今、あらためて考えてみる、 デジタルプレス活用の可能性について

記事をシェアする

コラム第5回のMV

デジタルプレスの生産性や印刷品質は年々向上しており、特に最新の機種では、色域や品質の安定性でオフセット印刷を凌駕する機種や、紙だけではなく、金属やフイルムに印刷できる機種も登場しています。
また、デジタルプレスを活用する場面も、インクジェットの技術が向上するにつれて、商業印刷や出版印刷、パッケージ印刷、シール・ラベル印刷、サインディスプレイといった、さまざまな分野で活用が拡大しています。

デジタルプレスの特長とは

このように幅広い分野で導入が進むデジタルプレスの特長について、あらためて従来の印刷と比較して
整理してみましょう。

1.小ロットや短納期への対応
版を作る工程が減る分、印刷までの時間や工数が従来の印刷と比べて削減できます。また、修正があった場合の対応も容易で、少ロットの印刷も無駄なく印刷ができます。

2.印刷品質が安定しており、機械操作の習得も容易
デジタルプレスは、例えばオフセット印刷での水とインキの調整といった変動要因が少ないため、印刷の品質が安定し、機械の操作も従来の印刷と比べると容易に習得できます。

3.バリアブル印刷
印刷用の版を使わずデータから直接印刷するので、1部ずつ違った内容を印刷することができます。
例えばDMの場合、宛名はもちろん、送付する相手一人ひとりの興味・関心に合わせて異なる内容のDMを印刷することもできます。

図1 バリアブル印刷を活用したDMイメージ

新規オープン案内やVIP招待封筒のDMのイメージ画像

デジタルプレスを
有効に活用するには

このような特長を持ったデジタルプレスですが、有効に使うにはどのような活用が考えられるでしょうか。

オフセット印刷と併用することで、印刷工程全体の生産効率を上げる
最新のデジタルプレスは品質が向上し、オフセット印刷と遜色ない印刷品質で印刷できます。そのため、オフセット印刷と併用して使用することも可能となり、小ロットはデジタルプレス、中ロット以上は既存のオフセット印刷といったように、ロットに合わせて使い分けることで、既存のオフセット印刷機の稼働率が上がり、印刷工程全体の生産効率を上げる効果が期待できます。

自動化/省力化
印刷の生産工程全体で自動化を実現するには、デジタルプレスの活用が前提となります。また、工場内の自動化だけではなく、複数の工場で連携して生産する場合には、印刷品質が安定しているデジタルプレスの活用が有効です。

バリアブル印刷や極小ロットへの対応など、付加価値の高い印刷物の提供
近年では、スマートフォンやSNSの普及により、企業もこれを活用したマーケティングが増えています。各企業が消費者個々のニーズに合わせた商品やサービスの提供を増やすことで、今後さらに多品種・極小ロットの印刷の需要が増えることが予想され、これに対応するためには、デジタルプレスの活用が有効な手段となります。

図2 複数拠点で連携したデジタルプレスの活用

デジタルプレスを活用する事で結ばれるネットワークのイメージをイラストにした画像

オフセット印刷機も、最新の機種では版替が自動化され、刷り出しもどんどん早くなり、これまで以上に小ロットに対応できる印刷機が登場しています。しかし、小ロット化はさらに進んでおり、消費者ごとのニーズに応える極小ロットの販促物や、数十部単位の出版物など、デジタルプレスを活用しなければ生産することが難しい印刷物が増えています。まだまだ従来の印刷と比べると制約もありますが、デジタルプレスで使える用紙やサイズは徐々に増えており、デジタルプレスが活用できる場面も広がっています。

「働き方改革」や人材確保などの今後の課題に対しても、デジタルプレスによる省力化、スキルレス化は解決策の一つになるでしょう。また、バリアブル印刷といった新たな付加価値で事業を拡大するには、これまで以上にクライアントとの事業と密接に係わり、販促の企画やディレクションが求められますが、デジタルプレスの導入で省力化、多能工化を進めることで、よりクリエイティブな仕事に人材を活用することも可能となるでしょう。

記事公開:2019年8月

記事をシェアする

コラム一覧へ戻る