印刷物の短納期化が進むなか、印刷の現場は納期と品質の両立という発注者の要望に応えるために、いろいろな苦労をされています。一見問題なく仕事が流れているように見えても、実は納期を優先するた
めに印刷現場ではムリやムダが起こっているケースもあり、それが見えない損失を生んでいます。
FFGSはこれまで、さまざまな印刷現場でお客様の具体的なご苦労をお聞きしてきました。今回はその中でも特に多かった事例をご紹介しながら、「働き方改革」を進める上で重要な、印刷現場の日々の課題について考えてみます。
日々の印刷現場の苦労とは
まずは、これまでにご相談の多かった、印刷現場で苦労されている代表的な事例をご紹介します。
◆リピートの仕事で色が合わない。色見本と色が合わない
「リピートの仕事で前回の印刷物と色がなかなか合わない」「渡された色見本どおりに色が出ない」など、色合わせで苦労されている現場は多いと思います。印刷機上でどうしても色を合わせられない場合、刷版カーブを調整して版を出力し直すケースもあります。色合わせに時間が掛かった結果、刷り出しの時間が遅れるだけでなく、印刷工程全体の生産効率も下がってしまいます。
◆印刷中に色が安定しない。汚れが発生する。
印刷中のトラブルで多いのがこの二つです。色が安定しない原因はいろいろありますが、印刷機のコンディションが安定していない状態で、納期に間に合わせるため高速で印刷する場合に、色が不安定になるケースが多く見られます。また、印刷中に汚れが起こると、印刷機を止めて対処が必要になり、刷了済みの印刷物の検品作業など、ムダな作業も発生してしまいます。
◆乾燥不良
印刷の乾燥不良が原因で、裏移りなどのトラブルとなることも多いようです。インキの盛り過ぎや、水の出し過ぎによる過乳化で起こることが多いですが、紙質によって乾燥が悪くなることもあります。裏移りを防ぐためにパウダーの量を増やすと、ボタ落ちの原因となりますし、ボタ落ちが起こらないように清掃の頻度を増やすと、結果的に作業が増えることにもなります。
基本的なことの見直しで根本改善が可能
今回ご紹介した事例には、組織的に以下の3つの対応をすることで、これまで多くの印刷現場が確実に改
善しています。
①日々のメンテナンスで印刷機のコンディションを安定させる
まずはこれが最も重要です。メーカーや年代によりメンテナンスが必要な箇所や頻度は変わりますので、診断用チャートの印刷による印刷診断などで、それぞれの印刷機の特徴を知ることも大切です。
②濃度管理などで印刷の色基準を決める
印刷機が安定したら、濃度管理などで印刷条件の基準を作ることで、印刷品質の安定化が図れます。印刷条件は、濃度管理のほか、印刷現場の温湿度管理など、複数の条件が必要となる場合もあります。
③決めた色基準で出力できるようにプルーフを合わせる
印刷品質を安定させることで、自社の印刷にあったプルーフの設定も可能になります。自社の印刷に合わせたプルーフですので、印刷での色合わせも無理なく行うことができるようになります。
これまでは、現場の方々の日々の努力で発注者の要望に応えることが、その印刷会社の付加価値を生む原動力にもなっていました。一方で、最近は「働き方改革」が呼びかけられ、労働環境の改善や生産の効率化が注目されています。
しかし、何も新しい設備を入れるだけが解決方法ではありません。今回ご紹介した現場で苦労されているひとつ一つを当たり前と思わずに、もう一度今までのやり方を見直すことで、印刷品質の向上だけでなく、「働き方改革」にもつながるのではないでしょうか。
FFGSはこれからも、お客様と一緒に現場の課題解決に取り組んでいきますので、どうぞお気軽にご相
談ください。
記事公開:2019年9月