FormMagic導入事例
富士フイルムのバリアブル印刷ソフト『FormMagic』は、2003年の発売以来、印刷会社・制作会社を中心に延べ700本以上、導入が進んでいるが、クライアント側でも、FormMagicを導入して印刷物を内製している例がある。富山県の自動車販売会社、ネッツトヨタ富山株式会社(本社:富山市新庄本町3-3-33、代表取締役社長:笹山泰治氏)もその1社だ。同社は8年ほど前から名刺やDMなどにFormMagicを活用し、制作のスピードアップを図るとともに、より効果的なプロモーションを実現している。具体的な活用方法やメリットについて、BR基盤強化本部 ワークスタイル変革グループ・浦泰宏氏、営業支援部 VC支援グループ・牧田里恵氏に伺った。
■DM制作のリードタイムの長さが課題だった
ネッツトヨタ富山は、富山県内に8店舗を展開する、トヨタ自動車の販売店。1968年に「トヨタオート店」として創立して以来、サービス品質の向上を追求し、高い顧客満足度を実現しており、全国のトヨタ系販売店を対象としたディーラー表彰制度で、数多くの受賞実績を持つ。
同社がFormMagicの導入を検討した背景には、二つの課題があった。その一つが、印刷物の納期。たとえば名刺では、注文をとりまとめて印刷会社に発注し、店舗に納品されるまで1週間程度かかっていた。通常はそれでも支障ないが、イベントなどで予想外に大量の名刺を使用することもあるため、必要に応じてすぐに作成できるよう、内製化を考えていたという。また、DMでは、企画してからデザインを決め、印刷・加工して発送するまでに3~4カ月かかっていたため、顧客へのタイムリーなアプローチが難しかった。
もう一つの課題は、DMの作成において、内容を顧客によって可変させることが困難なため、画一的なものになってしまうこと。FormMagic導入前は、ある程度まとまった部数をオフセットで印刷していたため、ターゲットを絞った少部数のDMやOne to OneのDMが打てなかった。また、宛名印字は各店舗で行なっていたため、その手間やクオリティも課題になっていたという。
「以前は、DMを企画してからお客さまに情報が届くまでのタイムラグが大きく、発送のタイミングも、店舗間でバラつきがありました。また、宛名はシールに印字して営業スタッフが手作業で貼っていたため、作業負荷が大きいだけでなく、位置が偏ったり、斜めになってしまったりと、見映えにも影響していました。こうした状況を改善するため、FormMagicを導入し、宛名印字や発送まで含めて本部で一括して内製できる環境を整えようと考えたのです」(浦氏)
■イメージバリアブルを駆使しサプライズ感を演出
FormMagicの活用はまず名刺からスタートし、その後DMへと展開。現在、一部のデザインを外注しているほかは、データ制作から印刷・加工、発送までの全工程を社内で行なっている。DMの場合、トヨタ自動車の基幹システムから抽出した顧客データをFormMagicで読み込み、レイアウト・面付け設定などを行ない、『DocuColor 7171 P』でカラー出力、断裁して発送する。
FormMagicのバリアブル機能を効果的に活かしている例として、新車を購入した顧客に送る「購入御礼DM」が挙げられる。表紙には購入された車種の写真を入れ、ナンバープレートの部分には、各購入者の実際の登録ナンバーをイメージバリアブルで組み合わせることで、サプライズ感を演出。中面・裏面には年間カレンダーや店長からのお礼のメッセージを入れるなど、「記念にとっておきたい」と思わせる内容になっている。
「やはりご自身が購入された車種とナンバーが入っているというのはインパクトがあるようで、お客さまからは非常に好評です。中には、『自分の車が宣伝に使われているのでは』と驚かれる方もいらっしゃいますが(笑)、仕組みをご説明すると喜んでいただけます。お客さまの反応の多さから、単に『DMが届いたな』で終わりではなく、きちんと見ていただけているのだということが実感できますね」(浦氏)
こうして受け取った人の印象に残るDMを送ることで、購入者との関係を深め、リピート率アップにもつなげているのだ。
また、同社が提供している「タイヤチェンジサービス」の利用者向けには、現在のタイヤの溝の状態(残量)を知らせるDMを個別に送付している。当然、溝の状態は個々の車によって異なり、必要に応じて買い替えの案内なども挿入するため、ここでもバリアブル機能が活かされている。
このように、宛名以外にもさまざまな要素を可変させ、より効果的なDMを効率的に作成することが、FormMagicの導入によって可能になった。ほかにも、商品の販促DM、イベント案内、スタッフの異動通知など、さまざまなDMでFormMagicを活用している。
新車を購入した顧客に送付している購入御礼DM
ナンバープレートの部分には、顧客の車の実際のナンバーをイメージバリアブルで記載している。
※上の写真のナンバーは架空ナンバーです。
■宛名印字のスピード・クオリティが格段に向上
FormMagicを使ったDMや名刺の内製化は、社内的にも、制作のスピードアップ、作業負荷やコストの低減など、さまざまな効果をもたらしている。FormMagicのオペレーションに携わっている牧田氏はこう語る。
「とくに宛名印字は、シール貼りに比べて格段に速くなりましたね。DMは月に2~3回発送しており、多いものだと2,000~3,000枚になるので、宛名印字の効率化だけでもかなりの負荷軽減になります。特定の車種のお客さまなど、ターゲットを絞ってDMを打つ場合も、基幹システムからデータを抽出してFormMagicに読み込ませるだけなのでほとんど手間がかかりません。万が一、間違ったデータを読み込んでしまっても、プレビューの段階で発見できるので、修正もかけやすく、事故防止にもつながっています」
また、FormMagicの導入によって、DMの制作から発送までを本部で一括対応できるようになったことも、大きなメリットになっているという。
「これまで、最終的にどのお客さまにDMを送るかは、各営業スタッフの判断に任されていました。しかし、営業スタッフが不要と思っても、お客さまにとっては必要な情報かもしれない。そう考えると、ビジネスチャンスを逃すことにもなりかねません。その点、本部で一括して発送まで行なう現在の体制では、会社の戦略に沿った、よりタイムリーで効果的なプロモーションができるようになっています」(浦氏)
さらに、浦氏は、「FormMagicによって、テンプレートをベースにガバナンスのきいた印刷物がつくれるようになった」と評価する。たとえば宛名のフォント。本来は指定された書体を使うことになっているのだが、以前は店舗によって違う書体で印字してしまうことがあった。FormMagicの運用開始後は、フォントの統一が徹底され、ブランドイメージの面でもメリットが出ているという。
DMだけでなく名刺に関しても、「必要なときにすぐに作成する」ことが可能になった。前述のように、イベントなどで大量に必要になった場合でも、その日のうちに追加分を用意することができる。また、各スタッフの名刺の裏には、FormMagicのQRコード作成機能を使い、LINE WORKS用のQRコードを掲載。顧客とのより密なコミュニケーションを実現している。
シール対応であった宛名印字が、FormMagicの自動処理によって大幅にスピードアップした。
■プロモーションツールとしてのDMの重要性は今後も変わらない
現在同社では、名刺やDMなどを担当する部署でそれぞれ1~2名がFormMagicのオペレーションに携わっているため、担当者の1人が不在のときに急ぎの作業が必要になっても対応が可能となっている。浦氏は、今後の課題として、FormMagicのより有効な活用方法を習得していきたいと語る。
「導入から8年ほどの間に、担当者が何度か交代していますが、基本的な機能しか引き継ぎできていないため、まだFormMagicの良さを充分に活かし切れていない部分もあるのではないかと思います。もっと魅力的な機能、効果的な使い方がいろいろあると思うので、FFGSさん、ゼロックスさんにレクチャーしていただき、使いこなしていきたいですね」
もちろん、現状でも導入効果は明確に表われており、浦氏は「制作物に関わるトータルの時間短縮、営業スタッフの作業負荷軽減が図れたことと、DMで個々のお客さまに確実にアプローチできるようになったことは大きなメリット」と評価する。
コロナ禍のいま、自動車販売店も顧客に対し来店を促しにくい状況ではあるが、同社は今後もDMを重要なプロモーションツールとして活用していく考えだ。
「コロナ禍以前に比べると、DMを打つ回数は若干少なくなっていますが、特定のお客さまを対象とした限定的な販促DMや、対象人数を絞ったフェアのご案内などは積極的に出しています。最近はWebでの告知も多くなってきてはいますが、やはりWebだけでは充分なプロモーションはできないと考えています。Webサイトは、お客さまの方から見に来ていただかなければ情報が届きません。当社に興味を持つ人がいなければ、いくら立派なサイトをつくっても伝わらないのです。ですから、興味を持っていただき、ファンになっていただくためのツールとしてこちらからお届けするDMを、しっかりと伝わるもの、見ていただけるものにしなければいけないと思っています」(浦氏)
■お客様プロフィール
ネッツトヨタ富山株式会社
住所: 富山市新庄本町3-3-33
URL: //www.netz-toyama.co.jp/
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