株式会社第一印刷所 様
「スマートプリント」「おもてなしプリント」で新たな付加価値サービスを。ビジネス変革に向けて「デジタル印刷元年」・導入3か月で商印事業に大きな効果

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B2サイズ枚葉型インクジェットデジタルプレス「Jet Press 720S」導入事例

 株式会社第一印刷所(代表取締役社長:堀 一氏、本社:新潟市中央区和合町2-4-18)は、4月5日、新潟市江南区曙町の本社工場において、インクジェットデジタル印刷機『Jet Press 720S』の導入発表会を開催。1月から進めてきたテスト運用の成果や、今後の活用戦略などについて紹介した。同社は『Jet Press 720S』を小ロット商業印刷ビジネスの新戦力と位置づけ、圧倒的な高画質と機動力を活かした、付加価値の高いサービスの提供に取り組んでいく。


■高まる品質・スピード要求に応えるため導入を決断

 第一印刷所は、商業印刷、書籍印刷、帳票印刷、カード印刷などを幅広く手がけ、グループ会社7社との連携のもと、プランニングから印刷・加工、配送までのワンストップサービスを提供している。新潟県内4カ所、東京都内1カ所に営業拠点を置き、新潟市江南区の「あけぼの印刷団地」内に本社工場を持つ。現在、フルデジタル生産体制を目指して設備導入を進めており、デジタル印刷機としては、昨年、ハイエンドカラーPOD機『富士ゼロックス Color 1000i Press』を導入。そして今年1月から『Jet Press 720S』を戦力に加えた。

『Jet Press 720S』の起動ボタンを押す堀社長

 導入発表会ではまず、『Jet Press 720S』の本格運用開始にあたって今後の安定稼働を祈願する起動式を実施。神主の祝詞の後、堀社長が操作パネルの起動ボタンにタッチし、『Jet Press 720S』が勢いよく稼働を開始した。
 続いて行なわれた記者発表では、初めに堀社長が挨拶。「当社は二十数年前、プリプレス部門および製品流通業務を分社化。各部門がそれぞれスペシャリストとして独立し、第一印刷所グループ『D’s NET』としての相乗効果でより大きな総合力を発揮することを目指している」と、同社のプロフィールを紹介。そのうえで、『Jet Press 720S』導入の背景について次のように説明した。
「昨今、品質だけでなくスピードに対してもお客さまからの要望がますます強まる中、前工程から後工程までをワンストップでこなすことが求められている。このような時代の流れを踏まえ、『Jet Press 720S』の導入を決断した。今年度は、第7次中期経営計画の最終年度。次の時代を見据え、お客さまに新たなご提案を行ない、ひいてはその先のお客さまにも付加価値の高いサービスを提供できるよう努力していく。中小企業は、自力でのゼロからの開発は困難。皆さまから多くの力を借り、お客さまに合わせた独自の創意工夫を生み出していかなければならない。とくに地方の企業は、そのような形で力を発揮することができると確信している。今日は当社にとって、デジタル印刷事業の新たな扉を開く起点となる日。皆さまのご協力をいただきながら、『Jet Press 720S』の戦略的な活用に取り組んでいきたい」


■小ロット・短納期ジョブの効率化に貢献

FFDP・松本社長

 続いて、富士フイルムデジタルプレスの代表取締役社長・松本聡(当時)が登壇し、「当社は2011年、Jet Pressの発売と同時に発足。現在『Jet Press 720S』は国内で40台が稼働しており、ワールドワイドでは間もなく100台目に到達する」と現状を説明した後、第一印刷所でのJet Pressの活用状況について紹介した。
「これまで『Jet Press 720S』は、校正や印刷通販、学校アルバム、写真集など、小ロットに近い分野で活用いただいてきたが、第一印刷所様は、商業印刷で本格活用されているところが大きな特色。小ロット・短納期のジョブをいかに効率よくこなすかという課題に最適なシステムとして選んでいただいた。今後、私どもも一緒に、商業印刷における『Jet Press 720S』の価値を追求するとともに、必要な機能などについてアドバイスをいただきながら、さらに前進していきたい」

FFGS・藤嶋常務

 また、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズの常務執行役員・藤嶋克則は、「1月の導入当初から本格稼働に近い形でご活用いただいており、すでに大きな戦力になっていると伺っている。効率的な運用の結果、既存のオフセット印刷機の稼働率が大幅に向上するなど、さまざまな効果を挙げられており、私どもにとっても、デジタルプレス分野のソリューションを展開するうえで力になる」と挨拶し、「FFGSではこれからも、グループを挙げてデジタルプレス機器の開発・提供に取り組んでいくので、ご期待いただきたい」と、メーカーとしての姿勢を語った。


■市場環境変化への対応、生産性・品質の向上にJet Pressを戦略活用

『Jet Press 720S』の活用戦略を説明する阿部常務

 この後、第一印刷所の常務取締役営業本部長兼企画開発本部長・阿部正喜氏が、『Jet Press 720S』の活用戦略について説明した。
 同社は、すでにトランザクション系・POD系のデジタル印刷機を導入していたが、今回、一般商業印刷用に『Jet Press 720S』を導入したことで、デジタル印刷機のフルラインアップが揃ったことになる。阿部常務は「今年をデジタル印刷元年と位置づけ、ビジネス変革の取り組みをさらに加速していく」と意欲を示した。
 Jet Press導入の背景としては、ニーズの多様化や多品種・小ロット化といった市場環境変化への対応のほか、生産性の向上、校正の品質向上などの狙いがある。1月から実運用を開始し、すでに月産20万枚以上の実績を挙げているが、現在、ポストプレスとの連携による自動化や、既存印刷機とのカラーマッチング、薄紙への対応といった技術的課題に取り組み、新たな生産体制の構築を進めている。阿部常務は、「これにより、Jet Pressの素晴らしい品質安定性が、さらに大きな強みとして活かせるようになる」と期待を込める。『Jet Press 720S』の具体的な導入効果として、同社は「刷版使用量1万2,000版(年間)削減」「既存印刷機の生産性20%向上」働き方改革の実現として「超勤時間30%削減」を目標に掲げている。


■顧客に新たな付加価値を提供する『スマートプリント』『おもてなしプリント』

「3カ月のテスト運用でさまざまな効果が得られた」と語る小出専務

 さらに、今後の戦略について阿部常務は「お客さまにデジタル印刷ならではの新たな価値を提供していく」とし、『スマートプリント』『おもてなしプリント』という2つのコンセプトを挙げた。

『スマートプリント』は、デジタル印刷機のメリットを最大限に活かし、課題解決型の製品を顧客に提供するというもの。たとえば、
・フルデジタルのフローによる短納期対応、
・制作部数の最適化による在庫削減への貢献
・試作品製造やテストマーケティングの支援
・データベースを活用したOne to One印刷物の制作
などが挙げられる。
 
『おもてなしプリント』は、オフセット印刷にはない再現性や小ロット適性を活かし、利用者に配慮した印刷物、感性に訴える高付加価値のツールを提供するもの。具体的には、
・インバウンド需要に向けた多言語対応
・ユニバーサルデザイン
・『Jet Press 720S』の広色域を活かした高彩度印刷
などである。

 阿部常務は、「単なる小ロット対応だけでなく、新しい付加価値、新しい商品を生み出すという発想でJet Pressを活用していきたい。それによって、まったく新しい領域へのアプローチが可能になると考えている」と、『Jet Press 720S』の可能性の大きさを強調した。


■すでに枚葉機加工高103%、超勤時間40%削減を達成

 最後に、同社の代表取締役専務 製造本部長・小出博信氏は、『Jet Press 720S』導入の意義について次のように語った。
「3カ月間『Jet Press 720S』をテスト運用する中で、さまざまな成果が出ている。一つは、これまでオフセットで印刷していた小ロットのジョブをJet Pressに置き換えることで、生産性アップにつながったこと。1月~3月期の枚葉機加工高は昨年比103%となった。一方で、超勤時間は目標を上回る40%の削減を達成している。また、一度オフセットで印刷し、後に同じものを同じ品質で小部数印刷するという、多くのお客さまが望んでいたことが可能になった。『Jet Press 720S』は、発想次第で使い方が無限に広がる、大きな可能性を秘めた印刷機だと感じている」


■お客様プロフィール
株式会社第一印刷所
本社:  新潟市中央区和合町2-4-18
URL:  https://www.dip.co.jp/

■関連リンク
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