株式会社エイエイピー様
抜群の色安定性、広色域を活かし、
新たな需要創出に成功
作業効率・生産性が一段と高まり、
より人を活かしやすい環境に

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株式会社エイエイピー様事例紹介_MV

Jet Press 750S 導入事例


 静岡に本社を置き、さまざまなメディアを駆使したプロモーション支援を手がける株式会社エイエイピー(本社:静岡県静岡市駿河区森下町3-6、代表取締役社長:土屋康一氏)は、2020年3月に富士フイルムの枚葉型インクジェットデジタルプレス『Jet Press 750S』を導入し、本紙校正や小ロットの印刷物に活用しながら、製版部門・印刷部門の作業効率向上・働き方改革にも活かしている。また、専門の営業部隊によって、広色域やバリアブルなどの強みを活かした新たな付加価値提案も進めている。具体的な活用状況やメリットなどについて、専務取締役・土屋範之氏、事業本部 事業部長・稲木龍司氏、事業本部 プリントメディア事業部 部長・狩野真司氏に伺った。

事業本部外観Jet Press 750Sが設置されている事業本部

■旅館向け印刷業から総合広告商社へ

 エイエイピーは、熱海の旅館で支配人をしていた初代社長が1953年(昭和28年)に創業した。旅館の集客には印刷物で首都圏をはじめ全国にPRすることが必要だと考えたが、当時、地元には高品質な印刷物を依頼できる印刷会社がなかったという。そこで、自ら印刷会社を立ち上げたのが始まりであった。
 創業当初はパンフレットやDMなどの印刷物が中心だったが、次第に、館内・客室の備品の販売や、ペーパーバッグ(紙袋)、箸袋、お膳紙などの消耗品類、旅館で開催される各種イベントなど、旅館の集客支援をおこなう「総合広告商社」へと業容を拡大。その中で、ショッピングセンターや交通関連、メーカーほか一般企業の広報宣伝、販売支援も手がけるようになっていった。近年では、印刷物以外にも、イベント開催を始め、HPや動画の制作、Web広告、ドローンでの撮影、顧客管理、営業支援システムの開発・販売など、デジタル事業も積極的に展開している。
 現在、全国に7支店・4営業所を持ち、各地域のニーズを踏まえた営業活動を行なっている。グループ会社には、旅館の経営コンサルティングを行う株式会社リョケンと、ウェブサイトや業務アプリケーションなどのITソリューションを提供する株式会社プロフィックスがある。グループ全体の社員数は約400名で、うち営業が約200名、クリエイター・デザイナーが約100人、制作や印刷・商品開発などの事業部が約100名となっている。

現場_Jet Press 750S

小ロットの仕事を中心に、オフセットからJet Press 750Sへの移行も進めている


■高い再現性・安定性から、オフセットジョブの置き換えとして活用し短納期化を実現

 そんな同社が初めにJet Pressに着目したのは、従来使用していた本紙対応のデジタルプルーファーが生産中止になり、その代替機を検討しているときだった。印刷現場の技術・品質管理責任者である狩野部長はこう振り返る。
「色に厳しく本機校正を要望されるお客さまが多かったため、オフセットに近い再現性を持ち、かつ色の安定性に優れた出力機として、デジタル印刷機を検討していました」
 そんな中、狩野部長は、ある協力会社のJet Pressで出力した校正を確認した際、同社の要件を満たす品質だという印象を持ったという。また、クライアントから「園児が描いた約100種類の絵をB3サイズのポスターとして各2部ずつ印刷して飾りたい」という依頼を受けた際、Jet Pressを導入していた別の協力会社に相談したところ、印刷品質・コストとも納得のいく結果を得ることができた。こうしたことから、狩野部長は、生産機としてのJet Press 750Sに興味を持ったという。その後、既存設備の老朽化や今後の生産体制、将来の工場のあるべき姿を考える中で、オフセット印刷機の代替機として、デジタル印刷機を本格検討することになった。
「オフセット印刷の仕事を置き換えられることに加えて、バリアブルや、高品質かつ小ロットといった、オフセットではできなかった仕事が可能になり、これまで当社では扱ってこなかった紙製品、印刷商品の幅を広げられるのではないかと考えました」(狩野部長)
 導入にあたっては、Jet Press 750Sを含めて3機種のB2サイズ枚葉デジタル印刷機を比較検討したが、他社機種には、面内ムラや、スジの発生が解消できないなどの課題があった。しかし、Jet Press 750Sは、高精度なスジ検知・ノズル補正機能などにより、スジやムラなどの現象は見られず、また色の安定性も最も高かったことから導入を決定した。
オフセット印刷機とのカラーマッチングのとりやすさも、決め手の一つです。クライアントの期待に応えられる品質と判断しました」(狩野部長)
 実際に導入後、オフセット印刷の仕事をJet Press 750Sに置き換える取り組みが進んでいる。1,000部、2,000部といった小ロットの仕事にJet Pressを活用することで、刷版や前準備作業を削減でき、生産効率を高めているのだ。
 短納期対応力の向上にも大きく寄与している。本機校正を望むクライアントが多く、以前は午前中に数台の印刷機が本機校正の対応となり、生産性を落としていた。現在は、夜に受けたデータをJet Press 750Sで朝までに出力し、翌日午前中には発送することが可能となった。
印刷後の発送まで含めた効率化が図れたことで、短納期のご要望にも確実に対応できるようになっています」(狩野部長)


■働き方改革、人材確保・育成にも大きなメリット

 さらに、同社がJet Press 750Sの導入を決めた背景には、印刷現場の労働環境改善や働き方改革、機長の育成時間の短縮などへの期待もあった。数名いるベテランのオフセット機長が定年を控えている一方、若手の人材確保が課題になっていたためである。
「若手人材から見てオフセット印刷の現場はやはり重労働ですし、機長として独り立ちするのに5年ぐらいはかかります。こうした人材育成面の課題も何とかしたいと考えていました」(狩野部長)
 Jet Press 750Sの導入時は、富士フイルムビジネスイノベーションの『Iridesse Production Press』を運用している製版部門で管理するか、印刷部門で管理するかを検討したとのことだが、今後の展開を考えると印刷オペレーターも上流工程からデジタルに関わっていく方が良いと判断し、印刷担当者から2名、製版経験者から3名の融合部隊での運用を決めたという。これにより、Jet Press、Iridesse、オフセット機をすべて扱えるマルチタスク人材の育成を目指す。
 Jet Press 750Sの導入後、従来数名の専任者を置いていた刷版工程についてもJet PressとCTPの兼任とするなど、CTP出力の無人化も進んだ。また、Jet Press 750Sは機械トラブルがオフセット機と比べて圧倒的に少なく、計画的に業務を完了できるため、残業時間が減ったり有給休暇も取得しやすくなるなど、現場社員のワークライフバランスが改善しているという。

現場_Iridesse

事業本部にはIridesse Production Pressも導入。小ロット・高付加価値印刷の提案に活かしている


■品質重視のクライアントから「Jet Press指定」の受注も

 エイエイピーでは、稲木事業部長を中心とした専門部隊がJet Press 750Sの特徴を活かして、新たな顧客を開拓する営業を担当している。これまでに県内の制作会社、美術館、ギャラリーなどに足を運び、ニーズを確認しつつその特長を訴求してきた。
とくにデザイナーさんや制作会社さんは、オフセットと見分けがつかない再現性、いつ何枚出力しても変わらずに得られる安定性と狙った色が表現できる広色域モードに興味を示されることが多いですね」(稲木事業部長)
 ギャラリーや美術関係者では、チラシやポスターなどの販促物以外に、販売品にしたいという反応が多く見られたという。たとえば、印刷品質に満足できず作品集づくりを諦めていたある画家にJet Press 750Sを紹介したところ、感触が良かったことから、第1弾として絵本を出版。その仕上がりは非常に好評で、第4刷まで増刷を重ねている。現在、本格的な作品集を製作する話も進んでいるそうだ。
 2020年3月の導入から精力的な営業活動を進めた結果、最近では、ポスターや中吊り広告、作品集など、品質重視の仕事を「Jet Press指定」で受注できるようになっている。
色にこだわるお客さまほど、Jet Press 750Sの良さをすぐに理解していただけますね。用紙の汎用性も広く、希望の表現が叶うJet Pressで印刷してほしいというニーズは確実にあると実感しています」(稲木事業部長)
 バリアブルで、かつ高品質が求められるような仕事も、自信を持って受けることができるようになったという。
「数百社の協賛企業名をバリアブルで入れるカレンダーの仕事がありました。入稿日はバラバラで、複数回に分けて印刷するというものでした。オフセット印刷では、印刷日が異なると、写真画像の色を合わせることは難しいですが、Jet Press 750Sなら、いつ依頼が入ってきても同じ色再現が得られます。これはJet Pressならではのメリットですね」(土屋専務)

出力サンプル

Jet Press 750Sによる出力サンプルの数々


■デジタルツールも組み合わせ、新たな付加価値提案に注力

 エイエイピーは今期(2021年10月期)、デジタル印刷部という新たなセクションを立ち上げた。
「SP(販売促進)やデジタルメディアなどを担当する他部署と連携して、さまざまなデジタルソリューションの中でデジタル印刷の割合を増やすこと。これがデジタル印刷部の使命です」(土屋専務)。
 印刷会社や制作会社などの同業者に対しても積極的に提案を行なっていく考えだ。
これまで印刷業界では、同業者に対して自社の設備や得意な仕事などをあまりオープンにしてきませんでしたが、最近は、自分たちの強みを活かしながら協業していこう、という流れに変わってきていると感じます。当社でも、Jet Press 750Sを同じ課題を持った同業の方々にも大いに活用していただきたいと考えています」(稲木事業部長)
 さらに、今後は受注拡大・売上アップだけでなく、Jet Press 750Sの活用による労働環境改善や働き方改革などの効果を、いま以上に高めていきたいと土屋専務は語る。
「デジタル印刷の環境は、オフセット印刷の現場と比較すると、静かでクリーン、しかも重労働も少ない。この快適な作業環境が、オペレーターの定着率向上につながることも期待しています」
 また、デジタル事業を積極的に展開している自社の強みをいかし、各支店と一緒にデジタル印刷商品を企画・開発する取り組みを進めるとともに、Jet Press 750S活用の成功事例集を作成し、全国の支店・営業所に横展開している。
 コロナ禍が落ち着いても、当面は7割経済が続くと言われるいま、エイエイピーでは、これまでと同じ発想で紙の印刷の市場を大きく伸ばすことは難しいと考えている。そんな中、今後の戦略について土屋専務は、「Jet Press 750Sの強みと、MA(マーケティングオートメーション)などのツールを柔軟に組み合わせながら、“紙での新たな価値の提案”に取り組んでいく」と力を込めた。


■お客様プロフィール
株式会社エイエイピー
住所:静岡県静岡市駿河区森下町3-6
URL: https://www.aap.co.jp/

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