関西美術印刷株式会社様
学校アルバムや同人誌の厳しい
品質要求を満たす新戦力
生産効率も格段にアップし、
アルバム印刷の進行が劇的に早まった

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Jet Press 750S導入事例

増田役員
増田役員

関西美術印刷株式会社_社外風景学校アルバムやコミック・同人誌を手がける関西美術印刷株式会社(本社:奈良県奈良市西木辻町153−1、代表取締役社長:西田晴彦氏)は、2019年11月に富士フイルムのインクジェットデジタルプレス『Jet Press 750S』を導入し、主力品目であるアルバムや同人誌のほか、チケットや缶バッジ、小ロットの一般商業印刷物などに幅広く活用している。まだ運用開始から半年弱だが、品質や生産効率などの面で大きな効果が出ているという。執行役員 プロダクショングループ 部長・増田朋幸氏に話を伺った。


■品質に妥協せず、小ロットニーズに対応する

関西美術印刷は、1959年に創業した「奈良製本」を前身とし、1966年に学校アルバム専業メーカーとして設立。「信頼される製品づくり」を基本理念に掲げ、高度なカラー印刷技術・加工技術を活かした高品質な印刷物を提供している。90年代から、アルバムだけでなく同人誌や一般商業印刷も手がけるようになり、最近では、アニメやゲーム関連のグッズ製作などにも事業領域を広げている。
学校アルバムについては現在、主に写真館経由で約2,500校から発注を受けているが、1校あたりの部数は平均100部程度と、小ロット化が進んでいる。一方、同人誌は、もともと小ロットのものが多かったが、以前は表紙のみカラーの冊子が主流だったのに対し、最近は中身まで含めてフルカラー化が進んでいるという。いずれも、部数が少なく品質は高いものが求められる分野だ。こうしたことから、同社はオフセット印刷機に代わるデジタルプレスを検討していた。
「トナータイプのPOD機はすでに持っていましたが、アルバムや同人誌にはオフセット同等の印刷品質と高い色安定性が求められるため、これらの要件を満たすデジタルプレスの導入を考えていました」(増田役員)
検討を開始したのは2年ほど前。その時点では、Jet Pressは前モデルの720Sだったが、増田役員は「当時から、他のどのデジタルプレスよりも印刷品質が高く、オフセット印刷を超えていると感じていた」と評価する。
「高級美術印刷を強みとする当社としては、やはり品質に妥協はできません。その点、Jet Pressは、とくに学校アルバムの用途には最適な印刷機だと、早い段階から確信しました。ただ、薄紙を使った同人誌や、一般商業印刷での活用も考えていたため、用紙適性などを含めてじっくりとテストを重ねていきました。そんな中、同業他社さんでのJet Pressの活用実績が増えてきたこと、そして、新世代の『Jet Press 750S』が発表されたこともきっかけとなり、導入を決断したのです」


■クライアントにも知られている、Jet Pressの品質の高さ

Jet Press 750Sの運用は、まず学校アルバムの印刷からスタート。全体の約2割をオフセットから切り替えた。表紙はすべてJet Press 750Sで印刷している。増田役員は、「お客さまからは、品質に関して予想以上に高い評価をいただいている」と語る。
オフセットからの切り替えに際して、ネガティブな反応はまったくありません。すでにJet Pressの品質をよくご存じの写真館さんもいらっしゃって、『Jet Pressならいいよ』と、サンプルをお見せするまでもなくOKをいただくこともあるぐらいです。Jet Press 750Sは、顔の陰影などの微妙なグラデーションも滑らかに再現でき、色調も沈んだりせず明るく出るので、実際に仕上がりを見ていただいたときの反応も非常にいいですね」
関西美術印刷の社内でも、品質に対する評価は高い。アルバム印刷でとくにメリットを感じているのが、色安定性の高さだという。
「個人写真のページは、同じ背景の顔写真が何点も並びますが、Jet Press 750Sは色のブレが少ないため、すべての写真の背景を同じ色味で揃えることができます。それも、職人技で安定させるのではなく、誰が印刷してもブレない。また、アルバムの表紙やケースによく使われるグラデーションや平網でも、ムラが出るようなことは一切なく、いままで見たことがないほど美しい表現ができています。この品質はオフセット印刷を超えていますね」(増田役員)
導入効果は品質面だけではない。デジタルならではの瞬発力の高さによって、生産効率も大幅にアップした。これには、750mm×585mmというJet Press 750Sの用紙対応サイズも寄与している。
「版を焼く必要がなく工程が短縮されたことに加え、アルバムの表紙を2丁付けで印刷できるようになったため進捗が早くなり、全体のスケジュールを前倒しで進められるようになりました。表紙に関しては従来に比べ1カ月ほど早まっています。お客さまにも早期入稿をお願いするなど、いろいろな要因がありますが、印刷の進行を早められたことは非常に大きいですね」(増田役員)
今年に入り、Jet Press 750S導入後初めてアルバムの繁忙期を迎えた同社だが、残業時間も大幅に減り、削減目標内に収まっているという。
「例年はこの時期、何日か休日出勤もせざるを得ない状況になるのですが、今シーズンはゼロになる見込みです」(増田役員)
また、Jet Press 750Sの立ち上がりの速さは、ヤレ紙の削減、コスト削減にも寄与している。
100部のアルバムの場合、オフセットではどうしても100枚ほどのヤレが出てしまいますが、Jet Press 750Sではどんなに多くても30枚程度。同じ条件のジョブを連続で流せば10枚以下に抑えられます。残業時間削減と相まって、コスト面でも大きな効果が出ています」(増田役員)

生産効率の大幅アップ、ヤレ紙の削減などが、大きなコストメリットにつながっている
生産効率の大幅アップ、ヤレ紙の削減などが、
大きなコストメリットにつながっている

■同人誌では広色域の色再現がメリットに

一方、同人誌については、500部以下のものを中心にJet Press 750Sに切り替えている。とくに大きなメリットになっているのは、RGBデータの鮮やかな色にも対応する再現力だ。
「同人誌は、とくに表紙などはビビッドな色再現が求められますが、Jet Press 750Sのフルガマットモードを使うと、RGBの色域を最大限にカバーでき、グリーンやオレンジなどを鮮やかに再現できます。オフセット印刷では、高演色インキを使ったり、マゼンタインキに蛍光色を混ぜて特色をつくったりして色域を広げていましたが、Jet Press 750Sでは出力モードを変えるだけで対応できますので、より低コストで広色域の再現が可能です。これは大きな差別化要素にもなりますね」(増田役員)
また、同人誌では薄紙を多用するが、Jet Press 750Sの薄紙適性についても増田役員は高く評価する。
「これは720Sから750Sになって大きく改良された部分ではないでしょうか。750Sでは、90kgほどの薄紙で両面に印刷しても、カールや波打ちなどが起きないため、後加工もスムーズに進めることができます」
さらに、同社は同人誌に関連するグッズ類として、缶バッジの印刷もJet Press 750Sで行なっているが、そこでは、標準搭載される品質検査機能が威力を発揮しているという。
Jet Press 750Sの検査機能は非常に精度が高いですね。大手ゲームメーカーさんのキャラクターを使った缶バッジなどは、全数検品を行なうものもありますが、そうした検品作業の省力化も図れています」(増田役員)


■Jet Press 750S活用の新たな可能性を探る

同社はJet Press 750Sの活用範囲を着々と拡大しており、その品目は学校アルバムから同人誌、缶バッジ、小ロットの名刺やカード類まで多岐にわたる。単なる小ロット対応にとどまらず、バリアブルの商材にも活用を始めている。
「たとえば、展示会の招待券や入場券にナンバリング印字するようなケースです。いままではPOD機で出力していましたが、より高品質のものを提供するため、徐々にJet Press 750Sにシフトしているところです」(増田役員)
昨年からは、学校アルバムで培った印刷・加工技術を活かした新たなサービスとして、上製本の写真集を1冊からつくれる『Graful Book(グラフルブック)』というサービスを開始し、ここでもJet Press 750Sを活用している。
「写真館さんをはじめ、さまざまな業種のお客さまから引き合いをいただいており、受注拡大につながっています」(増田役員)
さらにこの春には、同人誌印刷に特化したWebサイトを立ち上げ、このサイトで受注した冊子はすべてJet Press 750Sで印刷する予定だという。
同社はこうした新サービスも次々と展開しながら、Jet Press 750Sの使用比率をさらに高めていく考えだ。
「全ジョブの50%ぐらいまでは持っていきたいですね。とくに学校アルバムに関しては、できれば100%移行したいと思っています。それだけ確かな手応えを感じています。Jet Press 750Sを活かせる商品は他にもいろいろあると思うので、既存の仕事の切り替えだけでなく、新しい可能性を探っていきたいですね」(増田役員)
高品質・高付加価値を追求しながら、時代のニーズに合った多様なサービスを提供する同社にとって、Jet Press 750Sは、これからのビジネス展開に欠かせない、中核的な戦力となっている。


■お客様プロフィール
関西美術印刷株式会社
所在地:  奈良県奈良市西木辻町153−1
URL: //www.imaibp.co.jp/index.html

■関連リンク
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