株式会社ドルック(北海道)にてホーナー社製中綴じ製本機の内覧会を開催
想像を超える「セット替え時間の速さ」に、来場者から思わず驚きの声

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株式会社ドルック(北海道)のMV

 富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社(以下FFGS)は、ホーナー社製中綴じ製本機『HSB9.000』の国内1号機を2月に導入した株式会社ドルック(代表取締役社長:齊藤啓一氏、本社:旭川市工業団地2 条1丁目2番6号)の協力を得て、6月13日/7月4日の2回、本社工場にて内覧会を開催した。
ホーナー社のワイヤーステッチングヘッドは、世界トップシェアを誇り、中綴じ機もワールドワイドで導入が進んでいる。2019年2月に行なわれた1号機の導入発表会以降、同機に対する注目度が一段と高まり、とくに、従来機の3分の1とも言われる“セット替え時間の速さ”や“用紙縦積み機構による作業性のよさ”を現場で実際に見てみたいという声を多数いただいた。今回、そうしたご要望にお応えするために実施した内覧会では、国内1号機をご導入いただいたドルック様に、機械の特長や、運用について紹介していただくとともに、実機を使って“2度のセット替え”を実演していただいた。


■“人手不足・小ロット対応”の課題にポストプレスで一つの解を提案

FFGS 専務執行役員 松浦国治郎の画像
FFGS 専務執行役員 松浦国治郎

 冒頭、FFGS専務執行役員の松浦国治郎が挨拶に立ち、内覧会の場を提供してくれたドルック様への感謝を述べた後、開催の趣旨について以下のように語った。
「FFGSは長年、プリプレス・刷版・デジタルプレスを中心にしてきたが、お客さまからのさまざまなご要望をお聞きしている中で、“人手不足・小ロット対応”など、昨今の業界共通の課題を解決するためには“ポストプレス”がとても重要だという認識を深め、10年ほど前から、ポストプレス機器までをトータルにご提供できる会社に変われるよう、商材に対する知見を深め、提案力を磨く努力をしてきた。その過程で、世界的な後加工機メーカー『ホーナー社』と出会うことができ、ようやく国内の皆さまに、同社の素晴らしい製品をご紹介できる環境が整った。本日は、実機のライブデモとして “2度のセット替え”を実演するので、切り替えの速さと精度の高さをご確認いただきたい」


■FFGSの提案を信頼し、一度も実機を見ないで導入を決断

齊藤啓一氏の画像
株式会社ドルック 代表取締役 齊藤啓一氏

 次に、株式会社ドルック代表取締役・齊藤啓一氏が登壇し、導入に至った経緯を説明。
「4年ほど前から、ポストプレスを熟知したFFGSの担当者が、さまざまな角度から、製本工場内の工程改善のアドバイスをしてくれていた。特定メーカーに偏らない柔軟な視点で、毎年、新規・中古に関わらず当社の予算の範囲内で的確に設備の入れ替えなどを行なってくれた。今回のHSB 9.000導入についても、“ドルックにいま最も必要な変革は何か”を客観的に分析してくれた上での提案であり、非常に先見性に満ちたものだった。一度も実機を見ないで導入することに戸惑いはあったが、『ホーナー社の現地工場で自ら操作し稼働検証をした結果、自信を持ってお勧めできる』という担当者の言葉を聞き、不安よりも期待感が大きく膨らみ、思い切って導入を決断した」


■新人オペレーターがわずか2週間で操作をマスター。「切り替え時間1/3」の効果は歴然

小野晃浩氏の画像
株式会社ドルック 常務取締役 小野晃浩氏

 続いてドルックの常務取締役・小野晃浩氏から、自社の概要、導入の経緯と導入効果を説明した。
「平成17年から、元トヨタのコンサルタントに協力してもらい、生産工程の改善を実施してきた結果、工程間の“モノの停滞時間”の短縮が最大の課題だと判明。とくに“中綴じ”は中小ロットの仕事で多用されるため、一日の作業で“セット替え”時間をどこまで短縮できるかが大きな課題だった。そこでホーナー社製中綴じ機に注目したが、まだ国内実績がなく、実機が確認できない。サポートへの不安もあった。しかしFFGSさんがそうした懸念をすべて払拭できる提案をしてくれたおかげで、安心して導入を進められた。機械の立ち上げもスムーズに行なえ、丁寧なサポートによりわずか2週間で新人オペレーターが本格運用できるようになった。
具体的な効果としては、
●セット替え時間の大幅短縮(従来機の約1/3)
●鞍越落ち等のエラー発生回数・チョコ停止回数の激減
●オペレーターの減員
●生産数量アップによる外注費と残業代の削減、など。
短期間でこれだけの成果が出ていることに非常に満足している。今後はスタッカー接続によるさらなる生産性向上や、単体での稼働率アップに加え、自動梱包機との連携など、人員の有効活用を含めた“ポストプレス全体の工程改善”を進めたいと考えている」


■「工具なしで、2丁製本のセットも迷わず簡単」。オペレーターが実感する抜群の操作性

 レクチャーの後は、実機見学会のために工場に移動し、まずFFGSの説明員からHSB 9.000の操作性について解説を行なった。

 続いてデモンストレーションを実施。オペレーション担当は、この製品の導入で初めて中綴じ機を扱ったという秋元優也さん。手始めにB5サイズカタログでの作業を実演した後、A4サイズへの切り替えを行なった。「カット位置変更」「ステッチ位置変更」「調整」「横積みフィーダーと縦積みフィーダー合わせて4台の位置変更」「検査カメラのセッティング」「テストランで仕上がりサイズと品質の確認」という工程のスタートから最終OKまで、ワンマンオペレーションにて“15分を切る短時間”で完了した。次のジョブは、センターカットナイフを取り付けてステッチングヘッドを追加する、A5サイズの2丁製本。これまでナイフの取り付けには数時間から半日かかるとも言われていたが、取り付けはわずか7分で終わり、その後ステッチ追加で多少のやり直しがあったものの、最終品質OKまでトータル25分を切る時間で完了。多くの来場者から「驚異的なスピードだ」と驚きの声が上がり、デモの終了後、「機器の稼働だけでなくセット替えまで実演で見ることができとても参考になった」「セット替え、2丁製本のセッティングの簡単さは想像以上だった」「現在所有している他社の中綴じ機に比べ、確かに多くの点が改良されている」など、さまざまな感想が寄せられた。
一方、6月と7月、2度の内覧会でオペレーションを担当した秋元さんは、操作性に対する自身の実感をこう説明する。
「工具を使わずオレンジのレバーの操作だけで迷わず楽々とセットできる。2丁製本への切り替えも簡単で、セット後の細かい調整のストレスもない。さらに、安全性も考慮された構造になっているので常に安心して作業できている」


■「ポストプレスと言えばFFGS」と評価されるため、サポート体制をさらに強化し不断の努力を

FFGS 常務執行役員 柳川尚の画像
FFGS 常務執行役員 柳川尚

 最後にFFGS常務執行役員・柳川尚が御礼の挨拶に立ち、今後の事業展開について語った。
「ホーナー社製の中綴じ機と出会ったのは2016年のdrupa会場。まだ日本で1台の導入実績もなかったので、さまざまな市場調査やテストを繰り返し、国内でご紹介すべきかどうかの検証を重ねた結果、いまこの時代に必要なソリューションであることを確信した。以来、導入後のフォローや部品調達なども含め総合的な視点でサポート体制を強化しながら、現在に至っている。本日、実際にデモンストレーションをご覧になって驚かれた方も多いと思うが、この中綴じ機は、高品質で生産性と操作性に優れた製品である。このように付加価値の高い新たなソリューションを日本の皆さまにご提供できるよう、ポストプレス事業に注力していく。そしていずれは『ポストプレスと言えばFFGS』と評価されるよう不断の努力を続けていきたい」

※掲載内容は、取材当時のものであり、一部変更が生じている場合がございます。ご了承ください。


【ホーナー社製中綴じ機HSB 9.000の主な特長】
●セット替え時間は他社製品の半分以下。従来40~50分かかっていた作業を10~15分で完了できる(ドルック社実績)。
● 各ユニットの調整箇所が他メーカーの半分程度。調整が必要な部分をオレンジで可視化している他、アイコン式のカラータッチパネルで簡単操作を実現している。
● フィーダーは縦積み・横積みを選択でき、それぞれの組み合わせも、増設も可能。縦積みフィーダーは、横積みの“過積載時の汚れ”を解消でき、セット部数も多い。
● ドラムから搬送チェーンまでの距離が短い設計により、駆け落ちしにくい。

■関連リンク
ホーナー社製中綴じ機「HSB 9.000」の詳細はこちら

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