■工程間をいかにシームレスにつなぐかが今後の課題
安田 最後に、会社全体、あるいは竹橋プリンティングセンターとしての今後について、お聞かせいただけますか?
城所部長 全社の方針としては、『One Vanfu』というスローガンを掲げて、社員同士、部門間の連携強化に取り組んでいます。その中で、工場としては、営業・受注部門とのコミュニケーションを密にとりながら、「品質向上」を目指して業務の改善に取り組んでいきます。また、生産環境については、オフセットからデジタルへの移行をさらに進めていきたいですね。印刷から加工まで自動処理できるインラインシステムなども採り入れ、デジタルな工場にしていきたいです。そのために、ロールのインクジェット機など、新たな設備の検討も進めています。
橋本 100%デジタルを目指していらっしゃいますか。
城所部長 現実的には、オフセットとの共存です。Web受注の常備紙はデジタルに移行していきたいです。
橋本 お客さんがWebで注文ボタンを押したら、数時間後には加工まで終えて出荷されるイメージですね。
城所部長 そうですね。お客さまから完全データをいただければ、自動でデータチェックを行なってそのまま出力という、ネットプリンターのような感覚で仕事を回せるようにしたいと考えています。
安田 そうした生産環境の変革を進められる中で、富士フイルムグループに期待されることはありますか?
城所部長 一番は自動化のサポートですね。PressReadyと基幹システムの連携もそうですし、工程間の自動化なども進めたいと思っています。各工程の自動化はある程度できてきたものの、工程間でデータや印刷物を渡すところなどは、まだ人の介在が多いので、そこを上手くつなぎたいですね。
橋本 我々メーカーとしてもそこが重要なポイントだと思っていまして、工程間をまたぐ部分での人の作業で、ミスが起こりやすく、効率が落ちてしまう。その課題解決に向けたソリューションの開発に取り組んでいます。今年発売した紙さばきロボットもその一つです。
城所部長 オフセット印刷機メーカーさんは、そうした工程間の自動化ソリューションをお持ちでないですよね。たとえば版替えなど、印刷機そのものの自動化はできますが、その版を印刷機に持ってくるところの自動化まではカバーされていない。
安田 印刷物の仕様がある程度固定されていれば、インラインで処理してしまうのが効率的かと思いますが、帆風さんのように、多種多様な仕様が混在している場合は、オフラインの工程同士をどう連携させるかが重要になりますね。そこはいま富士フイルムが力を入れている部分です。

新たに「DX統括部」を設け、システム連携なども含め、お客さまの自動化の取り組みをさまざまな角度からサポートしています。
――FFGS 安田
■お客さまとソリューションを共創――富士フイルムの今後の取り組み
橋本 富士フイルムグループとしては、デジタル印刷機をはじめとするデバイスの品質向上、性能向上には引き続き取り組んでいきますが、同時に、お客さまの非効率の原因となっている「工程間のプロセス」の課題を解決するためのソフトウェア、自動化設備などを開発し、ソリューションとしてご提供していきます。また、最先端のAI技術の活用にもグループとして取り組んでおり、印刷機長さんの知恵、オペレーションのノウハウなどを、AIによってソリューションに組み込んでいこうと考えていますので、ぜひご期待いただきたいと思います。帆風さんとは、ぜひこうしたソリューションを共創していくパートナーとして、一緒に次世代ファクトリーを構築していければ幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。
安田 FFGSとしては、お客さまのデジタル化・自動化のニーズに柔軟に応えるため、単にデバイスをご提供するだけでなく、それが個々のお客さまにとって使いやすいものになるように、周辺のシステムも含めて実践的なソリューションとしてご提案していきます。お客さまに寄り添いながら、本当に役立つソリューションをご提供していくというのが、会社としての姿勢です。
また、FFGSでは今年の7月に「DX統括部」という部門を新設しました。この部門は、お客さまがすでにお持ちのシステム、たとえば基幹システムと生産設備を連携させ、ジョブがよりスムーズに流れる環境をつくっていく、そんな取り組みをお手伝いさせていただくことを、大きなミッションとしています。この部隊には、プログラムを組めるSEもいますので、お客さまの要件に応じた、柔軟なシステム構築が可能です。帆風さんのPressReadyと基幹システムとの連携も、まさにこのDX統括部のメンバーが中心となって進めさせていただいています。
帆風さんとは今後も、意見交換を重ねながら一緒に課題解決に取り組み、ソリューションを共につくり上げていければと思っております。本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
城所部長 こちらこそありがとうございました。
■企業情報
株式会社帆風
所在地/東京都千代田区一ツ橋1-1-1
設立/1980年2月
従業員数/495名(グループ計)
URL/https://www.vanfu.co.jp/vf





