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印刷品質を左右する
「色」の基礎知識

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ほとんどの印刷会社で「色」に関するトラブルを日常的に経験されているのではないでしょうか。「色見本どおりに色が出せない」「前回の印刷物と色がなかなか合わない」など、印刷現場で色調整に苦労されている話をよく聞きます。
印刷現場で色調整に時間が掛かると印刷機の稼働率が下がりますし、刷り直しや校正回数の増加が発生すると、紙やインキの材料費や人件費といった、さまざまなムダも発生してしまいます。
「色」のトラブルの原因はさまざまですが、そもそも「色」とは何なのでしょうか。

1.色はどうやって認識するか

「光源」「物体」「視覚(人)」の三要素で色の見え方が決まります。人が見ることのできる光の波長(=可視光)は380~780nm(ナノメートル)で、紫色から赤色までの範囲となります。

「物体」の色は「光源」の種類(太陽光、白熱電球、昼光色蛍光ランプ、水銀ランプなど)によって異なって見えます。「物体」の色の見え方に影響する光源の特性を「演色性」と言います。

また、例えば色校正と印刷物が、ある光源下では同じ「色」に見える場合でも、別の光源下では異なって見えることがあります。これは「メタメリズム」と呼ばれる現象で、インクジェット用紙と印刷本紙間で発生しやすい傾向があります。
そのため、校正や色見本など、印刷物の「色」を評価する場合は、営業部門、制作現場、印刷現場で同じ色評価用の光源に環境を揃えることが、色調のトラブルを減らすことに繋がります。

近年導入が進んでいるLED照明でも、色評価用の照明が各メーカーから販売されていますが、LED照明での観察方法にガイドラインが確立されていないため、現在、日本印刷学会と照明学会によりガイドラインの策定が行われています。

FFGSでも、色評価用の超高演色LED照明を取り扱っておりますので、LED照明化を検討の際は、ぜひご相談ください。


2.色の表し方

色を球体で表したイラスト色は「色相(色あい)」「明度(明るさ)」「彩度(あざやかさ)」3つの要素の組み合わせで表します。現在、最も使用されている色を表す方式がL*a*b*表色系※(L*a*b*:エルスター・エースター・ビースター)です。
※国際照明委員会(CIE)規格。明度をL、色相と彩度を表す色度をa・bで表わす。

L*a*b*表色系では、色の差を2点間の距離で表します。この色差を△E(デルタイー)と言い、色管理の指標として使用されています。

色の視認性を表したイラスト

色を数値で管理すれば、例えば印刷物とプルーフの色が合わない場合に、「印刷物の方が赤っぽい」といった感覚的な表現ではなく、具体的にどの程度の色差があるかが客観的に表せますし、どの色を調整すれば目標に近づくかが明確になります。また、印刷機やプルーフの基準をLab値で決めておけば、継時によって色の再現が変化しても、感覚的に調整するよりも早く、決めた基準の状態に調整することができるので効率化にも繋がります。

今回は「色」に関する話題をご紹介しましたが、今後も、カラーマネジメントの基礎や印刷の安定性向上など、印刷物製作において品質向上に関わる情報をご紹介していきます。印刷品質や色に関するお悩みもFFGSにぜひご相談ください。

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