経営セミナー講師に聞く
「我が社の成長戦略ストーリー」 Vol.1

「必勝M&A戦略による服部プロセス成長の方程式」
服部プロセス株式会社 代表取締役 服部晴明氏
第1回:服部プロセスグループの現状と変革の軌跡

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「服部プロセス流の仕事のやり方を持ち込み、定着させる」ことが、M&A成功のカギ

中林 続いて、「M&Aと企業再生の時代(2004年から現在)」を振り返っていただきたいと思います。御社は、M&A先の企業に服部プロセス流の仕事のやり方・仕組みを持ち込み定着させるという手法を通じて、これまで14社の再生に成功されています。そのポイントを教えていただけますでしょうか。

服部社長 私どもが行なうM&Aの特徴の一つに、本社からは「常駐の責任者を送り込まない」ことが挙げられると思います。リーダーが短い期間だけM&A先の会社に行って、効率の良い方法を実際に見せながら指導する。その際、我々は「教える」というよりも、私たちのやり方を「真似してください」というスタンスで接しています。我々のやり方を「どう真似すればいいか」を伝えるんですね。現場で作業している皆さんは、それを見れば明らかに効率がいいということを理解してくれます。あとは、それを真似してもらう。工場ならだいたい1週間ぐらいで定着しますし、制作部門は、1週間ほど指導して、その後はWeb会議や電話などでフォローすることが多いですね。

中林 具体的には、どのように教えているのですか?

服部社長 こちらからリーダーが現場に行くケースもありますが、タイミングよく仕事が動いているとは限らないので、作業の様子を動画に撮って送ってもらい、チェックすることもあります。最近では、zoomもよく使っていますよ。あるパンレットの仕事について、「うちでやるならこうする」というのをzoomで見せたら、画面の向こうで腰を抜かしていました(笑)。「もっと早く服部さんに出会いたかった」と。これは本当にあった話です。
 中には保守的な人もいますが、効率的な方法を見せると、「この作業はどうすれば早くできるのか、もっと詳しく教えてほしい!」と食いついてくる人も必ずいますので、そういう人たちに、具体的な仕事の中で「どう真似したら良いか」を教えています。

中林 服部社長は、まず、服部プロセス本社で、このやり方でスピードを上げて、効率を高める体制を長年かけて確立されましたよね。基本的な考え方は、とにかく作業の早いオペレーターのやり方を聞き出して、皆に真似させるんだと。

服部社長 たとえば制作部門で、断トツに操作の早いスタッフを見つけたら、「どんなやり方をしているのか」を聞くんですね。すると、「こんなショートカットキーを使っています」とか、自分で様々な工夫をしていることがわかってきます。それを教えてもらって、全員で使うようにするんです。そういうことを繰り返していき、仕事の仕方を標準化していって、誰がやっても効率的に業務ができるようにして、部門全体の効率アップを図っていくわけです。もちろんこれは制作部門だけではありません。CTPの版の出し方にしても、面付のやり方とか、なぜオペレーターによって差が出るのか、どうやったらより早く出せるのか、私は現場でずっとそばに張り付いて、じっと仕事の仕方を見ていました。まぁ、その社員はやりにくかったでしょうけどね(笑)。営業でも、売上を伸ばす営業とそうでない営業がいる。伸ばしている人のやり方を、皆が真似すればいい。

中林 御社の効率的な方法を真似すると、M&A先の企業は具体的には、どれぐらい生産性が高まるのでしょうか?

服部社長 制作スタッフの場合は、平均すると同じ仕事を、それまでの約半分の時間でできるようになります。つまり生産性は2倍になる。経験の浅い人の場合は、最大で3分の1ぐらいまで時間短縮できることもありますよ。

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