B2サイズ枚葉型インクジェットデジタルプレス「Jet Press 720S」導入事例
■自動車業界の「カンバン方式」を印刷の受注・生産に活用
Packaging4Professionals社（以下P4P社）は、「リーン生産方式」の実践分野や「パッケージ業界」で豊富な経験を有する小規模なチームによって、2015年夏、ブリュッセル郊外のフルーリュスで設立された。起業にあたり同社が目指したのは、欧州のパッケージ市場におけるニーズのギャップを埋め、高い品質が求められる小ロットのパッケージをオンデマンドで生産すること。そうした信念を後押しする一つの力になったのが、富士フイルムのインクジェット技術だった。P4P社の共同創設者兼CEOのMohamed Toual氏は、まだ自動車業界に従事していたときに富士フイルムの存在を知り、「業界トップクラス」と言われる技術力や製品についての具体的な情報を得て、「富士フイルムのインクジェット技術は、パッケージ分野における我々の新規ベンチャーにとって理想的なソリューションだ」と確信した。その思いに迷いはなく、Toual氏がP4P社を設立して初めて行なったのは『Jet Press 720S』への投資だった。以来、完全に『Jet Press 720S』を核にしたビジネス体制を構築し、自動車業界で培った「カンバン方式」の理念を、オンデマンド印刷の受注・生産原則に活かしながら、高品質・小ロットのパッケージを生産し続けている。
■パッケージ印刷の2大課題を一挙に解決
Toual氏は、『Jet Press 720S』がパッケージ印刷にもたらすイノベーションについて、こう述べている。
「これまでパッケージ印刷は、２つの大きな問題を抱えていました。一つは、試作品の品質が、つねに最終製品よりも劣っており、お客さまにとっておおよその目安にしかならないということ。そしてもう一つは、パッケージの生産プロセスに多くの手作業が残っているため、実際の印刷時・完成時にはタイムラグが生じてしまうということです。『Jet Press 720S』は、こうした状況を一変させました。いまや“パッケージ印刷分野の標準プラットフォーム”とも言うべき『Jet Press 720S』の、優れた再現性、柔軟性、効率性が、２つの課題を同時に解決してくれたのです」
Jet Press活用のポイントに関して、Toual氏は、こう説明する。
「当社では、マーケティング部門からさまざまな要求が提示されます。たとえば『パッケージの試作品が50点必要だ』とか、『最終製品が100万点必要だ』といった具合です。どちらのケースも『Jet Press 720S』で対応できると言うと驚かれるかもしれませんが、数量を１カ月、１週間、１日単位に分割して考えれば、実は小ロットも大ロットも同じようなものなのです。むしろ重要なのは品質でしょう。品質が優れていれば、お客さまの要望に応じて大ロットを小ロットに分割することも問題になりません。これまで、パッケージ業界のクライアントは、デジタル印刷の品質が、果たしてオフセット印刷やフレキソ印刷に匹敵するのかどうか疑問を持っていました。しかしながらそんなお客さまも、当社が『Jet Press 720S』で出力したパッケージの品質に大いに感銘を受けています。最終的には、印刷の美しさ、仕上がりのインパクトが物を言うわけです」
■厳しい短納期要求に応えながら、しっかりと収益性を確保
品質の高さに加え、適応する用紙の幅広さも、パッケージ分野における『Jet Press 720S』の優位性の一つである。すでに欧州全域において商業印刷用途で好評を博している欧州仕様の『Jet Press 720S』は、バキュームジャケットを改造しドラム周囲の真空圧力を上げることで、紙器パッケージにも印刷することができ、一般的にパッケージに使用される多種多様な厚手カートン用板紙に幅広く対応できる。また、媒体選択肢の広さだけでなく、同じ媒体に同じ印刷機＝『Jet Press 720S』で印刷でき、最終製品とまったく同じ品質の試作品を提示できることも、パッケージ分野では強力な訴求点になる。クライアントの信頼性が高まり、納期短縮にもつながるからだ。
実際P4P社では、厳しい短納期要求の中（フランス、ドイツ、オランダ、スイス、イギリスへ輸出している業務の70%以上が「納期2 0日以下」）でも、Jet Pressでしっかりと収益性を確保しつつ、高品質なパッケージを効率的に生産し各国のクライアントに安定的に提供し続けている。
設立からわずかの間に急速な成長を遂げ、「化粧品・美容、ヘアカラー、高級包装、医薬品、食品、タバコ、自動車」など、さまざま業界でその名を知られる“国際的ブランド”のパッケージを数多く手掛け、欧州全域の顧客から高い満足度で支持されているP4P社。パッケージ分野において、より収益性に優れた新市場を開拓し会社の発展を維持するために、同社はこれからも新たな視点で『Jet Press 720S』をフル活用していくに違いない。
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