷には、富士フイルムのインクジェットデジタルプレス『Jet Press 750S』が採用された。同写真集を企画・制作したCCCアートラボ株式会社 PB & Salesユニットリーダー・藤井隆氏と、CCCアートラボ株式会社 取締役で光村推古書院株式会社 代表取締役でもある合田有作氏のお二人に、『Jet Press 750S』採用の理由や仕上がりに対する評価について伺った。


■超大型写真集 BIG BOOKについて

CCCアートラボは、蔦屋書店・TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブのグループ会社で、アートに関する生活提案事業の運営と業態開発を行なっており、銀座蔦屋書店・京都岡崎蔦屋書店は同社の直営店舗となっている。また、光村推古書院はCCCアートラボグループの出版社である。『OTOKO NO SHI』では、藤井氏が企画、合田氏が制作進行をそれぞれ担当した。
藤井氏が所属するPB & Salesユニットは、蔦屋書店のプライベートブランドを手がける部署で、『BIG BOOK』はそのカテゴリーの一つである。
「豪華で大型の写真集BIG BOOKは、銀座蔦屋書店がオープンした4年前にスタートしました。アートファンやコレクターに向けて数十部という少部数で発行しています」(藤井氏)

三島由紀夫超大型写真集

三島由紀夫超大型写真集

BIG BOOKは、銀座蔦屋書店内での展示や、直接ファンやコレクターにアプローチする売り方を中心としている。また、店舗に足を運ぶのが難しい海外のコレクターなどに向けたインターネット経由での販売も行なっている。


■三島由紀夫BIG BOOK『OTOKO NO SHI』

『OTOKO NO SHI』で使われている写真は、50年前に三島由紀夫氏が『男の死』という写真集の企画のために、写真家篠山紀信氏を指名して、自らを被写体として自死の直前まで撮影させた歴史的なものである。CCCアートラボは、三島氏が企画した『男の死』において装丁する予定であった画家の横尾忠則氏にこの本のデザインを依頼した。写真の選択から編集、デザイン、レイアウトを横尾氏に完全に任せ、篠山氏が撮影したモノクロ写真に横尾氏が色彩を施した前衛的な編集となっている。
「当時のことをよくご存じの篠山先生と横尾先生と一緒につくることができれば、最高のものができると信じていました」(藤井氏)
本来なら50年前に刊行されていたはずの写真集が、2020年に超大型写真集BIG BOOKとして刊行された。このことについて藤井氏は「非常に光栄なことです」と語る。


■篠山氏、横尾氏も仕上がり品質を高く評価

BIG BOOKはターゲット層を絞り、高品質な写真集として販売しているため、過去のBIG BOOKもすべてデジタル印刷で数十部単位の少部数の発行となっている。今回『Jet Press 750S』の採用に至った経緯について合田氏はこう語る。
「Jet Pressの階調表現が非常に素晴らしいということは以前から聞いていました。従来のデジタル印刷機の課題であった色の表現域の狭さや、グラデーションの滑らかさ、走査線の問題が、Jet Pressでは解消されているということなので、一度使ってみたいと興味を持ち、富士フイルムデジタルプレスの天谷さんに相談しました
CCCアートラボでは、BIG BOOKを作成する際、実際にデジタル印刷機で出力したサンプルを事前に著者やアーティストに見てもらい、印刷品質の判断を仰いでいる。
「今回もJet Pressで印刷したサンプルを篠山先生や横尾先生に事前にお見せして、その非常に高い印刷品質をご確認いただきました」(藤井氏)
『OTOKO NO SHI』では、本の強度を高く保てるよう、斤量が厚く裂けにくい紙を4種類選び、テスト印刷を行なった。その際の印象について、合田氏はこう振り返る。
「この作品ではモノクロが主になるので、黒のアンダー部分の深い締まりや、モノクロ階調の滑らかさなどを重点的に確認しました。また、50年前に35mmフィルムカメラで撮影されたものをレタッチせずに印刷するので、粒子がどのように出るかもポイントでした。実際に印刷するまでは、デジタル印刷ではブラックの濃度がオフセットに比べて弱くなるのではないかと思っていたのですが、Jet Pressで印刷したものを見ると、まったく遜色なく、満足できる仕上がりでしたね」(合田氏)
最終仕上がりについても、「Jet Pressの素晴らしい印刷品質があらためて実感できる」合田氏は評価する。
『OTOKO NO SHI』では赤や青の平網(ベタ)部分があるのですが、平網の濃いところが非常にきれいに出ている。ごまかしがきかないところも、すべてきれいに再現されていて、これは素晴らしい印刷品質だなと思いました。安定性も申し分ありません。見開きで1枚の写真が使われているページでは、左右で色の差が出てしまうのではないかと懸念しましたが、実際にはまったく差が出ませんでした
『OTOKO NO SHI』の仕上がりには、篠山氏・横尾氏も満足しているという。
先日、完成した写真集を横尾先生にお持ちしたところ、『こんなに驚きがあったのは初めてだ』と仰っていました。篠山先生も、期待以上の出来栄えに大変喜んでいらっしゃいます」(藤井氏)
Jet Press 750Sによる『OTOKO NO SHI』の印刷品質を高く評価する藤井氏と合田氏は、今後もアートの分野でJet Pressを活用していきたいと考えている。
「BIG BOOKはもちろん、アートのマルティプル作品、アートグッズなどでも、Jet Pressを活用できるのではないかと思っています」(藤井氏)
「今回の企画で、Jet Pressは写真作品などの原作品に近い品質が出せるということがわかりました。非常に大きな可能性を感じています」(合田氏)

三島由紀夫超大型写真集


■お客様プロフィール
CCCアートラボ株式会社
住所: 東京都渋谷区南平台町16-17 渋谷ガーデンタワー
URL: //www.ccc-artlab.jp/

光村推古書院株式会社
住所: 京都市中京区河原町通三条上ル 下丸屋町407-2 ルート河原町ビル5F
URL: //www.mitsumura-suiko.co.jp/

■関連リンク
枚葉型インクジェットデジタルプレス「Jet Press 750S」

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