株式会社アイカ様
他社の有処理プレートからZD-II へ全面切り替え
品質も作業効率も向上し
“人を活かす現場改革”が大きく前進

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株式会社アイカ_MV

SUPERIA ZD-II導入事例


 愛知・東京に計3工場を持ち、圧倒的な生産力を活かしてあらゆる印刷ニーズに応える株式会社アイカ(名古屋本社:愛知県名古屋市西区木前町35、代表取締役:渡邉照雄氏)は、2020年5月に富士フイルムの完全無処理プレート『SUPERSUPERIA ZD-II』を導入し、短期のうちに輪転機すべての無処理化を達成した後、現在、枚葉機についてもZD-IIへの切り替えを進めている。大ロット・短納期ジョブも多くこなす同社は、ZD-IIをどのように評価しているのか。導入の経緯や具体的な効果、そして先般発表されたZD-IIIへの期待などについて、副社長執行役員・大橋宏治氏、生産管理部部長品質管理副責任者・加藤芳隆氏、DTP課 CMS担当係長・伊藤愛氏に伺った。


■覚悟していたトラブルもなくわずか半年で本格運用へ

 「印刷会社様のための印刷工場」をコンセプトに、6台の輪転機と13台の枚葉機を駆使して、大ロットから小ロットまで多様なニーズに応えるアイカ。顧客のほとんどは印刷会社で、チラシやカタログなどの商業印刷物をはじめ、フリーペーパー、学参物など、手がける印刷物は多岐にわたる。愛知県の名古屋本社工場・小牧工場と東京工場の3拠点をフル稼働させ、厳しく多様な要求に、期待以上の品質・スピードで応え続けている。そんな同社が『SUPERIA ZD-II』を導入したのは2020年5月のこと。大橋副社長がその経緯を説明する。
「刷版工程の工数を減らして働き方改革を進めると同時に、廃液処理に伴うコストを削減し環境負荷も低減しようと、2017年に無処理化を決断しました。もともと他社の有処理プレートを使用していた関係で、そのまま同じメーカーの無処理プレートへ切り替えようと1年ほどチャレンジしてみたのですが、なかなか思うようにいかなかったんですね。3回ほど大きな問題が発生し、対策をとっても結局クリアできず一時中断していたときに、FFGSさんからZD-IIの提案をいただいたわけです」
 ZD-IIのテストは、開始当初から好感触だったと加藤部長は振り返る。
「初めは、また何か問題が出てくるだろうと密かに覚悟していたのですが(笑)、思いのほかスムーズにテストが進んでいき、半年少々で本格運用に入ることができました。印刷機の設定なども大きく変更せず、すんなりと無処理化できてしまったので、正直驚きましたね」
 伊藤係長も、他社の無処理プレートとの違いに驚いたという。
「2019年の10月頃にテストを始めて、翌年5月には6台の輪転機をすべてZD-IIに統一していました。ここまで早く切り替えが進むとは思いませんでしたね。枚葉機の方は、現在、主力機3台のうち2台で本運用、1台で仮運用という状況で、早ければ夏から秋に、遅くとも年内には13台すべてを無処理化できる見込みです」


■明らかに向上した網点再現性、ロングランも安定してこなす耐刷性

 本格運用を開始してから約1年。実ジョブでの実績が増え続けている中、あらためて、加藤部長にSUPERIA ZD-IIに対する評価を聞いた。
「テスト段階から感じているのは、有処理プレートとあまり変わらない感覚で扱えるということです。品質的には、有処理プレートより明らかに網点再現性がよくなっていますね。それまで使用していた他メーカーの有処理プレートでは、しばしば素抜けが見られたのですが、ZD-IIにはそれがなく、きちんと濃度が出せるので、お客さまの目にもはっきりわかるほど印刷の仕上がり品質がアップしています」
 そんな一目瞭然の網点再現性は、大ロットでも終始安定している。耐刷性について伊藤係長はこう評価する。
「コート紙で30万部通してもまったく問題ありません。ZD-IIは、無処理プレートということを意識せずに使える充分な耐刷性を備えています」
 一方、版面の視認性については、導入当初は不安を感じるオペレーターも多かったというが、現在はどうなのだろうか。加藤部長によると「予想外のプラス効果が出ている」という。
「やはり最初は、見えないことに戸惑い、焼き直しが発生したこともありました。しかし逆に、いままでいかに版上検版をアテにしていたのかということを再認識することにつながり、現場全体で、“見えないからこそ前工程で気をつけよう”という意識が生まれてきたんです。そうした前向きな意識によって、データ処理の段階から細かくチェックできる新たな仕組みが構築され、いまでは版設計のミスなどもまったく起きていません。オペレーターの意識やスキルというのはこんな形でも向上できるんだという、思わぬ発見がありました」
 ZD-IIの導入が、前工程の作業フローの見直しにもつながったわけだ。さらに、加藤部長はこう続ける。
「今回、版上検版をなくせそうだということがわかってきましたので、今後は人員配置や担当の振り分け、仕事の流し方なども見直していこうと。無処理化によって、これまでとは次元の違う、より抜本的な工程改善が可能になるのではないかと思っています」
 このようにZD-IIを高く評価しているアイカだが、進化版である『ZD-III』についても注目しているという。
「当社でもテストを検討しているところですが、視認性がかなり高まって耐刷性もアップしているそうですね。これを機に無処理へ移行する印刷会社が増えるのではないでしょうか。ただ、初めて有処理から切り替える場合は、いきなり視認性のいいプレートを使わず、まずZD-IIで無処理における基本作業の精度を上げておくのもいいかもしれません。遠回りのように思われるかもしれませんが、当社はそれでオペレーターの意識が変りましたから」(加藤部長)

無処理化によってオペレーターの意識や働き方が変わり、現場改革が着実に進んでいる

無処理化によってオペレーターの意識や働き方が変わり、現場改革が着実に進んでいる


■技術サポートの信頼性が無処理化成功の最大のカギ

 こうした実務的な“現場の視点”とは少し角度を変え、経営的な観点から、大橋副社長にSUPERIA ZD-II導入の意義を伺った。
「現像処理に関わる資材費や廃液処理費の削減といったコスト面での効果はもちろんですが、省人化や活人化のメリットも大きかったですね。現在のコロナ禍の中で、社員を減らすべきか活かすべきか、企業によっていろいろな考えがあると思いますが、当社では、働き方を変えて、いまの人材を活かしていこうという強い思いがあります。今回の無処理化も、働き方改革のための一つの施策であり、実際、多能工化も含めた活人化を進めるいいきっかけになりました」
 無処理化による多能工化、活人化とは、具体的にどんなことなのか。
「自現機のメンテナンスという重労働がなくなり、プレートの補給作業がメインになれば女性にも高齢者にも任せられますし、製造部(印刷現場)のオペレーターが刷版と印刷を兼務することもできる。DTPデザインだけ、CTP出力だけ、印刷だけということではなく、一人ひとりの作業領域がどんどん広がっていくわけです。人材育成にかけられるコストも時間も限られ、社員の高齢化も進んでいる中で、人を活かせるシステムをどう採り入れるかが、これからますます重要になってくるでしょう。当社としても、今後、無処理化の拡充を図ると同時に、刷版仕分け装置や自動搬送装置などを活用しながらスマートファクトリー化を進め、デジタル時代にふさわしい“人の活かし方”を追究していきたいと思っています」(大橋副社長)
 最後に、今回の無処理化の成功の要因について、あらためて大橋副社長に伺った。
「オペレーターからは、FFGSさんの技術サポートがなければ無処理化を達成できなかっただろう、という声を聞いています。それほど現場が信頼していたということ。これが最大のポイントだったと思います。プレートそのものの性能も大事ですが、サポート力も含めたメーカーとしての信頼性がなければ、これだけ大掛かりな全面切り替えは成し得なかったでしょう」
 技術サポートの評価について、加藤部長がこう説明する。
「とにかく技術担当スタッフの知識量が凄いですね。だから説得力があるんです。疑問にはすぐに答えてくれますし、さすがにこれは難しいかなというお願いも『何とかします』と受けてくださる。不具合が出そうな場合でも先回りして抑え込んでくれるので、余計なステップを踏まなくても迅速に導入が進んでいきました」
 印刷会社からの受注をメインとする同社だけあって、最近は顧客から無処理プレートについて尋ねられることも多いという。そんなときは、自社の成功体験に基づき「迷わず富士フイルムのプレートをお勧めしています」と加藤部長。
「もちろん自分たちで実際に使ってわかったことを正直にお伝えするだけです。会社によって相性があるのかもしれませんが、当社は間違いなく富士フイルムの無処理プレートが最良の選択だったと確信しています」


■お客様プロフィール
株式会社アイカ Dream小牧工場
住所: 愛知県小牧市小牧原4-100
URL: https://www.printing-aika.com/

■関連リンク
完全無処理サーマルCTPプレート「SUPERIA ZD-Ⅱ / ZD-Ⅲ」の詳細はこちらから

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