株式会社苫小牧民報社 様
2ラインを一気に完全無処理化、大幅なコスト削減・工数削減効果を実感
自現機2台分の省スペース化により作業性も向上

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新聞用完全無処理CTPプレート「SUPERIA ZN」導入事例


 株式会社苫小牧民報社(代表取締役社長:横田泰正氏、本社:苫小牧市若草町3-1-8)は、2016年7月、道内で初めて富士フイルムの新聞用完全無処理サーマルCTPプレート『SUPERIA ZN』を本格採用し、完全無処理化によりコスト削減・環境負荷低減・作業効率アップを図っている。導入の背景や具体的なメリットなどについて、執行役員 役員室長 兼 メディア局長・鈴木知之氏、編集局 印刷部長・田中浩司氏に伺った。

■商業印刷での無処理運用実績と安定した機上現像性能が決め手に

自現機2台分のスペースが空き、作業性が大きく向上

 苫小牧民報社は、苫小牧市を中心とした胆振東部・日高地域向けの『苫小牧民報』と、千歳市・恵庭市・北広島市などの石狩南部地域向けの『千歳民報』の2紙を発行し、道央圏で圧倒的なシェアを持つ。1970年に道内で初めてオフセット輪転機を導入するなど、いち早く先進の設備を採り入れながら高品質な紙面づくりを追求してきた。印刷拠点は、2004年に開設した「苫民プレスセンター」(苫小牧市新開町)。最大24ページ印刷可能なタワー型輪転機を備え、CTP出力から印刷、発送までを行なう。このほか、関連会社の株式会社とまみん印刷センター(苫小牧市若草町)では、一般商業印刷、名刺・カード印刷などを手がけており、こちらでは商印用の完全無処理プレート『SUPERIA ZP』を使用している。

 新聞印刷の完全無処理化に踏み切った背景には、CTPセッターおよび自動現像機が置き換えの時期を迎えたことから、機器の更新と同時に、運用コスト削減を図る狙いがあった。
「セッターはより生産性の高いモデルに更新することにしましたが、自現機はオーバーホールして使い続けるよりは思い切ってなくしてしまった方がいいだろうと考え、無処理化の検討を始めました。ZPを新聞輪転機で印刷する場合、紙幅よりプレートの幅のほうが小さいためプレートの両端が印刷紙面内に入り、跡となってしまう可能性があります。その対応を考えていたところ、その対策が施されている新聞印刷専用のZNが発売されました。自現機がもう限界まで来ていたので、ギリギリのタイミングでした」(鈴木局長)

プレートは100%『SUPERIA ZN』で統一し、完全無処理化を達成

 同社にとって、『SUPERIA ZN』の登場を待ち望まれていたが、新聞用の完全無処理プレートという新たな技術の導入に、不安などはなかったのだろうか。
「商業印刷(とまみん印刷センター)では、フィルムセッターから有処理CTPを経ずに一気に無処理CTPに切り替え、問題なく運用に入れたという実績があったので、富士フイルムさんの無処理プレートに対しては高い信頼を寄せており、新聞に関しても大丈夫だろうという感覚を持っていました。また、道内で商印用のZPを新聞印刷で使っていらっしゃる新聞社さんへ、テスト前に見学をさせていただいたところ、印刷機の大がかりな調整などもせず導入でき、問題なく使えているということでしたので、それも安心材料になりました」(鈴木局長)

 無処理プレートの運用そのものは、同社グループ内で実践済みであったため、『SUPERIA ZN』の検証では、輪転機での機上現像性能を重点的にチェックした。すなわち、使用している輪転機およびインキ・湿し水で確実に機上現像できるかどうかを入念に確認。結果は極めて良好だった。
「『SUPERIA ZN』は、輪転機の設定を変えなくても、1回目から問題なく印刷できたので、安心して採用を決めることができました」(鈴木局長)
 同工場のCTPは2ラインの体制だが、無処理への切り替えはほぼ同時に行ない、ほどなく自現機を完全に撤去した。田中部長は「予想していたよりもスムーズに移行できた」と振り返る。
「従来の有処理プレートを使い切るまで、2週間ほど併用の期間がありましたが、2ラインともほぼ同時に切り替えました。その後現在まで、有処理に戻す必要を感じたことはありません。耐刷性はまったく問題ありませんし、エッジ汚れなどのトラブルもなく、いたって順調に運用できています」(田中部長)


■月2~3回の自現機メンテナンスがゼロに

 完全無処理化を図ってから半年あまり。最大の目的であったコスト削減については、「期待通りの効果が出ている」と鈴木局長は語る。
「まだ導入から1年経っていないので年間の集計データは出せませんが、現在のところ、ほぼ試算どおりのコスト削減効果が出ています。廃液処理費用や現像液の購入コストがゼロになり、また、自現機の稼働に要していた電力や水の消費量も削減できました。もちろんこれらは、環境負荷の削減という意味でも重要なメリットです」(鈴木局長)
「とくに、月に5万円ほどかかっていた廃液処理費用が、ゼロになったことによる削減効果は大きいです」(田中部長)

 また、無処理化は、コストだけでなく作業負荷の低減にもつながっている。具体的には、自現機のメンテナンスから解放されたことだ。以前は、清掃および現像液の交換を約2カ月ごとに実施していたが、水の交換なども含めると月に2~3回、メンテナンスを行なっていた。自現機の清掃には、1回につき1時間半ほどかかっていたという。これらがすべて、無処理化によってゼロになった。

 さらに、自現機がなくなった分、省スペース化が図れたことも、作業性の向上に寄与していると田中部長は話す。
「自現機2台分のスペースが空いたので、CTP周辺の空間に余裕ができ、プレートの運搬などの作業が格段にスムーズになりました。設備がコンパクトになることのメリットは、想像以上ですね。また、ZNは有処理プレートと同様、キズ耐性にも優れているので、従来と同じように安心して取り扱えるのもありがたい点です」

 無処理化の効果は、生産性や品質面にも表われている。
「現像工程がなくなり、露光が終わるとすぐに隣の印刷現場に持って行けるようになりましたから、その分、時間短縮が図れています。CTPセッターの高速化、作業性の向上とも相まって、生産性は間違いなく上がっていますね」(鈴木局長)
「自現機が古くなっていたため、以前は現像トラブルなどで焼き直しになることもありましたが、無処理化によってそうしたロスもゼロになりました。これは品質の安定化にもつながっていますし、無駄な工数・時間の削減にも貢献しています」(田中部長)


■プレートの安定供給ときめ細かいサポートの安心感

最大24ページ、カラー12面の印刷が可能なタワー型輪転機を備える

 新聞社にとって最大の使命は、毎日安定して新聞を発行すること。それを支えるCTPプレートに高い印刷性能や環境性能などが求められるのはもちろんだが、運用をサポートするメーカーの信頼性も重要な要素だ。この点について、鈴木局長はこう話す。
「資材を選ぶ際には、その製品自体の性能だけでなく、メーカーさんからつねに安定的に供給していただけるかどうかも重要視しています。その点、富士フイルムさんはしっかりと応えてくださっているので、安心感がありますね」
 また、田中部長は、現場で『SUPERIA ZN』の導入・運用を推進してきた立場から、FFGSのサポート対応についても高く評価する。
「検証の段階から、実際の導入に至るまで、しっかりサポートしていただき、細かいことでも相談に乗ってくださったので、非常に心強かったです。運用が始まってからも、疑問点などをFFGSさんに問い合わせると、すぐに答えをいただけるので、安心して使用しています」

 CTP・印刷現場の責任者として、機械設備はもちろん、プレート性能についてもつねに厳しい目で選定してきた田中部長は、今回の『SUPERIA ZN』導入について、「さまざまな面で無処理化の効果が得られている」と総括し、メリットの大きさを強調。そのうえで、今後の進化に期待する部分として、次のように語った。
「最も強く希望するのは、合紙レス化です。現状でも問題なく運用できていますし、多くの導入効果が得られていますが、有処理プレートのように合紙レス化が実現すれば、さらに生産性が上がり、無処理化のメリットは一段と大きくなると思います。富士フイルムさんのさらなる技術開発に、大いに期待しています」

※掲載内容は、取材当時のものであり、一部変更が生じている場合がございます。ご了承ください。


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