株式会社光陽社様
無処理プレートとUV印刷の相乗効果で「攻め」の環境対応、「環境対応」「生産性向上」「品質向上」を同時に実現

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完全無処理CTPプレート「SUPERIA ZD」導入事例

千葉本部長

 株式会社光陽社(本社:東京都文京区湯島2-16-16、社長:犬養岬太氏)は、埼玉県飯能市の最新生産拠点『飯能プリンティングセンターBASE』において、このほど高耐刷・UV対応完全無処理サーマルCTPプレート『SUPERIA ZD』の運用を開始。すでに『SUPERIA ZP』で無処理化している油性印刷に続き、UV印刷も無処理プレートへの切り替えを進め、最終的には油性・UV含めた完全無処理化を目指している。無処理プレート採用の経緯や『SUPERIA ZD』に対する評価、現時点でのメリットなどについて、生産本部本部長・千葉達也氏に伺った。

■4年間の『SUPERIA ZP』運用で実感した“完全無処理化”のメリット

 光陽社は、1949年に大阪市で写真製版業として創業以来、高度な製版・カラーマネージメントのノウハウを活かしながら業容を拡大し、現在では企画・制作から印刷・加工までの一貫体制を構築。小ロットの商業印刷物をメインに手がけ、高い品質を求められる仕事も多い。独自開発のAM網点による高品位印刷『The Favorite』や、広演色プロセスインキによる広色域印刷などを駆使し、こうした高品質要求に応えている。
 また同社は、環境貢献の取り組みにも早くから力を入れており、使用済みCTPプレートのクローズドループリサイクル『Plate to Plate』への参加や、カーボンオフセットの推進、植物油インキの積極的使用などを通して、環境負荷の低減に努めてきた。こうした経緯から、無処理CTPプレートの導入にあたっても、「環境への貢献度」を重視して選定したという。
「当社では、4年前から富士フイルムの完全無処理プレートを採用しています。最大の決め手になったのは、アルカリ現像もガム処理も必要としない“完全無処理”という点です。つまり環境貢献度が最も高い。もちろん、環境負荷削減と同時に、品質の維持・向上も重要ですし、コストの削減、作業負荷の軽減も図りたい。これらを高い次元で達成できるのが、富士フイルムの完全無処理プレートだと考えています」(千葉本部長)

CTPは2ラインで、手前が無処理専用

 有処理プレートから無処理プレートへの移行は、印刷条件などの大きな変更もなく、スムーズに進んだと千葉本部長は振り返る。
「無処理プレートはネガタイプになるので、当初はカーブ調整に少々手間取りましたが、それ以外は何の問題もなく移行でき、有処理プレートの『XP-F』と同じ感覚で違和感なく本格運用に入れました
また、導入前に懸念していた機上現像による印刷機への影響や、有処理プレートと比べ視認性が低い点は、まったく問題ないと言う。
導入前には、機上現像の際、現像カスが印刷機に影響を及ぼすのではないかという懸念もありましたが、4年間使用してみて、その点はまったく問題ありませんでした。また、露光後のプレートが従来の有処理プレートと比べ視認性で劣る点も、出力前のデータ確認や色玉を多少大きくしたことで、これまで印刷事故は一度もありません。それよりも、現場の作業性向上やコスト削減など、無処理プレートによるメリットの方が、はるかに大きいですね

同社は油性とH-UVの両方式で印刷を行なっており、油性印刷は先行して完全無処理の『SUPERIA ZP』に統一し、すでにそのメリットの大きさを実感している。
「現像液やガム液といった薬品類を一切使わず、現像廃液もゼロになり、環境面でもコスト面でも明確な効果が出ています。現場からは、とくに“自動現像機の洗浄作業がなくなったことがありがたい”という声を多く聞きますね。オペレーターのストレス軽減など、“目に見えない効果”も大きいと感じています」(千葉本部長)

 品質や生産性についても、「XP-Fとまったく遜色のない性能が得られている」と千葉本部長は評価する。
「高精細の網点も忠実に再現でき、高品位印刷『The Favorite』にも問題なく運用できています。現像液という不安定要素がなくなった分、網点再現の安定性も向上しました。また、CTPセッターでの露光スピードもXP-Fと同等、刷り出しも15枚程度とスピーディーで、損紙が増えることもありませんでした。あらゆる点で違和感なく使えるところがいいですね」


■生産性や品質も有処理プレート同等で、無処理化移行もスムーズに

 油性印刷での『SUPERIA ZP』の運用実績を重ねたうえで、今回新たに導入した『SUPERIA ZD』について、千葉本部長は、『XP-F』や『SUPERIA ZP』の長所が引き継がれていることによる「導入のしやすさ・使いやすさ」を実感したと語る。
薬品、水、印刷機や露光の設定などをほとんど変えずに導入できるというのは、ZDの採用を決めた大きなポイントでした。現場では、小さな違いが作業に大きな影響を及ぼすこともありますから、この点はとても重要です。実際に、若干のカーブ調整を行なった以外は、露光から印刷まで、ZPと同じ条件で運用しており、オペレーターからも“違和感なく使える”と好評です」(千葉本部長)

主力の菊全判H-UV両面8色機

 機上現像も『SUPERIA ZP』と同じく15枚程度で完了。水も同程度に絞って印刷でき、汚れも出ないという。品質面でも、『XP-F』から『SUPERIA ZP』そして『SUPERIA ZD』まで一貫した仕上がりが得られるため、現在、一時的に3種のプレートの混用になっているにも関わらず、効率的な運用が実現している。
 また、『SUPERIA ZD』の耐刷性については、最高2万通しまでのテストを行ない、問題がないことを確認。取材時は高精細印刷のテスト結果がまだ出ていなかったが、千葉本部長は「ZPでの実績があるので不安はない」と述べる。


■UV比率拡大を見据え、『SUPERIA ZD』に統一へ

 昨今、短納期要求が厳しくなっていることなどから、同社では、4色カラー印刷物を中心に油性からUVへのシフトが進み、生産性に優れるUV印刷機の稼働率が急速に高まっているという。また、平均で3,000枚通し前後と、小ロットの仕事がメインとなっており、生産現場では、作業の無駄を省き、いかに効率よくジョブを回していくかが課題になっている。こうした中で、『SUPERIA ZD』の導入は、工程の短縮、工数の削減、品質の安定化などによって、UV印刷のメリットをより大きなものにしている。

 そして、油性・UV含めた「完全無処理プレートの全面採用」がいよいよ実現しつつある。同社は、最終的にはプレートを『SUPERIA ZD』に一本化したい考えだ。
今後さらにUV印刷の比率が高まっていくことは確実ですし、ZPもZDも同条件で運用できるとはいえ、やはりプレートは一種に絞った方が管理面でも効率的ですから、ZDに統一する方向で考えています」(千葉本部長)

 また、「完全無処理プレートによるUV印刷」のメリットを最大限に引き出すべく、FFGSの現場改善サポート『Eco&Fast Printing』の実践も始めている。より水を絞った印刷を目指しており、現場からは早くも「従来に比べて見当が合いやすくなった」という声が上がっているという。
「オペレーターがそういう印象を持っているということは、立ち上がりの早さにつながっているということですから、メリットとしては大きいですね。今後は用紙ごとの基準を数値で管理し、生産性や品質の向上だけでなく、印刷現場のさらなる意識向上にもつなげていきたいと考えています」(千葉本部長)

 最後に、同社の今後の展開について、千葉本部長は次のように語った。
「“環境”を一つのキーワードとして、生産性も品質も高めながら、今後も可能な限り無駄なものをなくしていく。まさにSUPERIAのコンセプトを、当社でも追求していきます。今後、市場全体でも、環境対応やコスト削減などの要望に応えていく中で、CTPの無処理化は必然的な流れとして進んでいくのではないでしょうか。実際にZP、ZDを導入した印象としては、それほど構えなくても有処理から無処理に移行できると感じましたし、さまざまな面で明確なメリットが得られます。冨士フイルムさんにはこれからも、印刷材料のリーディングカンパニーとして、プレート技術を絶えず進化させていっていただきたいと思っています」(千葉本部長)


■お客様プロフィール
株式会社光陽社
創業: 1949年
本社: 東京都文京区湯島2-16-16
https://www.koyosha-inc.co.jp/

■関連リンク
完全無処理CTPプレート「SUPERIA ZD-II」の詳細はこちら

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