株式会社スバルグラフィック様
中綴じの内製化率を高め、
短納期対応力・品質保証体制を強化
設備集約化との相乗効果で生産効率が大幅アップ。
受注拡大にも寄与

記事をシェアする

株式会社スバルグラフィック様『HSB 9.000』導入事例紹介_MV

ホーナー社製中綴じ製本機『HSB 9.000』導入事例


株式会社スバルグラフィック様_本社社屋外観 株式会社スバルグラフィック(本社:東京都中野区野方4-20-4、代表取締役:松本脩氏)は、2020年2月、ホーナー社製中綴じ製本機『HSB 9.000』を導入し、課題となっていた「中綴じ製本の内製化」を実現した。これは、従来3拠点に分散していた製本加工設備を1カ所に集約するという社内変革の一環でもあり、これにより、短納期対応や品質保証の強化を図るとともに、受注拡大にもつなげている。導入に至った経緯、現場での評価や導入メリットなどについて、代表取締役・松本脩氏、執行役員 工場長・坂井陽一氏、加工部・大橋秀樹氏に伺った。


■中~大ロットの中綴じを内製化するため、導入を決断

 スバルグラフィックは、1982年、東京都小平市で松本社長が創業。製版会社として成長を続けてきたが、90年代に入ると、印刷会社での製版の内製化が進み、製版フィルムの需要が減少してきたことから、総合印刷業への業態変革をいち早く決断。98年からはデザイン・DTP、99年からは印刷(枚葉オフセット・POD)、そして2003年には製本・加工の設備を導入し、デザインから発送までの一貫体制を確立した。
 受注する印刷物は、カタログ、パンフレット、ポスターなどの商業印刷物や、学参物などがメイン。数千部から数万部単位の、中~大ロットの仕事が多いのも同社の特徴だ。そんな中で、長年培ってきた製版技術・カラーマネージメント技術などを活かし、クライアントのシビアな品質要求・短納期要求に応えている。
 生産拠点は、本社(東京都中野区)、戸田工場(埼玉県戸田市)、舟渡工場(東京都板橋区)の3カ所。従来は3拠点それぞれに印刷設備と後加工設備を有していたが、2020年2月に生産体制の見直しを行ない、後加工設備をすべて舟渡工場に集約した。ホーナー社製中綴じ製本機『HSB 9.000』の導入も、その一環だった。
「近年は印刷だけでなく製本まで含めて受注する仕事が増加し、また、納期や品質に対するお客さまの要望もますます厳しくなっています。そのため、確実に品質管理が行なえ、かつ効率の良い生産体制を整える必要がありました」(松本社長)
 加工部門では、すでにペラ丁合中綴じ機を2セット導入していたが、いずれも小ロット向けで、32ページ程度までを得意とする機械であったため、同社が受注するすべてのジョブには対応し切れず、ページ数の多いものや中~大ロットの仕事は、協力会社への外注比率が高かった。
「製本加工のジョブのうち、中綴じは50%以上を占めています。その中で、数百部から1,000部程度の小ロットの仕事は3割ほど。数千部から1万部単位のものが圧倒的に多く、以前はそのほとんどを外注に出していました。しかし繁忙期になると協力会社さんもキャパが一杯になってしまう。ですから、お客さまの希望納期に応えるためには内製化が必要だったわけです」(坂井工場長)
 そんな課題に対してFFGSが提案したのが、ホーナー社製中綴じ製本機『HSB 9.000』だった。
FFGSさんのショールームで、実機の稼働を見せていただきました。鞍掛の中綴じ機としてはコンパクトで、生産性も、時間9,000回転と充分なスピード。セット替えの手順なども実演していただきましたが、操作がシンプルで非常に好印象でしたね。これならオペレーターの負荷も抑えられるだろうと感じました。ちょうど、舟渡工場に設置スペースを確保できたタイミングでもあり、迷わず導入を決めました」(松本社長)


■設置からわずか2週間での立ち上げを実現

 同社が導入した『HSB 9.000』は、全5鞍の構成。比較的コンパクトな筐体ではあるが、舟渡工場では、限られたスペースに上手く収める必要があった。そこで、設置レイアウトについても、FFGSと相談しながら検討を進めた。
「レイアウト案を何パターンか提案していただきました。機械のメンテナンススペースも確保しつつ、刷本の移動など、作業動線も考慮し、できるだけ生産効率が高くなるような配置を、FFGSさんと一緒に検討していきました」(坂井工場長)
 実際に設置してからは極めて短期間での立ち上げを実現。約2週間後にはオペレーターが基本操作を習得し、実稼働を開始した。その際のFFGSのサポートについて、坂井工場長はこう評価する。
「オペレーターのトレーニングは、他メーカーさんではサービス部門の方が実施してくださることが多いですが、FFGSさんはサービス部門の技術サポート部隊と、それとは別に営業部門のサービス担当の方もいて、両方のメンバーが一緒にトレーニングをしてくださるんです。そのため、何か質問する際も、機械のメカニズムなどに関しては技術サポートの方、特殊なジョブなどのオペレーションに関しては営業部門のサービスの方、と相談窓口がしっかりしていて非常にやりやすかったですね。また、単なる手順説明だけでなく、『他のユーザーさんはこんな使い方をしている』『この仕事はこういうやり方をするといい』といった実践的なアドバイスもいただけました。これはFFGSさんならではのサポートだと思います」

作業風景

優れた操作性により、短期間での立ち上げを実現。検査装置搭載で事故防止にも寄与している


■外注費が約7割減。コスト面で厳しかった仕事も受注可能に

 『HSB 9.000』の導入により、中綴じのジョブはほぼ社内生産が可能になり、最大の目的である「中綴じ製本の内製化」は一気に進んだ。松本社長は、「外注費は7割ほど減っている」と語り、コスト面でも確かな効果が出ていることを強調する。また、これまで外注コストの関係で対応が難しかった仕事も、内製化によって受注できるようになり、結果的に仕事の幅も広がっているという。
「これまで外注していたB4サイズやA4横本にも対応できるようになりました。また、通常の中綴じだけでなく、小口決め製本(内側に観音や巻き三つなどの折込ページを設けた製本)など、特殊な仕様にもチャレンジしています」(坂井工場長)
 加えて、生産効率が向上し、短納期への対応力が格段に高まったことも大きな導入効果の一つだ。
「最近はとくに学参物などで短納期化の傾向が強まっています。部数としては1万~2万部のものが多いのですが、たとえば夜に見積りをお出しして、翌朝に入稿、すぐに印刷・製本し、3日目には納品というタイトなスケジュールも珍しくありません。このような短納期の仕事に対応できるようになったことも、内製化の大きなメリットであり、お客さまからご評価をいただいているポイントでもあります」(松本社長)
 これには、中綴じ製本を内製化したことはもちろん、前述のように設備の集約化を進めたこと、さらには、後加工工程内の作業の進め方を工夫し、徹底的に無駄をなくしたことも寄与している。
「たとえば16ページ折りが4台あった場合、4折り分の刷了を待たずに、1折り分が刷り終わったら折り工程に入る。折り工程でも、全数を折り終わってから次工程に渡すのではなく、1万部の仕事なら2,000部折った時点で製本に回すといった形でフローに柔軟性を持たせることによって、無駄な待ち時間をなくし、生産効率を上げています」(坂井工場長)
 社内生産の体制が整ったことによって、こうした合理的な仕事の進め方が可能になったのだ。その結果、リードタイムの短縮だけでなく、現場の残業時間削減も図れているという。


■最短15分でセット替えが完了

 このように、経営面でさまざまなメリットをもたらしている『HSB 9.000』は、現場からの評価も高い。現在メインでオペレーションを担当している大橋氏は、「セットアップも含めて操作が簡潔で使いやすい」と語る。
鞍掛タイプの中綴じ機を担当するのは初めてですが、各部の調整が工具なしで行なえ、調整個所もそれほど多くないので、扱いが難しいという印象はありませんでしたね。3カ月も経つとかなり慣れてきて作業のスピードも上がってきました。薄紙の製本など、少し応用が必要になる場合もありますが、FFGSさんに電話で相談すると、レスポンス良くアドバイスをいただけるので、とても助かっています」(大橋氏)
 生産性を高める上で重要なポイントとなるセット替えについては、「サイズが同一で、ページ数が変わる程度であれば、最短15分ほどで完了する」(大橋氏)という。このメリットを活かすため、同社では、サイズ変更ができるだけ少なくなるよう生産スケジュールを組むことで、セット替えに伴う時間のロスを最小限に抑えている。
 また、仕上がり品質や稼働安定性についても、坂井工場長はこう評価する。
「大きなトラブルもなくスムーズに運用できており、安定性は高いと感じています。デジタル制御によって、我々のテクニックの足りない部分を補ってくれますから、信頼性も抜群ですね。また、高精度な検査装置のおかげで、乱丁・落丁の事故はまったく起きなくなりました。これは、お客さまへの品質保証という点で非常に重要なメリットです」

HSB 9.000の三方断裁部画像

(FFGSショールーム機の参考画像)HSB 9,000の三方断裁部。セット替えは工具無しで調整可能になっている。

■HSB 9.000のポテンシャルを最大限に引き出すために

 『HSB 9.000』の導入によって、中綴じ製本の内製化比率向上、リードタイム短縮、受注拡大と、さまざまな効果を挙げているスバルグラフィック。今後は、『HSB 9.000』のポテンシャルをさらに引き出し、生産性向上につなげていく考えだ。
「時間9,000回転という生産性を最大限に引き出すには、折り丁をもっと効率よく作成していく必要があります。折りを効率よく回すには、断裁の瞬発力も必要。そのために、たとえば中綴じで必要になるラップの指示を断裁オペレーターに正確に伝えるなど、機械を回すための準備を効率よく進めることが重要になります。そんな観点で作業フローをさらに改善していくことが、今後の課題ですね」(坂井工場長)
 また、同社は効率性を追求すると同時に、生産体制に柔軟性を持たせるため、加工部門を中心に多能工化にも力を入れている。
「機械のオペレーションが属人化しないよう、可能な範囲で担当のローテーションを進めています。それによって、生産ラインの安定稼働はもちろん、オペレーターの適性の見極めなど、人材教育の面でもメリットがあると考えています」(松本社長)
 こうした生産体制の変革を進めながら、強みである「スピード」と「品質」のより高次元な両立を目指していきたいと語る松本社長。最後に、FFGSへの期待を込めてこう結んだ。
「最近は、光沢加工や箔押し、シルクの厚盛りなど、表面加工を施す印刷物の受注も増えてきています。このようにニーズが多様化・複雑化する中で、スピードを維持しながらいかに品質保証を徹底し、お客さまの信頼に応えていくか。そのために、まだ解決すべき課題はいろいろあります。FFGSさんには、他のユーザーさんの事例、たとえば独自の強みを持った会社さんの課題解決方法、あるいはホーナー機の活用方法など、実践的な情報を共有していただけるとありがたいですね。技術面だけでなく、情報提供などのサポートにも期待しています」


■お客様プロフィール
株式会社スバルグラフィック
住所:東京都中野区野方4-20-4
URL:http://www.subaru-g.co.jp/

■関連リンク
「FFGSポストプレスソリューション」の詳細はこちら

記事をシェアする

お客様の事例一覧へ戻る