2022年7月26日(火)、FFGSは富士フイルムビジネスイノベーション(以下、富士フイルムBI)との共催で、オンラインセミナーを開催しました。今回のテーマは「中小企業のリアルな事例から印刷会社の未来を考える~変化する経営環境に負けない『自社の強み』の見つけ方~」。
印刷会社を取り巻く事業環境が激変する中、会社を持続的に成長させるには、これまで以上に自社の特徴や強みを生かした独自の経営戦略が重要となります。今回のセミナーでは、行政機関の中小企業支援窓口や事業再構築補助金支援を行ってきた中小企業診断士による基調講演と、補助金制度を機に「自社の強み」を再発見し、新たなビジネス展開に挑戦し始めた印刷会社2社の具体的な事例紹介、そして、その活動を支援した富士フイルムBIが提供する経営支援ソリューションについてご紹介しました。
変化する経営環境に負けない「自社の強み」の見つけ方とは?
まず、基調講演で中小企業診断士の稲垣秀行氏が以下のように語りました。
不確実性が高い時代に、企業が持続的な成長を続けるためには、現在置かれている状況を理解した上で、それぞれ独自の「自社の強み」を生かした戦略を示すことが重要です。この強みを再発見するためには、「事業計画」の作成に改めて取り組まれることをおススメします。
新しい取り組みを始める際に、「エフェクチュエーション理論」の考え方は非常に役に立ちます。多くの中小企業様を支援してきましたが、皆さま強みと言える資産はたくさん持っているのですが、当事者自身ではなかなかそれを「強み」だと自覚しにくいことが多いです。そこで、外部協力者と一緒に取り組むことで、自分たちの強みに改めて気付くことが何より重要です。
大企業と違い、スピーディーに時代の変化に対応できることが中小企業の強みです。外部リソースをうまく活用しながら、今後目指す姿を明らかにし、「自己変革」につなげるヒントにしてください。
税制優遇・補助金制度を通して「自社の強み」を再発見する
「御社の『強み』は何ですか?」――この問いに悩んでしまう企業様に対して、富士フイルムBIでは、税制優遇や補助金制度申請の活動を通じて、「自社の強み」の発掘を支援しています。オンラインセミナーでは、富士フイルムBI 経営支援チームの中小企業診断士 江波戸良光が、以下のように解説しました。
経営支援チームでは、4つのソリューション:「1.税制優遇申請支援」「2.補助金申請支援」「3.SDGs」「4.事業承継」でお客さまをサポートしています。このうち、「1.税制優遇申請支援」「2.補助金申請支援」の各支援では、「事業計画」を策定することが必要になります。
経営力向上計画を例にした「事業計画」の概要
1. 企業の概要:事業分野など
2. 現状認識:顧客、市場動向、経営状況など
3. 目指す目標:経営力向上の目標と指標
4. 取り組みの計画:経営力向上の内容
この「事業計画」策定により、「自社の強み」を再発見するまでの流れを、ものづくり補助金での支援活動の例で紹介します。
まず、お客さまの「目指す姿」と、それを阻害する「経営課題」を明確にしていきます。具体的には、経営課題についてお客さまと経営支援チームで複数回ワークショップを開き、お客さまの「現状分析」に経営支援チームの第三者目線・複眼での意見を加えながら、3C(Customer:顧客、Competitor:競合、Company:自社)分析を実施。これにより、お客さま自身では気が付かない自社の強みや弱み、経営課題を明確にしていきます。
また、経営課題の中でも設備導入で解決できる技術的課題については、メーカー視点で深掘りしていくことで明確な解決策を掲示し、お客さまの目指す姿の達成方法を具体化していきます。
経営支援チームがこの一連の活動を通して、「目指す姿の設定」と「現状の分析」「課題の解決方法」を支援していくことで、多くのお客さまが「自社の強み」を再認識され、新しいビジネス展開に生かしています。
富士フイルムBI経営支援チームのご紹介
富士フイルムBIは、中小企業庁認定の「認定経営革新等支援機関」です。メーカー・販売会社としてITソリューションを提供すると同時に、補助金申請や税制優遇等の支援を行い、お客さまの事業計画の作成から実行までをワンストップで支えます。
「経営課題の発掘」から「事業計画の策定・実行」までのサポートを通じてお客さまの強みを発見し、強みを生かした計画実行により、お客さまの経営力向上に貢献します。
※複合機メーカーで唯一の認定機関です。(2022年8月時点)
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事例紹介
■楡印刷株式会社様
楡印刷株式会社 専務執行役員 浦勇和也氏
同社は札幌市で創業し、地元密着型の印刷会社として設備を増強。印刷から製本までの一貫生産に加えWeb、SNSなど印刷の周辺業務にサービス範囲を拡大して、「紙とWebのOne Stopサービス提供」を目指されています。
浦勇専務は、取り組むべき方向性を見い出すために、まず自社の現状を分析することが大事だと語りました。そして、「中小企業でも自分でできるDX」として事業計画を立てるにあたり、実施した3種類の分析を紹介しました。
① RFM分析:Recency(最近の購入日)、Frequency(来店頻度)、Monetary(購入金額ボリューム)により、自社の顧客を適切にセグメントする ② 製品別売上分析:製品別に単価や売上のトレンドを分析し、自社を取り巻く事業環境を明らかにする ③ クロスプロダクト分析:お客さまごとの製品・サービス売上分析を実施し、自社の軸となっている商品を明確にする
これらの分析結果に基づき事業計画を検討した結果、同社は「デジタル×オフセットのハイブリッド印刷で生産体制を強化し、マス媒体・パーソナル媒体のクロスメディア提案を推進する」という方向性を見い出し、ものづくり補助金を申請して採択されました。
■やまとびと株式会社様
やまとびと株式会社 取締役 堀井彬孝氏
同社は、奈良県に「共栄印刷」として創業。「印刷会社が地域に役立つためにどうすればいいか」を突き詰め、2019年に「やまとびと株式会社」へ社名変更。現在は「奈良に関心のある方へ、広く奈良のことを知ってもらうことを手伝う会社」として、印刷事業のほか、やまとびと事業などの4事業を展開しています。
堀井取締役は、「販促活動をトータルにサポートする販促BPOサービス」という事業計画を立て、事業再構築補助金の申請に取り組まれました。当初、「自社の強み」について社内で検討したものの、「これという決め手に欠ける」と悩みましたが、顧客の声を中心に再検証することで、「イベント運営や、広報、SNS運営といった情報発信・活用ノウハウを持つ」という強みを再発見しました。
この強みを生かしながら、「人材不足や業務効率化という、多くの地元企業が共通して抱える課題に対して一つの回答を出す」という観点でシナリオを組み、商品企画から販売活動に至るまでをトータルにサポートする「販促BPOサービス」を立案。富士フイルムBIの支援の下、事業再構築補助金を申請し、採択されました。現在はすでに複数社との間で具体的な案件が進行しているといいます。
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