大同至高印刷株式会社様
プラスチック素材へのUV印刷~付加価値ビジネス成長に向けて~「無駄をなくす」「品質安定化」「高耐刷」に大きな効果

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完全無処理CTPプレート「SUPERIA ZD」導入事例

 クリアファイルや飲料ダミーパッケージなどの印刷・加工を手がける大同至高印刷株式会社(代表取締役:川瀬康輝氏、本社:愛知県名古屋市東区東大曽根町3-8)は、2017年春から富士フイルムの高耐刷・UV対応完全無処理サーマルCTPプレート『SUPERIA ZD』を導入し、年内を目標に「完全無処理化」を進めている。「プラスチック素材へのUV印刷」を主体とする同社において、『SUPERIA ZD』はどのようなメリットを発揮しているのか。川瀬康輝社長、制作部次長・中野圭氏、制作部プリプレス課課長・片岡弘典氏、生産部オフセット課課長・末次高朗氏に伺った。


■無処理化で品質安定化、無駄の削減目指す

 大同至高印刷は、1935年創業。80年代からプラスチック素材へのオフセット印刷の研究に着手し、94年以降、UVオフセット印刷事業を本格展開。現在では、柔軟な発想力と卓越した技術力、企画・デザインから印刷・各種加工までの社内一貫生産体制を活かし、飲料自動販売機用のダミーサンプルパッケージ、オリジナルノベルティグッズ、クリアファイル、クリアパッケージなど、独自企画商品を含めた多種多様な高付加価値ツールを提供している。
 同社が無処理CTPに着目した背景には、「無駄をなくす」という会社としての基本方針がある。これは、社員の行動指針にも掲げられているテーマの一つだ。
「基本方針に則してゴミを出さない。捨てるようなものをつくらない、使わない。これは、商品企画からデザイン、面付け、印刷・加工まで、すべての工程で徹底しています。無処理CTPは、現像に関わる薬品類や作業時間などが一切不要になる為、私どものこうした取り組みにマッチする仕組みだと感じました」(川瀬社長)

 『SUPERIA ZD』の導入は、中野次長から川瀬社長に進言し、現場主導で進めたという。具体的な導入の目的として挙げたのは、「品質安定化」「自動現像機に関わるコスト・管理負荷の削減」「CTP室の省スペース化」の3点。中野次長は、品質面についてこう説明する。
「現像処理があると、液の変動によって網点変部などの影響が出る可能性があります。この変動要因を排除して、品質のブレをなくしたい、というのが一番の狙いでした。網点再現を安定化させる一つの方法として、CTPの無処理化は非常に有効なのではないかと考えたのです」(中野次長)
 品質の安定化は、製品(印刷物)の価値を高めるだけでなく、材料や工数の無駄の削減に結びつく。加えて、自現機がなくなることで、関連する作業時間・コストの大幅な削減も図れる。同社はこうしたメリットに着目し、無処理CTPプレートの検討を進めていった。


■すべてのインキで高い適性を発揮

 これまで、大同至高印刷では富士フイルムの有処理プレート『XP-F』を使用し、幅広い条件に対応できる印刷適性や扱いやすさを高く評価してきた。そのため、無処理プレートの検討においては、「取り扱い性や再現品質がいかに『XP-F』に近いか」が焦点の一つになった。
「オペレーターが“刷りにくい”と感じるようなプレートでは導入を進めにくいですし、最初の一定期間は『XP-F』と併用することになりますから、やはりできるだけ同じ感覚で使える無処理CTPプレートが望ましかったわけです」(末次課長)

オフセット印刷機はハイデルベルグ社製『スピードマスターCD74』の他すべてUV機で揃えている

 使用しているすべての印刷機・インキについて、『SUPERIA ZD』の適性を検証したところ、結果はきわめて良好だった。同社が保有するオフセット印刷機はすべてUV機。原反はプラスチック素材が主体で、PP、PET、PVC(ポリ塩化ビニル)、植物系生分解性フィルムなど多岐にわたる。そのため、インキは、数種類のUVインキを原反によって使い分けている。中には、飲料ダミーなどの成型加工品用に高い耐熱性・延伸性を持たせた「成型インキ」や、屋外掲示物などに最適な耐候インキ、耐水インキなど、インキメーカーと共同開発した特殊なUVインキもある。新たに導入する無処理CTPプレートには、こうした難しい条件に対応できる性能が求められたが、『SUPERIA ZD』がそれを充分に備えていることは、初回のテスト印刷の段階で確認できたという。
インキとの相性、そのプレートで刷れるか否かという答えは、はっきりと出ます。適性がなければ、色出しの途中でわかってしまう。その点、『SUPERIA ZD』は、さまざまな条件に対応できる幅を持っており、どのインキでも1回目から意外なほどすんなりと印刷できました。また、他社版では機上現像による水の汚れに不安があったが、『SUPERIA ZD』ではその不安も解消された。『XP-F』も非常に万能ですが、『SUPERIA ZD』もそれに近い、優秀なプレートだなという印象を受けましたね」(中野次長)


■3万部を余裕で刷りきる高耐刷性

テストの結果が予想以上に好感触で、刷りやすさ、網点品質などの面で『XP-F』と同等の性能を確認できたことから、順次切り替えを開始。現在、全体の5割近くを『SUPERIA ZD』で印刷している。実運用での評価を、末次課長はこう語る。
水幅が広く、『XP-F』と同程度に水を絞っても汚れが出ないので、オペレーターからも『刷りやすい』と好評です。無処理プレートでこれだけの印刷適性を実現できているのはすごいことだと思います。また、「XP-F」と同等に安心して取り扱えるところも魅力ですね」

『XP-F』と同等の光量・スピードでCTP出力が可能

 さらに、中野次長は「高い生産性を維持できていることも大きなメリット」と語る。
セッターでの露光も『XP-F』と同じ光量・同じスピードで行なえますし、刷り出しの速さもほとんど変わりません。原反が高価なので最初に練習紙を何回か通すのですが、OK紙まで時間にして10~20分程度。機上現像を含めても『XP-F』とほぼ同じ時間で色が出ます」

 耐刷性に対する評価も高い。使用する原反の関係で1日に印刷できるのは最高で3万部ほどだが、その3万部を、『SUPERIA ZD』1版で問題なく刷りきっているという。
「日をまたぐ場合は、ハイライトの網が飛んでしまうなどのトラブルの可能性を考え、念のためプレートを交換しているので、実績としては現在のところ最高3万部です。それでも非常に安定していますから、実際には4万部ぐらいまで刷っても問題ないのではないかと考えています」(末次課長)
サポートに関しても、レスポンスの早さやアクシデント時の的確なサポートに満足しているという


■自現機の維持管理コスト「年間70~80万円削減」を見込む

 『XP-F』から『SUPERIA ZD』への切り替えは、季節変動などを確認するため1年ほどかけて段階的に進めており、現在、CTPは2ラインのうち1ラインのみ、自現機を撤去し無処理CTPプレート専用としている。今年一杯の運用で問題がなければ残り1台の自現機も撤去し、無処理CTPプレートに完全移行する予定だ。その意味ではまだ検証中の状況だが、現場ではすでにさまざまなメリットを実感しているという。
品質面では、現像処理がなくなったことによって網点の変動が抑えられ、印刷機側での色調整などの負荷が軽減されています。しかも網点の再現性が『XP-F』に近いため、リピートの際に『XP-F』から『SUPERIA ZD』に替えても品質が安定しています。いまは暫定的に有処理・無処理の併用になっていますが、印刷現場ではそれを意識せず、同じ感覚で使えています」(末次課長)

 製版工程でも、作業効率化・生産性向上などの導入効果が出ている。プリプレス課の片岡課長は、「自現機が1台減っただけでもメリットは大きい」と語る。
自現機のメンテナンスは、1台につき2人がかりでほぼ半日かかり、大きな負担になっていましたから、この作業負荷が半減したことは非常にありがたいですね。また、当社は24時間稼働ではないので、毎朝、自現機を立ち上げる必要があるのですが、液が適温になるまで30分ほど待たなければなりません。無処理化によってこの待ち時間がなくなったことも、生産性向上に大きく貢献しています」(片岡課長)

 さらに、現像液、ガム液、水垢防止剤などの薬品類のコストが1台分に減少。廃液の回収頻度・コストも半減している。川瀬社長によると、自現機を完全に撤去し、100%無処理化が実現すれば、現像に関わる維持管理コストとして「年間70~80万円の削減」が見込めるという。
 また、川瀬社長は、「廃液などの環境負荷の低減は、社内的メリットだけでなく、社会貢献にもつながっており、その点でも『SUPERIA ZD』導入の意義は大きい」と強調した。


■新技術を率先して導入し、さらなる成長を

社内一貫体制で制作しているプラスチック素材の独自企画商品

 「UV印刷+完全無処理CTP」のメリットにいち早く着目し、導入直後からさまざまな面で効果を挙げている大同至高印刷。同社は80年の歴史の中で、「大同至高にしかできない商品・サービスを考え、提案・提供する」という方針のもとに、新たな技術や設備を他に先駆けて導入し、独自のノウハウを築き上げ、差別化を図りながら成長してきた。今後もこの姿勢を貫き、品質や作業環境の改善効果、革新性、環境性、費用対効果などを見極めながら、新技術を積極的に採り入れていく考えだ。最後に川瀬社長はこう締めくくった。
「今回の『SUPERIA ZD』の導入で、CTPプレートもどんどん進化していることをあらためて実感しました。最近、印刷技術は飽和状態と思われがちですが、まだまだ、進化は続いていくと確信しています。当社も、決して現状に満足せず、新しいものを率先して採り入れながら、日々進歩していきたいと思います」


■お客様プロフィール
大同至高印刷株式会社
創業: 1935年
本社: 愛知県名古屋市守山区瀬古一丁目448番地
https://ddsp.jp/

■関連リンク
完全無処理CTPプレート「SUPERIA ZD-II」の詳細はこちら

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