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Revoria Press PC1120導入事例



富山県で80年近くにわたり総合印刷業を展開するとうざわ印刷工芸株式会社(本社:富山県富山市婦中町広田5210、代表取締役社長:東澤善樹氏)は、2023年6月に富士フイルムのカラープロダクションプリンター『Revoria Press PC1120』(以下PC1120)を導入し、小ロットジョブのオフセットからデジタルへの移行を進め、生産体制の最適化を図るとともに、オリジナル商品の企画開発により高付加価値ニーズの掘り起こしにも力を入れている。こうした取り組みの背景や現時点での導入効果などについて、代表取締役社長・東澤善樹氏、取締役営業統括部長・澤橋大介氏、制作部 制作管理課・中村祥二氏に伺った。
■ジョブ分析の結果をもとに、生産体制の見直しへ
1947年創業のとうざわ印刷工芸は、富山県に拠点を置き、長年にわたり地域に根差したサービスを展開する総合印刷会社。県内の官公庁、製造業、新聞社・出版社、広告代理店などをクライアントに持ち、商業印刷を中心に手がける。企画・デザインから印刷・加工までの一貫体制を備え、社内にカメラマンも在籍。観光ポスターやイベント関連のパンフレットなどでは写真撮影から印刷物制作まですべて内製できる点が強みとなっている。近年は、印刷物とARや電子ブックなどを組み合わせた提案や、生成AIを活用したコンテンツ制作にも取り組み、新たな需要の創出を図っている。
設備面では、活版印刷から始まり、オフセット印刷、DTP、デジタル印刷と、時代の変化に応じて新しい技術をいち早く取り入れてきた。デジタル印刷については、小ロット・短納期対応の一環としてトナータイプのPOD機を約20年前から活用している。しかしながら、オフセット印刷と比較した際の品質面には、長らく課題を感じていたという。
「導入当初から比べれば、トナー機の品質も大きく進化し、単体で見れば問題ないレベルまできていましたが、オフセットの印刷物と並べると差が出てしまう。そのため、オフセットからの切り替えには慎重でした」(東澤社長)
そんな中、2020年からのコロナ禍により印刷需要が急激に変化。小ロット化が一気に進み、オフセット印刷では頻繁なジョブ切り替えによるオペレーターの作業負荷増大、生産効率の悪化が顕著になってきた。
「早急に生産体制を見直す必要があると強く感じました。そこで、FFGSさんにジョブ分析をお願いし、通し数や作業時間などを可視化した上で、具体的な方策を検討することにしたのです。分析の結果、3,000通し以下のジョブが全体の約8割を占めており、その大部分をデジタル印刷に切り替えるのが合理的だということがわかりました」(東澤社長)
こうして、同社は新たな生産機として使えるデジタル印刷機の検討を開始。その際に最も重要視したのは「オフセットに匹敵する品質」だった。
「富士フイルムさんのショールームで、当社の会社案内を兼ねた写真集をPC1120で出力していただいたところ、その仕上がりはオフセットの印刷物と並べても判別がつかないレベルでした。スピードも、従来機より格段に速い。『これしかない』と確信しました」(東澤社長)

■小ロットジョブのデジタル移行で、「利益を出せる体質」に
PC1120の運用を開始して間もなく、オペレーションを担当する中村氏が実感したのは、出力品質とその安定性の高さだった。色再現性はもちろん、表裏見当精度も極めて高く、ロングランでもその品質が安定して維持されることから、見当ズレなどに対する不安や確認作業が大幅に軽減された。
「一度見当を合わせたら、あとは安心して流すことができます。途中で機械を止めて再調整する必要がなくなったのはありがたいですね」(中村氏)
作業時の安心感は、現場にとって非常に重要なファクターだ。また、出力中の確認・調整作業が不要になったことは、生産効率にも大きな効果をもたらしている。
「別のジョブの後加工なども並行して進めることができるようになり、より効率的に仕事を回せるようになりましたね。体感的には、生産性が従来の2~3倍に上がっている感覚です」(中村氏)
乾燥待ちがなくなったことによるメリットも大きい。出力後すぐに製本工程に入れるスピード感は、リードタイム短縮に直結している。
「本刷りの時間だけ見ればオフセットの方が早いこともありますが、刷版出力や印刷準備、乾燥待ちなども含めて考えると、小ロットジョブの多くはPC1120の方が有利。サイズなどの物理的な制約のあるもの以外はできるだけPC1120にシフトしていきたいと考えています」(澤橋取締役)
現状、オフセット機は8色機と4色機の2台体制だが、従来4色機を使用していた小ロットジョブは着実にPC1120への移行が進んでいる。これにより、4色機でのジョブ切り替えの頻度が抑えられ、付帯作業時間の割合も確実に減少しつつある。東澤社長は「時間やコストの無駄がかなり削減でき、会社として利益を出せる体質に変わってきている」と手ごたえを語る。

■独創的な“勝負名刺”でクライアントの心をつかむ
現在、PC1120とオフセット機の分岐点(使い分け基準)は約2,000通しに設定しているが、実際にPC1120で出力するジョブは、500通し以下のものが多いという。チラシやパンフレット、冊子類、名刺などのほか、官公庁の報告書や学校の広報誌など「ページ数はあるが部数が少ない」印刷物にも積極的に使用する。
一方、同社のPC1120は、生産効率を高めるだけでなく、現場の創造力を引き出すツールとしても機能している。
「特殊トナーやさまざまな用紙を組み合わせ、レーザーカッターやプロッターなどの加工機も駆使しながら、より付加価値の高い印刷物の提供に向けて、訴求力の高いサンプルづくりに取り組んでいます」(中村氏)
PC1120の色再現性や用紙汎用性を活かした表現の追求。この取り組みは、PC1120の安定稼働によって生まれた“余白時間”を活用し、現場主導で自発的に行なわれているという。
「空いた時間で『ちょっと試してみよう』とすぐにテストできるのも、PC1120の大きな魅力の一つですね」(中村氏)
そんな研究成果の一つが、社内で「勝負名刺」と呼ばれているオリジナル名刺だ。重要な商談や初対面の場面で使用することを想定し、特殊トナーやレーザーカットを組み合わせた、極めて凝った加工が特徴で、視覚だけでなく触覚にも訴える仕上がりを実現している。
「この名刺をお渡しすると、ほぼ100%、嬉しい反応をいただけますね。そこから会話が広がっていきますし、お客さまに覚えていただける。営業的に非常に有効だと感じています」(澤橋取締役)
この勝負名刺は、相手の記憶に残り、話題を生み、コミュニケーションを円滑にする“営業支援ツール”として効果を発揮している。実際、同業者や取引先から「同じ仕様でつくりたい」という要望が寄せられるなど、新たなビジネスのきっかけにもなっているという。
■生成AIとPC1120の活用で、推し活ツールにもチャレンジ

一方で同社は、新たな市場へのアプローチにも力を入れている。その一つが、推し活の分野だ。生成AIを活用してキャラクターなどのイラストを制作し、PC1120の特色再現などを活かしてさまざまなグッズに展開する。昨年12月、東京の展示会でサンプルを出展したところ、多くの来場者から関心が寄せられたという。
「推し活向けPRツールとして、メタリックカラーを使った缶バッジや、長尺ポスターなどをご紹介したところ、さまざまな分野のお客さまが興味を持ってくださり、あらためて需要の大きさを実感しました。『このキャラクターでノベルティを制作してほしい』というご依頼もいただき、予想以上の反響でしたね」(澤橋取締役)
この“推し活向けPRツール作成サービス”は、とうざわ印刷工芸にとって、自社ブランディングの観点からも効果のあるものになっている。
「依頼されたものをつくるだけでなく、自分たちで商品を生み出し、お客さまの要望に応じてアレンジして提供する。こうした能動的な提案・ものづくりを推し進め、『とうざわ印刷工芸はこんなお手伝いができます』ということを、もっと広く知っていただく必要があると考えています。PC1120を活用した商品開発は、そのための重要な取り組みと位置づけています」(東澤社長)

■部数は少なくても“ワクワクできる印刷物”を提供し続けたい
同社がPC1120の導入を通じて見据えているのは、従来型の大量印刷モデルからの転換だ。いまや情報伝達そのものはデジタルで完結する時代。「紙に求められる役割は変化している」と澤橋取締役は語る。
「単に情報を届けるだけなら、必ずしも紙である必要はない。だからこそ、紙には体験価値が必要だと考えています。私どもが目指すのは、“100人に向けた80点の印刷”ではなく、“1人に強く刺さる印刷”。部数は少なくても、手に取った人の記憶に残り、捨てられず、次の行動につながる印刷物を提供していきたいと考えています」(澤橋取締役)
東澤社長もこう続ける。
「紙の風合いや匂い、他にはないデザインで、ワクワクできるものをお届けできる存在になりたいですね。その結果、お客さまが喜んでくだされば、私たちも嬉しいですし、仕事がもっと楽しくなると思います」
この思いを具現化していくことは、他社との差別化にもつながり、とうざわ印刷工芸のブランディングになる。そしてこの差別化戦略を進める上で、PC1120の表現力と機動力は欠かせない要素になっている。
また同社は、社外との交流・連携にも積極的だ。学生や若手クリエイターなどに対し、実験や試作の場としてPC1120などの設備を開放し、新たな表現の可能性を探る取り組みも視野に入れている。
「試したい表現、アイデアがあれば、ぜひ声をかけていただきたいです。印刷の可能性はまだまだ広がるはずですので、一緒に面白いものをつくっていければと思っています」(東澤社長)
同社にとってPC1120の導入は、生産体制の最適化にとどまらず、印刷の価値そのものを見直し、企業としての方向性を明確にするための投資でもあったと言える。現場の創造力とPC1120との相乗、そして社外との化学反応で、これからどんなワクワクが生まれるのか、期待が高まる。
■お客様プロフィール
とうざわ印刷工芸株式会社
創業:昭和22年10月
住所:富山県富山市婦中町広田5210
URL:https://www.touzawa.co.jp/
■関連リンク
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