個別ニーズ対応で価値を高めるために
いま印刷の生産現場にできることとは?

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コラム第1回のMV

多品種・極小ロットの効率的な生産が
消費者個人のSNS発信で加速

これまで日本の製造業は、高い技術力に基づいた高品質な製品を大量に生産することで、発注者のニーズに応えてきました。ここでは熟練オペレータの技術や経験が、企業の競争力の源泉の一つとなっていました。
それが現在では、SNSなどソーシャルメディアの普及によって消費者が互いにつながり、個人の発信が製品の販売にも影響するようになったことで、より消費者一人ひとりの嗜好に合わせた商品が求められるようになりました。
その結果、これまでの「高品質な製品を大量に提供する」という競争から、「より消費者の個別ニーズに合った商品を『付加価値』として提供する」といった新たな競争に変わってきています。
これにより、製造現場でも、熟練オペレータが品質を作り込むこれまでの方式から、付加価値の高い多品種・極小ロットの製品を効率的に生産できる方式への転換が求められているのです。
こうした消費者とブランドオーナーの変化に対応するため、印刷会社の生産現場では、図のような課題が生まれてきています。

印刷会社を取り巻く 環境変化と今後の方向性

印刷会社を取り巻く 環境変化と今後の方向性

印刷の技能や現場力を維持するために
工程全体の自動化・省人化への準備を

また最近では、「人材の確保」「技能の継承」といった「現場力の維持・強化」も課題の一つとされており、経産省の統計では、「人材の確保」がビジネスに影響を与えていると考えている経営者が、2016年の23%から2017年には32%に上昇するなど、人材不足による影響が徐々に顕在化している現状がうかがえます。

人手不足対応ができているか?
デジタル人材等は確保できているか?

人手不足対応ができているか?デジタル人材等は確保できているか?

印刷業界でも、「人材の確保」や「技能の継承」、「小ロット・多品種への対応」が、各社の生産現場で抱えている共通の課題となっているのではないでしょうか。これに対応するには、今後の労働人口減少も踏まえて、高いスペックの機器の導入といった設備単体の強化に加えて、生産工程全般にわたる自動化・省人化に向けた製造プロセス全体の見直しが必要になると考えられます。


実際に進む自動化・省人化とは?
各工程の現場の今とこれからを紹介

昨年のIGASでは、多くのメーカーで「スマートファクトリー」の概念が打ち出され、富士フイルムも「多品種・大量生産」を実現するこれからの生産システムとして「FUJIFILM Smart Factory」を発表しました。また、当社も参加した「Smart Factory Zone」が出展企業の協賛で企画されるなど、「ICT/IoT」も活用した将来の印刷工場が各メーカーから提案されていました。
この連載では、将来的な「スマートファクトリー」も見据えて、今、まず印刷の生産現場で実現できる取り組みについて考えていきます。制作、刷版、印刷、後加工といった工程ごとに、実際に取り組まれている自動化・省人化の事例や、各工程におけるこれからの生産現場の展望についてご紹介していきます。

記事公開:2019年6月

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