株式会社トーン・アップ様/株式会社第一製版様
2社共同で開設した新拠点に『Jet Press 720S』を導入、新聞広告校正の大幅な品質安定化とスピードアップを実現

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新虎スーパーラボにて、トーン・アップの富田社長(左)と第一製版の竹ノ上社長

B2サイズ枚葉型インクジェットデジタルプレス「Jet Press 720S」導入事例

 新聞や雑誌の広告製版をメインに手がける株式会社トーン・アップ(代表取締役社長:富田和伸氏、本社:東京都中央区)と株式会社第一製版(代表取締役社長:竹ノ上蔵造氏、本社:東京都港区)は、2016年6月に共同事業として開設した新たなものづくり拠点『新虎スーパーラボ』(東京都港区新橋5-20-4 新虎サウスビルB1F)に『Jet Press 720S』を導入し、新聞広告の校正出力を中心に活用している。広告校正における導入効果や今後の戦略などについて話を伺った。


■Jet Pressで校正出力を内製化し、納期短縮

 トーン・アップは、1919(大正8)年に大阪市南区で富田製作所として創業。新聞・雑誌の広告製版を中心に、大判インクジェットによるポスター出力、一般商業印刷のデザイン制作、プロモーション企画、映像制作、ディスプレイ・POPの製作などを幅広く手がける。とくに、製版事業で長年培ったカラーマネージメント技術、レタッチ技術には定評がある。

 第一製版は、1948(昭和23)年に東京都港区で第一製版工業株式会社として創業。新聞・雑誌広告の制作・製版・送稿データ作成のほか、ポスター・カタログ・パンフレットなどの一般商業印刷、オンデマンド印刷、大判インクジェットによるポスター制作などを行なっている。また、同社の竹ノ上社長は日本新聞広告製版会の会長も務めている。

 今回、両社が『Jet Press 720S』を共同で導入した背景には、新聞広告校正に関する共通の課題があった。一つは、本機校正を協力会社に依頼しているため、短納期対応が難しいこと。もう一つは、色再現のバラツキがあり、刷り直しなどのロスが発生してしまうこと。校正出力を内製化・デジタル化することによってこれらの課題を解消し、サービス向上につなげようというのが『Jet Press 720S』導入の一番の狙いだった。

「新聞広告の校正は平台から本機校正へと移行してきましたが、アナログの印刷である以上、不安定要素は依然として残っていますし、協力会社は校正専門ではないので、つねに一定の条件で刷ることが難しい。時間的にも、1件につき半日は見ておかなければなりませんでした。品質の信頼性とスピードがますます求められるいまの時代に適した校正のあり方を模索する中で、たどり着いたのが『Jet Press 720S』だったのです」(竹ノ上社長)
「2年ほど前に竹ノ上社長からJet Pressの話を聞いたときは、正直、半信半疑でしたが、半年ほどかけて検証したところ、色再現が忠実で安定性も高く、予想以上に優秀な機械だと感じました。2社の共同事業とすることで収益性も確保できるだろうと考え、一緒に活用していくことにしました」(富田社長)


■刷り直しはゼロ。色に関する不安が一気に解消

 新聞広告を巡っては、今年6月、新聞カラー広告の色見本用基準「NSAC」(Nihon Shimbun AdColor)が約10年ぶりに改訂され、「NSAC2017」がリリースされたが、このNSAC改訂に際して、仮見本プルーフ出力機に『Jet Press 720S』が採用された。これは、『Jet Press 720S』が、新聞紙面上での色再現を極めて高精度に、安定して再現できるためだ。
いわば新聞広告の基準機として採用されたわけで、このことは、Jet Pressの信頼性の高さを裏付けていると思います。NSACの見本は、200セット以上を作成して各新聞社や広告代理店、製版会社に販売するものですから、これをすべて一定の色で作成できる機械でなければ、基準にはなり得ません」(竹ノ上社長)

 実際に、新虎スーパーラボにおける校正出力でも、『Jet Press 720S』の優れた再現性・安定性は大きなメリットにつながっているという。
「新聞広告の校正は通常、初校・再校・3校…と複数回出しますが、これまでの本機校正では、赤字を入れたところ以外の、変わってはいけない部分の色まで変わってしまうことがあったため、しばしば刷り直しが発生していました。Jet Pressは、作成した製版データを、つねに忠実に再現できるので、運用開始以来、刷り直しはゼロ。色に関する不安が一気に解消しました」(富田社長)

トーン・アップ 大木役員

 さらに、トーン・アップのビジュアルプロデュースセクション執行役員、大木貴弘氏は、営業スタッフも『Jet Press 720S』のメリットを強く実感していると語る。
「本来はあたりまえのことですが、色味について赤字を入れるとそのとおりに直るというのが、営業にとって非常にありがたい点です。Jet Pressの絶対的な信頼性のおかげで、お客さまのところに自信を持って校正を持って行けます。また、印刷時には立ち会いも不要になるなど、お客さまにとっても負担の軽減になっていると思います


■半日かかっていた仕事が1時間以内に完了

 品質に加えてもう一つ、両社が『Jet Press 720S』で評価しているのは、生産性の高さだ。前準備時間がほとんど要らず、1枚目からデータに忠実な色が出るため、本機校正に比べて時間的なロスが大幅に削減された。
「新聞広告は、突然枠が空いて急に掲載が決まるということも珍しくありません。そのため、製版・校正の工程にはレスポンスの良さが求められます。1つの広告の校正を、1日に2~3回出さなければならないこともあります。また、新聞社への送稿の際には、各工場に見本を送るため、トータルで300~400枚ほど必要になるケースもあり、ここでも生産性の高さが要求されるのです。その点、Jet Pressの機動力は非常に頼もしいですね」(大木役員)

 また、富田社長はこう続ける。
内製化できたことと、刷り直しのロスがなくなったことも大きいですね。以前は、協力会社の印刷機の都合や、刷り直しのリスクなども考慮して、スケジュールに余裕を持たせなければなりませんでしたが、その必要がなくなり、大幅な納期短縮が図れました。これまで半日かかっていた仕事が、Jet Pressでは1時間もあれば終わってしまいます

トーン・アップ 貝原氏

 実際に『Jet Press 720S』のオペレーションを担当しているトーン・アップのビジュアルプロデュースセクション 貝原守氏も、生産効率の高さを実感している。
「私はこれまでオフセット印刷機や平台校正機を扱ってきましたが、『Jet Press 720S』は印刷機のイメージを180度変えるものでした。起動から印刷開始までの準備時間がほとんどありませんし、煩雑なメンテナンスも不要。色再現も、1枚目と400枚目、あるいは朝と夜でまったく変わらず、つねに安定した仕上がりが得られるので、安心感が違いますね。Jet Pressの導入によって、現場の働き方が大きく変わったと感じています


■商業印刷物やフォトブックなどにも積極的に活用

 『Jet Press 720S』を軸に、新虎スーパーラボが始動してから約1年。富田社長、竹ノ上社長は今後の展開について、「この拠点を“業界の工場”としてさらに有効活用していきたい」と語る。
「Jet Pressは生産性が非常に高いため、まだ稼働率に余裕があります。現在は2社で運用していますが、同業他社に呼びかけて、活用の輪を3社、4社と広げていき、ひいては日本の新聞広告全体の品質向上に貢献できればと考えています」(竹ノ上社長)

 さらに、両社長は、『Jet Press 720S』の汎用性の高さを活かし、新聞広告だけでなく商業印刷の分野にも活用範囲を広げていく考えだ。すでに、新虎スーパーラボでは「Japan Colorプルーフ運用認証」を取得し、商業印刷物の校正に対応できる体制を整えている。
「小ロットの商業印刷の仕事にも積極的に『Jet Press 720S』を活用していく予定です。校正も本刷りもJet Pressで出力できるというのは、強力な武器になると思います。間違いなく同じ色が出せますからね」(富田社長)
Jet Pressはオフセット印刷機より色域が広く、ビビッドな色も再現できるので、フォトブックや写真集などにも最適です。活用の幅はもっともっと広げていけると考えています」(大木役員)

 実際に、5部~20部という極小ロットのフォトブックを『Jet Press 720S』で製作するなど、着々と実績を重ねている。最後に竹ノ上社長は、将来を見据えた新虎スーパーラボの意義についてこう語った。
「今後は、1社単独で高価な設備を更新し、人材を確保していくことが難しくなっていくのではないでしょうか。そのような中、『Jet Press 720S』のような生産性の高い機械を複数の会社で共有し、有効活用していく形態は、コストや環境などさまざまな面で合理的です。新虎スーパーラボを業界の皆さんに使っていただくことで、各社の経営リスク低減・ビジネスチャンス拡大につながれば幸いです」


■お客様プロフィール
株式会社トーン・アップ
本社: 東京都中央区
創業: 1919年
URL:  https://www.toneup.co.jp/

株式会社第一製版
本社: 東京都港区
創業: 1948年
URL:  https://www.di-seihan.co.jp/

■関連リンク
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