株式会社インサイド様
アクリルグッズ製造における
面付け作業を大幅に効率化
最適なレイアウトをわずか数分で算出。
材料コスト削減、見積り精度向上にも寄与

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Phoenix事例_インサイド様MV

Phoenix導入事例


 アクリルグッズの製造をメインに手がける株式会社インサイド(本社:東京都墨田区亀沢1-3-2、代表取締役:早川陽祐氏)は、2020年3月にジョブプランニング・面付けソフトウェア『Phoenix』を導入し、面付け作業の効率化、見積り精度の向上に加え、材料コスト削減などの効果を挙げている。アクリルグッズ製造においては、「複雑な形状のオブジェクトの多面付け」が多く、材料の単価も高いことから、「面付けの最適化」によるメリットは大きい。では、具体的にどのような効果が出ているのか。同社のデザイナー・高橋一光氏に伺った。


■サイズも形状もまちまちで、面付けの難易度が高い

 インサイドは、2004年の創業以来、紙メディアを主体とする印刷事業を展開してきたが、3年ほど前にアクリル事業部を立ち上げ、キーホルダーやアクリルスタンドといったグッズの製造を開始。近年のサブカルチャー市場の拡大などを背景に、アニメキャラクターのグッズを中心に受注を伸ばし、現在はアクリルグッズ製造が主力となっている。また、MDFという木材系の素材やPVC(ポリ塩化ビニル)を使ったグッズ、缶バッジなどの製造も手がける。生産拠点は、両国の本社・第一工場(東京都墨田区)と、赤羽第二工場(東京都北区)、寄居工場(埼玉県大里郡寄居町)の3カ所あり、レーザー加工機17台、UVインクジェットプリンター20台という、業界屈指の設備規模を誇る。

グッズ商品同社が手がけるグッズの数々。アクリル製品のほか、MDFやPVC、キャンバスなどを使ったものもある

 中国をはじめとする海外生産の商品が多く流通するアクリルグッズ市場だが、同社は一貫して国内自社生産にこだわり、優れた機動力と高い品質を強みとしている。とくに品質管理に関しては、制作、印刷、加工、セット・梱包の各工程での検品を徹底しているほか、各プリンターの定期的なキャリブレーション、機種間の高精度なカラーマッチングなどによりロット間・ロット内での色の整合を図っており、品質の安定性の高さはクライアントから高く評価されている。
 このように、高い品質と生産性の両立を追求している同社だが、その中で課題となっていたのが、面付け作業の効率化だった。アクリルグッズの製造では、アニメキャラクターなどの複雑な形状のオブジェクトを1枚のアクリル板に面付けし、印刷・カットするのだが、この面付けのレイアウトが、使用するアクリル板の量およびコスト、廃棄量を左右するため、非常に重要な工程であり、かつ難易度の高い作業でもある。専任の担当者がIllustrator上で面付けを行なっていたという。
「紙の印刷では決まった判型がありますが、アクリルグッズは形状がまちまちなので、人の手で無駄なく面付けするには、かなりの経験とノウハウが必要になります。とくに、種類が多くロットもまちまちな商品を付け合せる場合などは組み合わせが難しく、ある程度経験を積んだオペレーターでも半日以上かかることも珍しくありませんでした」(高橋氏)
 この状況を改善するため、面付けを自動化・効率化できるツールを検討した結果、たどり着いたのがPhoenixだった。
「早速Phoenixをテスト導入してみたところ、複雑な形状のものでも効率よく入れ子面付けができ、スピードも速い。機能も使い勝手も好印象でしたので、迷わず導入を決めました」(高橋氏)


■半日かかっていた作業をわずか数分で自動処理

 同社では、Phoenixと同時に、RPAツール『Enfocus Switch』も導入。両者を連携運用することで、面付けに関わる工数の削減効果を高めている。Switchで設定したホットフォルダに入稿データを入れるだけで、印刷用データへの変換から、Phoenixによる面付け、さらに、面付けされたデータをインクジェット出力用データとレーザー加工用データに分版するところまで、一気通貫で自動処理することが可能。これにより、経験を必要としていた面付け作業が、誰でも簡単に行なえるようになった。
 Phoenixのメリットがとくに活かされるケースについて、高橋氏はこう語る。
「一つは、商品の種類が多くロット数がまちまちなケース。もう一つは、商品の形状が複雑なキャラクターなどで、かつ商品のサイズが大きくロットも大きいジョブに有効です。大サイズの商品の面付けというのは意外と難しく、『人が考えると1枚に3個しか入らないが、Phoenixで算出すると4個入る』ということが多々あります。また、ロットが大きければ、その分、面付けの最適化によるアクリルの削減効果も大きくなります。Phoenixは私たちが思いつかないような面付けパターンを出してくれたりするので、感心しますよ(笑)」(高橋氏)
 昨今、アクリル板の単価が上がっていることもあり、同社では「いかにアクリルの使用量・ロスを減らし、材料コストを抑えるか」が重要な課題となっている。Phoenixは、この課題に対して大きな効果を発揮しているのだ。
「まだ正確な数字は出せていませんが、仮にアクリル板の使用量を月あたり平均500枚減らすことができれば、年間で6,000枚の削減、金額にすると何百万円の単位になりますから、コストメリットは相当大きいですね」(高橋氏)
 また、Phoenixによる面付けが活かされたケースとして、こんな例もある。
「あるとき、かなり大きいロットの急ぎの仕事が入り、概算ではアクリル板が1,000枚ほど必要だったのですが、当社のアクリルの在庫が800枚しかありませんでした。納期が短いので、追加で仕入れている時間もなかった。そこで、Phoenixで面付けを行なったところ、みごと800枚以内に収まったのです。このときは本当に助かりましたね。もちろん、かなりのコスト削減にもなりました」(高橋氏)
 一方、Phoenixは材料コスト削減だけでなく生産性向上にも大きく寄与している。高橋氏によれば、「印刷用データへの変換から面付けデータの分版まで含め、長くても5~6分程度で完了する」という。
「同じ作業をオペレーターが行なうと、やはり半日程度かかってしまいます。Illustrator上での物理的な作業にも時間がかかりますが、どんな組み合わせが最適なのかという判断が難しい。これがほんの数分で算出でき、しかも人を選ばないというのは大きなメリットですね」(高橋氏)
 面付けのスピードアップの効果は如実に表れており、導入前は1日5件~10件しか対応できなかったところ、現在は50件ほどこなせるようになっているという。

Phoenixによる面付け作業風景

Phoenixによる面付け作業。複数種類のアイテムの面付けも、わずか数分で自動処理できる


■営業部門での見積り作成にもPhoenixを活用

 同社ではPhoenixを、制作部門の面付け作業だけでなく、見積り作成にも活用している。以前は面付けの詳細なシミュレーションが行なえなかったために正確な見積りの作成が難しく、しばしば実際のコスト(アクリル板の使用量)との差異が生じていたためだ。
「いままでは、マクロ設定したExcelのシートに商品のサイズなどを入れて、面付けの概算を出していましたが、あくまで数値のみでの算出なので、実際に面付けしてみると1枚に収まらないというケースもあったのです。その結果、見積りよりもアクリルの使用量が多くなり、コストもオーバーしてしまうことが少なからずありました」(高橋氏)
 実際の面付けでは、プリンターの印刷可能範囲をすべて使い切れるわけではなく、トンボ付近は少し内側に避けなければならないなどの制約がある。Excel上の見積もりでは、そうした細かい条件まで加味した計算はできないため、実作業の結果との誤差が生じてしまうのだ。一度クライアントに見積りを提出し承認されれば、基本的にはその金額で受注しなければならない。納期の問題もあるため、見積りの再提出という後戻りはできず、見積もった枚数で収まらなかった場合は赤字になってしまう。
「とくに、サイズが大きいものや形状が複雑なものは、見積りをオーバーしてしまいがちでした。営業から現場に『見積り段階で実際に面付けした結果を見せてもらえないか』と相談されたこともありましたが、さすがに現実的ではない。Phoenixならそれができるのではないかと考えたのです」(高橋氏)
 見積りの段階では、詳細な形状は決まっておらず大まかなサイズしかわかっていないケースも多いため、Phoenixで見積りを出す場合も、そのサイズの数値をもとに面付け結果を算出することになる。ただ、『ここはトンボが近いから調整が必要』といった判断は可能になるため、形状が決まって実際に面付けした結果、見積もった金額を超えてしまうことはないという。
「Phoenixでは、サイズや数量を入れたCSVファイルを読み込むだけで簡単に面付けのシミュレーションが行なえるので、より高精度な見積りを素早く作成することができるようになりました」(高橋氏)

第一工場のインクジェットプリンターとレーザー加工機

第一工場のインクジェットプリンターとレーザー加工機。充実した設備で、増加する需要に応えている


■製造工程全体のオートメーション化を目指す

 従来ネックとなっていた面付け作業の大幅な省力化・時間短縮、そして見積り精度の向上により、生産性向上、コスト削減などの効果をあげているインサイドでは、今後Phoenixの活用範囲をさらに広げていく考えだ。高橋氏は、Phoenixの機能面での進化にも期待を寄せる。
「当社が行なっているようなアクリルグッズの製造を想定したオプション機能なども用意していただけるとありがたいですね。たとえば、1枚のアクリル板の中に複数のエリアを設定し、それぞれのエリアごとに面付けできるような機能があると、アクリルスタンドのような商品で使いやすくなると思います。アクリルスタンドは、本体と台座で1セットの商品ですが、台座はほぼ共通の形状なのに対して、本体は商品によって形状がまちまちです。そのため、面付けの際には、それぞれエリアを分け、台座の配置は固定した状態で、本体を入れ子で面付けしていくことができれば効率がいい。このように、アクリル製品特有の使い方もサポートしていただけると、活用の幅がもっと広がるのではないかと思います」(高橋氏)
 最後に、会社全体での今後の取り組みについて、高橋氏は「製造工程全体にわたってオートメーション化を進めていきたい」と力を込めた。
「国内自社生産の体制はこれからも維持していきたいですし、品質に関しても、いままで以上のものを目指しています。こうした当社の強みをぶらすことなく、さらなる効率化・コスト削減を図っていくことが課題ですね。そのために、印刷やレーザー加工などの工程においても、できるだけ人手のかからない環境をつくりたい。今回のPhoenixによる面付けの効率化は、製造工程のオートメーション化の第一歩と捉えています」(高橋氏)


■お客様プロフィール
株式会社インサイド
住所:東京都墨田区亀沢1-3-2
URL:https://inside-jnet.com/

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