現実と仮想空間、デジタルとアナログの
架け橋になるような表現を

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映画監督・映像作家
奥 秀太郎氏

2002年『壊音KAI-ON』で商業映画監督デビュー。『日本の裸族』がブエノスアイレス国際映画祭正式出品に、『カインの末裔』がベルリン国際映画祭正式招待作品に選ばれる。『赤線』『USB』『星座』『Blood』シリーズなど監督作多数。一方で舞台の映像プランナーとして、宝塚歌劇団『ベルサイユのばら』『はいからさんが通る』や、東宝ミュージカル『エリザベート』『モーツァルト!』、NODA MAP『走れメルス』『THE BEE』などを手掛ける。舞台演出家としても手腕を発揮し、能と最先端の映像を融合させた『3D能』『VR能攻殻機動隊』は、海外でも高い評価を得ている。


作品を生み出すだけでなく
スターはシーンを創り出す

 奥秀太郎さんの肩書は「映画監督」ですが、実際には舞台の映像プランや演出、クラブイベントやファッションショーの映像演出など、非常にお仕事の幅が広いですよね。どういう経緯で活動の場を拡げていらしたんですか?

 そのときどきに関わってきた皆さんとのご縁で、と言うしかないでしょうね。もともと、中学・高校時代から映画や演劇、音楽には興味を持っていたのですが、当時(1980年代終わりから90年代初頭)は、バンドブームがあって小劇場も盛り上がっていて、漫画やアニメにも凄い作品がたくさん生まれていた時代です。

 とくに小劇場の演劇は熱かったですよね。

 当時、新宿の紀伊国屋書店の近くにシアターTOPSという劇場があったんですが、松尾スズキさんの『大人計画』、三谷幸喜さんの『東京サンシャインボーイズ』、いのうえひでのりさんの『劇団☆新感線』、KERA(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)さんの『劇団健康』などが出ていて、僕もよく観に行っていました。

 それぞれの劇団に、宮藤官九郎や阿部サダヲさん、段田安則さんや西村雅彦さんなど錚々たるメンバーが所属してましたよね。

 いま現在、テレビや映画、書籍などメディアを超えて活躍しているスターたちがいたわけですから盛り上がって面白いのは当然ですが、観客との距離が近かったので、まるで自分もそこに加わっているような感じがありました。

 実際に奥さん自身、その舞台裏に加わっていらしたと。

 2006年にシアターTOPSが閉館する際の企画上演で、幸運にも、東京サンシャインボーイズの舞台映像スタッフとして参加できたんです。感慨深く、熱い体験でした。

 やはりスター性のある人たちは、存在感が違いますか。

 彼らは演じたり歌うだけでなく、シーンをつくることができるんですね。劇団にもバンドにもクラブカルチャーにもそれぞれ独自のシーンがあり、しかもボーダレスでした。KERAさんはバンド(有頂天)をやりながら演劇をやっていたし、宮藤官九郎さんや阿部サダヲさんもバンド(グループ魂)をやっていました。

 当時、奥監督自身が仕掛けたイベントなどはあったのですか?

 クラブシーンについて言えば、1995年に東京・恵比寿にあったMILKというクラブで、世界10カ国のクラブを回線で繋いでモニターに映し出し、リアルタイムに同期させるというイベントを企画したことがありました。僕は映像を担当したんですが、当時はまだインターネットが普及する前のことですから、富士通に専用回線を引いてもらいイベント用のネットワークを構築したんです。残念ながら回線の状態が不安定で、映像がモノクロになったり固まったりはしたけれど、世界中をネットワークで結んで同時進行で何かを進められるというのを目の当たりにして、「へえ~こんなことができるんだ」と、みんな面白がって見てくれました。


青春時代の2大バイブル
『AKIRA』と『攻殻機動隊』

 奥監督の関わる仕事には、新しい時代を予感させるものがたくさんありますが、その発想の源は何なのでしょうか。

 80年代の終わりから90年代初頭に、近未来を予言するような作品が同時並行的に出てきた、ということも大きいと思います。大友克洋さんの漫画『AKIRA』がアニメ映画化されたのは僕が中学1年生のときの夏休み。初日に観に行った記憶があります。『AKIRA』は東京オリンピック2020を予言するような描写が最近も話題になりましたよね。コミックス版も大好きで、中学時代は部活の部室に置いて、バイブルみたいに、みんなでいつも回し読みしていた(笑)。漫画でもう一つの金字塔は士郎正宗さんの『攻殻機動隊』です。これは『AKIRA』と並び自分の中では2大タイトルとも呼ぶべき作品で、僕自身も舞台化したことがありますが、インターネット上の「アバター」や「機体化」という概念や、いまで言う「メタバース」(仮想空間)を予見したかのような世界観がびっしり詰まっています。

 奥監督の過去の映画作品にも、いまの世の中を予言したようなものがありますよね。

 たとえば『カインの末裔』(2006年)という作品はベルリン国際映画祭に正式招待されたものですが、カルト教団が出てきたり、工場で銃を自作するエピソードがあったりして、日本中が驚愕した最近の暗殺事件に状況が酷似していると言えるかもしれません。また『USB』(2009年)は原子力発電所が爆発したあとの医学部受験生たちを描いた話ですが、放射能に冒された街を白い防護服を着て線量計を持ち歩いている人々の姿は公開当時「異様だ」と言われてほとんど受け入れられなかったのに、その2年後、まさに原発事故による放射能汚染によって社会が脅かされるという状況が現実になってしまったわけです。先取りしすぎると簡単には理解されない部分もあるけれど、時代がそれに追いついたときには意味がわかってもらえるだろうと。そう信じて、映画にしろ舞台にしろ、先を走れるならできる限り先を行きたいと思っています。だからマニアックと言われる作品ができてしまうんですけどね(笑)。

 時代を予見するのも芸術作品の一つの役割ということでしょうか。

 僕が一緒に仕事をしている人の中には、そういう作品の作り方をする人が多いですね。たとえば野田秀樹さんは日本を代表する劇作家・演出家で、本当に芝居の神様みたいな存在ですが、もの凄くマニアックに時代に切り込むような作品を作る人です。

 最近もご一緒だったとか。

 2022年に、野田さんの演劇企画制作会社NODA MAPが『Q』という作品でヨーロッパツアーを行なった際に僕も映像スタッフとして一緒に回らせていただきました。「Q」はQUEENの頭文字で、イギリスを代表するあの有名なロックバンドのアルバムをメインモチーフに『ロミオとジュリエット』と『源平合戦』を融合させた、野田さんらしい独創的なストーリーなんですが、まさかこのツアーで、女王陛下が亡くなったばかりの英国を訪れることになるとは!本当に驚きましたよ。大きな悲しみと混乱に包まれているイギリスで上演しているその劇中に、『ロミオとジュリエット』から採った葬儀のシーンがたくさん出てくるわけです。先につくった舞台に現実が追いつく瞬間に立ち合えた、とても不思議で貴重な体験でした。

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カインの末裔

2007年ベルリン国際映画祭
フォーラム部門正式出品作品。

出演/渡辺一志、田口トモロヲ、
古田新太、内田春菊

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USB

2009年製作。

出演/渡辺一志、桃井かおり、
峯田和伸〈銀杏BOYS〉、大森南
朋、大杉漣、野田秀樹


時代の最先端技術と
日本の伝統芸術を融合

 奥監督自身の作品には、日本文化に深く関わるものが多くありますね。その中で、ここ数年、精力的に手がけている『3D能』『VR能』はどのような経緯で生まれたのでしょうか。

 大学で日本文学を専攻していたためか、和の物とは縁が深くて、これまで歌舞伎の市川海老蔵さん、故・中村勘三郎さん、落語の立川志の輔さん、書道家の武田早雲さん、三味線の吉田兄弟、といった日本を代表する伝統文化の担い手の方々と舞台映像や演出の仕事で関わらせていただきました。「能」に出会えたのも、その流れからです。

 日本の伝統芸の中でも、能というのは、かなり神秘的な感じがしますね。

 能は、現実と死後の世界を行き来する設定が主流で、登場人物も誰が誰だかわからないような、境界が曖昧な設定が多い。舞台装置も演出も無駄なものが削ぎ落とされ、限られた表現で観客の想像力に訴えて最大のパフォーマンスを発揮するんですね。

 ストーリー性はどうなんですか。

 物語としても大変文学的で、日本人の本質に迫ったものが多くあり、たとえば歌舞伎と比べてもより奥深さを感じます。ただし、それをわかりやすく娯楽的に訴えるのではない。芥川賞を獲る現代の若い女流作家が表現するようなヒリヒリした感覚。そんな張りつめたものが、室町時代に生まれた能に、すでに詰まっているんです。

 それで、あえて最新技術を融合させてみようと考えたわけですね。

 観客に能面型の3Dメガネをかけてもらって立体映像の中で能を見ていただくという、古典能を3D映像と組み合わせたプロジェクトを数年前に始めました。国内はもとより、シンガポールやフランス、イタリアなど海外でも上演し確かな手応えを感じたのですが、古典能だけでやっていると、中身は大変面白いのに、なかなか間口が広がっていかないんですね。そこで新作能として新たな演目をつくり見せ方も変えていこうと思い取り組み始めたのが『VR能攻殻機動隊』です。

 「VR×能×攻殻機動隊」というまったく異質なものが並ぶと、どんなものが体感できるのか、思わず興味を引かれますね。

 3D能の先に何があるのかを見据えたときにまず考えたのは「メガネやゴーグルなしにVR映像を楽しんでもらう」ということでした。もともと舞台の映像技術に関しては、中学・高校時代の同級生である明治大学の福地健太郎教授とこれまでいろいろ試みてきており、さらにこのプロジェクトでは、攻殻機動隊に登場する“光学迷彩”という技術を現実化する研究で有名な、東京大学の稲見昌彦先生の力を借りることができたので、ゴーグルなしで、より面白く進化したものを表現できるものと、始めから確信していました。

 ライフワーク的な演目になるのではないですか?

 『攻殻機動隊』のヒロイン草薙素子は現実空間と電脳空間を自由に行き来しながら、その姿も変幻自在です。インターネットができる前に描かれた作品であるにもかかわらず、いま話題のメタバース(仮想空間)を予見し、そして未来のさらなる可能性も示唆しています。舞台芸術として出会った能と、昔から大好きだった『攻殻機動隊』に共通する世界観を一つに融合できれば、間違いなく世界に誇れる日本発のエンターテインメント作品になるはずだと、これまで何度か上演するたびに新しい技術や見せ方を投入してきましたが、この作品はこれからも、時代の変化に応じてじっくり進化させていくつもりです。

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すぐ近くまで来ている
「人機一体」という未来

 大学の研究と聞くと、難しくて自分たちとはかけ離れたもののように感じますが、舞台で視覚化されると、こういうことか!とわかりやすく楽しめますね。

 稲見先生は、『攻殻機動隊』に出てくる“仮想空間と現実空間を自由に行き来でき自由な形で存在できる「自在化身体」”というものをさまざまな角度から研究なさっています。端的に言うと“五感や、身体のパーツごとの、感じ方によるシミュレーション”なんですが、触覚や味覚は舞台上で表現するのは難しいので、まずは視覚を追求することから始めています。たとえば、自分は何を見ているのか?もし、自分が見ていると思っているものと実態が異っているとしたら?そういう根本的な疑問をどんどん突き詰める形で発想していき、その過程を舞台上で、役者の動きや映像とともに見せていく、という感じですね。

 演出家と大学の研究室が共同で舞台をつくっていくプロジェクトというのは、とても興味深いですね。

 稲見先生の研究室には標語のように「人機一体」と書いて貼ってあるんですが(笑)、その言葉を体現しているような人を見つけたので、ぜひ自分たちの舞台に出てほしいと依頼しました。東京パラリンピック2020の開会式で注目を集めた義足モデルの海音(あまね)さんです。

 出演を依頼した舞台とは?

 2022年11月4日に東京・豊洲の『IHIステージアラウンド東京』で1日限定上演した『自在化コレクション』という舞台です。研究者とともに「自在化身体」を求め時空を旅するナビゲーター的なヒロイン役をお願いしました。その舞台には、日本を代表するバレエ団であるKバレエカンパニーの振付師による振付で彼女自身が、研究室作製の最新の義足を使ってVR映像の中で踊るシーンがあるんです。機械である義足がやがて人の足になる、もしかしたら健常者以上のことができるようになるかもしれない。そこに新たな希望が見出せるのではないか。たとえばアニメ化もされたコミックス『コブラ』の主人公は右腕が銃になっている、でも生身の腕を失っていることは彼のハンディキャップになっていません。『攻殻機動隊』の登場人物たちもみんな何かしらの欠落を抱えつつ、それを武器に変えている人物として描かれているわけです。

 「人機一体」とは、何だか壮大な世界ですね。

 いや、そんなに大袈裟に考えなくても、身近なところだと歯のインプラントだって人機一体の一つですよ。要は、人がハンディと感じる部分がその人のアドバンテージになり得る、逆転の可能性があるのだということ。そういう未来は、意外と近いところに来ている気がしています。いままでだとエンターテインメントの世界はあくまで未来の空想でしたが、実はすでに現実に近いところまで来ている。それを、映像や展示も含めて体験してもらうための試みが『自在化コレクション』という舞台でした。

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VR能攻殻機動隊
最先端のバーチャルリアリティ映像と日本の伝統文化の能と、サブカルチャーの金字塔『攻殻機動隊』が融合した作品。観世流の若手能楽師が伝統的な能のスタイルを崩さず、虚像を交えた映像の中で、現実と仮想空間を行き来する物語を演じ、国内外で高い評価を得た。


研究者たちが「守る」ものを
エンターテインメントで「攻める」

 『自在化コレクション』のクレジットを見ると、日本国内はもちろん、ヨーロッパやアジアなど各国の研究者の名前がずらりと並んでいて、このテーマの研究が世界中で進んでいるということがよくわかりますね。

 自在化身体を研究すると言ってもいろいろなアプローチがあって、『自在化コレクション』に関わっていただいた研究者の専門分野もバーチャルリアリティやロボット、神経科学、認知心理学、経営学など、非常に幅広いんですよ。そのうちのお一人、フランス国立科学研究所のゴウリシャンカー・ガネッシュ先生は運動パフォーマンスの研究者ですが、今回の舞台では『ラ・ロボットグラフィティ』というタイトルで参加してくださいました。パリのグラフィティ(落書き)アーティストと日本人の書家がそれぞれ自分の作品を書いている動きを映像で流し、その二人の動きをロボットが集約して一つの作品=グラフィティを描く。そうした一連の流れをパフォーマンスとして映像化するという、とてもユニークな構成です。また当日は、ガネッシュ先生と電気通信大学の宮脇陽一先生の共同研究で「6本目の指」というプロジェクトも披露されました。人工的に6本目の指をつけたプロのミュージシャンが、合計12本の指で作曲・演奏したらどうなるか。今回はキーボーディストの細海魚さんに作曲と演奏をお願いしたのですが、実際に指が6本あると弾いている感じも全然違うし、これまでにない曲の作り方ができるのだそうです。

 イベントは盛況だったようですね。

 今回の『自在化コレクション』では、研究者の方々が守らないといけない部分をどうやってエンターテインメントにするか、よりわかりやすく面白く、夢中になるような科学を舞台で見せられるか。つまり守る部分と攻める部分をいい意味で戦わせながら作品にしていくということを、みんなでやっていきました。そんな意識を共有できる素晴らしい仲間たちに出会えたのは本当に幸せでした。

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自在化コレクション
東京大学・稲見昌彦研究室をはじめ、日本・海外の、バーチャルリアリティや、ロボット、脳神経科学など多彩な専門を持つ研究者が「自在化身体とは何か」を極めた研究成果を、義足のモデル・海音や6本の腕をつけたアクションパフォーマーのサカクラカツミ、12本の指を得たキーボーディストの細海魚らが生身の身体で体現。

自在化コレクション ダイジェスト -Jizai Collection / Short Version- https://youtu.be/8thZid9ldUk


日本とイタリアが隣合う
そんな世界があってもいい

 未来の形と言えば、ウイルスと人類の闘いというのも、しばしば小説や映画の題材になってきましたが、今回のコロナ禍によって、奥監督のお仕事もかなりの影響を受けたのではないですか?

 『VR能攻殻機動隊』が高く評価され、少しずつバージョンアップしながら上演を続けコロナ禍の中でも生き抜くことができたのは大きな自信になりましたが、明らかに打撃を受けた仕事もあります。2019年から進めていた“日本・イタリア共同制作”の映画が、イタリアとの連絡が断絶してしまったことで突然ストップせざるを得なくなったんですね。

 いまも状況は変わらないのですか?

 2022年後半に入ってようやく海外へ出張できるようになり再開の目処が立ちそうで、ほっとしています。

 イタリアとの共同制作は大変そうですが、実現したら素敵ですね。

 日本の文学作品を下敷きに現代風にアレンジして、ヴェネツィアと東京で撮影しようと計画しています。ヴェネツィアって水の都という異名があるように移動も物流も基本は運河を使うから車が一台も街の中に入れないんですよ。だからこそ大昔の風景がそのまま残っている。そういうところがとても映画的なので、いまから撮影が楽しみです。

 今回も、奥監督ならではのマニアックな(笑)展開があるんでしょうか。

 昔ながらの水の都、というイメージとは逆に映画の中ではメタバースと連動して、日本とイタリアが隣にあるような設定にしても面白いかなって思っています。マルコ・ポーロが長い航海を経て辿り着いたら、実はすぐ横に日本があった、みたいな(笑)。身近にあると思っていたものが、本当はどこにあるのかわからない、日本のものかと思っていたらイタリアのものだったの?みたいに、見ている人の頭の中に「?」がたくさん浮かんでくるような作品にしたいですね。

 どんな映像表現になるのか、いまから楽しみです。

 映像ってデジタルで無機質でスタイリッシュな表現もできるけど、自分がやりたいのはもっとアナログで人間的なものなんです。だからデジタルとアナログの境界なく、僕自身が、バーチャルリアリティの最先端技術と人の営みを結ぶ架け橋になれたらいいなと思っています。その鍵になるのは案外、芝居の熱気だったり、劇場だったり泥臭い稽古場だったり楽屋での人のひしめきみたいなものかもしれない。そう考えて舞台の仕事も大事にしています。

 どんな未来になろうとも、人間らしさは失いたくないですね。

 コロナ禍以降Zoom会議が当たり前になったように、私たちは予想以上に早く近未来に追い付いていっています。メタバースだってそんなに特別なものじゃなく、そのうち、インターネット上の企業ホームページはメタバースにとって代わるでしょうし、人はみなアバター(分身のキャラクター)を持つのが普通になり、七五三でその年のアバターをつくるための撮影キットが神社に置かれるようになるかもしれない(笑)。そんな未来をあれこれ思い描きながら、これからも、自分にしか表現できないような世界を創り出していきたいですね。

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