情報がデジタル化する中、販促や情報発信で「印刷物」を選んでもらうためには、普段意識されにくい「印刷物ならではの利点」を明確にし、自社の強みと共にお客様にアピールすることが大切になっています。
今回は、印刷物に求められること、そしてそのためにできることを、あらためて考えてみたいと思います。
発注者が「印刷物」に求めることとは？
発注者が特にデジタルとの比較で印刷物の魅力を感じるのは、主に以下の二つではないでしょうか。
①情報を分かりやすく伝えられる
紙ならではの一覧性・網羅性の高さや比較検討のしやすさ。読みやすい構成・編集、レイアウト、書体を追求しやすいことなど。
②感情に訴えることができる
印刷ならではの美しい画像や色表現のほか、基材の手触り感など、五感に訴えやすい。
これらを生かした写真集、車やファッションのカタログ・雑誌、デザイン性の高いパッケージなどは、感動や癒やしなど、手に取ったり置いたりすること自体が価値になり得ます。
これらに関連する印刷物ニーズとして、例えば以下のものが見られます。
●個人の好みに訴え、手に取られるDMや販促物
近年は、デジタル広告やメール配信で消費者が受け取るデジタル情報があふれ、以前より効果が落ちていることから、手に取られやすい紙のDMの活用事例も増えています。
お客様の購入履歴に合わせて、DMに載せる商品情報などを変えるバリアブル印刷も活用されています。DMに印刷したQRコードでプロモーションサイトへ誘導し、商品認知を深めたり、効果測定を行う販促施策も見られます。
また、SNSでは埋もれてしまう口コミ情報を、チラシやDMの鮮やかなデザインで印象的に訴求し、販促に役立てている例も見られます。
●感情に訴え、残したくなるグッズやパッケージ
例えば、アニメや2.5次元ミュージカル（ゲームやアニメ、文学などを演劇化したもの）などの人気作品では、ファンが手元に残す数多くのグッズの売上が特に好調です。また、ギフトを意識した和洋菓子やファッション雑貨、外国人向けのお土産品などでは、光沢感や手触りの良さを持つ基材、広い色域のデザインを生かしたパッケージが使われ、若い女性の間では「パケ買い」でギフトを選ぶということも見られます。
●情報を分かりやすく伝える読み物
公益社団法人全国出版協会によると、2019年は紙の出版物の推定販売金額が前年比2.3%の微減だった中、ビジネス書や新書などは前年を上回りました。じっくり考え、知識欲を満たしたい人向けのこうした分野では、紙ならではの読みやすい構成・編集、レイアウト、書体の工夫で、印刷物の良さを生かすことが一層求められています。
より「求められる印刷物」を作るために
これまでの印刷物の良さをきちんと発揮し、さらに印刷発注者の期待を超える価値を付加することで、他社との差別化が図れ、お客様の囲い込みにもつながります。
そのために、以下のような方法が挙げられます。
①多色・高色域印刷
これまでも、CMYKにオレンジやグリーンを加えることで色域を広げる多色印刷はありましたが、色の管理や作業工数が複雑になるため、なかなか日常的に活用されてきませんでした。
しかし、最近ではデジタル印刷機の進歩により、高色域の印刷や多色印刷を安定して実現することが可能になっています。
②高精細・FMスクリーン
ディティールの再現性を高め、モアレ・ジャギー発生を抑え、彩度がアップする効果もある高精細印刷やFMスクリーンも挙げられます。これらは以前からある技術ですが、最近では完全無処理版の登場により、薬品処理が無くなったことで刷版上の網点再現が安定し、これまで以上に取り組みやすくなっています。ただ、印刷機の安定化も重要なため、日常的な印刷機の管理が重要となります。
③印刷の安定化
例に挙げた印刷物をはじめ、お客様が求める短納期、小ロット、人の目を惹く色表現や基材の質感を生かした印刷性能などを実現するためには、いずれも「印刷の安定化」が重要です。日々のメンテナンスにより、常に同じ色品質、網点品質や濃度などの印刷品質を維持・管理することで、トラブルや紙・インキなどの無駄を減らし、効率的に高品質な印刷を実現できます。
FFGSでは、「お客様により求められる印刷物」を実現するさまざまな製品やソリューションを提供しています。ぜひお気軽にご相談ください。
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