岡村印刷工業株式会社様
オンライン連携で複数拠点間の
業務ばらつきを解消し、スムーズな制作フローを実現
他社攻勢から重要顧客を守り、
新規受注にもつなげるなど営業面でも大きなメリット

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岡村印刷工業様_MV

XMF Remote導入事例


岡村印刷工業株式会社様_社外外観 岡村印刷工業株式会社(本社:奈良県高市郡高取町車木215,代表取締役社長:岡村匡倫氏)は2019年7月、新たなセンターRIPとして富士フイルムの『XMF Complete』を採用すると同時にWebポータルシステム『XMF Remote』を採用して、導入後の2年間でインターネットを介して関西、中部、関東の3拠点間での運用の定着を段階的に進め、クライアントとの校正作業の効率化や、各事業所間での制作業務の平準化などを実現した。また、コロナ禍でのリモートワークにより高まるオンライン校正のニーズを取り込むことで、既存の重要顧客の囲い込み並びに新規顧客の開拓を進めている。XMF Remote導入の経緯、具体的な活用方法とその成果、今後の展開などについて、代表取締役社長・岡村匡倫氏、生産本部 メディアファクトリーズ 部長・片桐慎也氏、同本部 メディアファクトリーズ Tokyo クロスメディアセンター 係長・田村潤氏に伺った。

■プロモーションをトータルに手がける老舗印刷会社

 岡村印刷工業は1920年に創業し、昨年100周年を迎えた業界の誰もが知る関西地区の名門印刷会社である。奈良の本社工場のほか、大阪・東京・名古屋に営業拠点を持つ。2020年にトップが交代し、岡村匡倫氏が4代目社長に就任した。
 同社は、ポスター、カタログ、パンフレットなどの商業印刷物をメインに手がけるが、印刷だけにとどまらず、企業のプロモーション活動をトータルにプロデュースできることを強みとしており、家電、消費財、自動車、住宅設備機器、農機などの各メーカーをはじめ、金融機関、高級時計ブランドなど幅広い業種の企業を顧客にもち、各社より厚い信頼を得ている。
また、岡村と言えば高級美術印刷と言われるほど、文化財・芸術に関わる仕事も多く、美術館・博物館やなどの図録や仏像のカレンダーをはじめとする様々な高品質な印刷物を手がけるとともに古文書や、文化財をスキャニングしてデータ化するデジタルアーカイブや、レプリカ制作なども手がけてさらに石版画・銅版画を制作する版画工房の運営なども行なっている。
 一方で、最近では社員からの提案を取り入れて新規事業を精力的に拡充していることも、同社の特色の一つだ。たとえば、仏像や鹿、古墳など、奈良をイメージさせるものをモチーフにしたオリジナルグッズの制作・販売をしているが、これらの商品は6年前に東京事業所の社員からの提案で始まり、現在では、奈良県内の土産店や東京新橋にある奈良のアンテナショップ、ECサイトなどでも販売されている。
また、インターネットでの情報発信にも力を入れている。同社Webサイトからリンクする『超印刷』というブログでは、製造業としての既存印刷事業の枠組みを超えた新しいサービスの事例や商材などを紹介。また、岡村社長自身も『菱二私論』というブログを立ち上げ、経営やマーケティングに関する“私論”を展開している。
 このように、従来の印刷の枠にとらわれず、多角的な視点で新たなサービスを提供するとともに、トップ自らが率先し様々な情報発信に取り組んでいるのが同社の大きな特徴だ。


■「使い勝手の良さ」に魅力を感じ他社システムから切り替え

 XMF Remoteの導入にあたり、岡村社長は、すでに導入・活用している株式会社アサプリ(三重県桑名市)、服部プロセス株式会社(兵庫県神戸市)、作道印刷株式会社(大阪府東大阪市)、東洋株式会社(北海道帯広市)、株式会社昭和堂(長崎県諫早市)など、全国の多くのXMF Remote導入企業を次々と精力的に見学し、各社の経営者との懇談を行なった。その中で「営業が介在せずにクライアントと制作担当者が直接やり取りできる」「営業が創注・受注活動に時間を使えるようになる」「クライアントの囲い込みが図れる」といったメリットを実感し、また、これらの導入先が、全ての制作データを登録する「全ジョブ運用」により、実際にフル活用していたことから新たなセンターRIPとしてXMF Completeを採用することを決断して、同時にXMF Remoteの導入を決めたという。
私なりに現場の作業効率やコスト面などに課題を感じており、その課題の解決に活かせるのではないか、さらには差別化のためのツールの一つとしても使えるのではないかと考え、導入を決断しました」(岡村社長)
 同社はXMF導入前、他社のワークフローRIPを使用していた。XMFをセンターRIPとして導入する決定をしたのは、操作性が良く、これまでのように一部の製版担当者だけでなく多くの社員が使えるようにすること、VPN接続により事業所をまたいだ運用が可能になることが最大の理由だったという。
「以前のシステムでは、誰か1人が使っていると他のスタッフが同時に操作することができませんでしたが、XMFでは、本体のワークステーションではなく、全員が自分のPCで同時にオペレーションできるため、無駄な待ち時間をなくすことができます。メニューやボタンの位置などインターフェイスのデザインも以前のシステムより優れていると感じました。」(田村係長)
 また、RIPの更新と同時に導入を検討したWebポータルシステムの機種を決定するにあたり見学した企業のうち、岡村印刷工業が従来使用していたのと同じメーカーのワークフローRIPとWebポータルシステムの組合せに加え、富士フイルムのXMF Complete+XMF Remote、この2つのシステムの運用経験を既に持っていたのが、長崎県の昭和堂であった。同社は他社製Webポータルシステムの運用と顧客への提案活動を展開した経験を踏まえ、より一層、顧客に活用していただくために、最終的にXMF Remoteを導入することを決定したのだが、岡村社長は、この昭和堂からのアドバイスが導入検討の際に非常に参考になったと語る。
「昭和堂様には、XMF Remoteならではのメリットや運用方法などについて、さまざまなアドバイスをいただきました。実際に両方のシステムをご使用された上で、XMF Remoteで大きな成功を収められている、ということで、説得力がありましたね」(岡村社長)。

■複数拠点にまたがる制作作業もスムーズに

 岡村印刷工業では、大阪事業部で従来から使用していた他メーカーのRIPを運用しつつ、東京事業部に新たにXMF Completeを設置し、センターRIPとして運用している。大阪では、既存のRIPにもジョブを通すが、XMF Remoteを用いて運用するジョブについては、東京のXMFでRIP演算をして、大阪でプルーフ出力してから、最終的な下版まで行うという流れになっている。現在、制作・製版部門のスタッフの多くが定常的にXMF Remoteを活用している。
 XMF Remoteを導入したことで、同社では、「校正の進捗状況がリアルタイムに確認できるようになった」「修正指示が営業を介さず制作現場にダイレクトに伝わるため、より正確に反映できるようになった」
「修正前後の比較検版が効率よく行なえるようになった」「赤字コメントを後で確認しやすくなった」「営業が校正のためにクライアントを訪問する回数が減った」など、さまざまな効果が出ている。
 さらに、東京と大阪の制作・製版スタッフの業務を平準化することもできた。以前は、「東京は忙しいが大阪は余裕がある」、あるいはその逆の状況が生じることがあったが、こうした拠点間の仕事量のギャップをXMF Remoteによって埋めることができたのである。
 また、製版スタッフを置いていない名古屋営業所・奈良営業部では、以前は入稿された原稿を社内便で他の拠点に送っていたという。しかし現在は、XMF Remote上にデータをアップするだけで次の工程に進めるようになったため、よりスムーズな進行が可能になり、作業時間も大幅に短縮できた。
「名古屋で受注した仕事をXMF Remoteにアップし、大阪の制作スタッフが東京のRIPを使って作業するといったことが可能になったわけです。このような柔軟な仕事の進め方ができるのも、XMF Remoteの大きな導入効果の一つだと思います」(片桐部長)

作業光景

営業・制作・製版部門ともに作業の効率・精度が向上している


■クライアントの業務効率化に大きく貢献

 XMF Remoteを運用して頂いている企業の多くは同社の重要顧客であるが、中には新規に取引を開始したクライアントも含まれている。
XMF Remoteを活用しているジョブでとりわけ大きな効果を上げているのが、ページ物だ。たとえば、ページ数が300以上にも及ぶ冊子物の印刷物。2色刷りで、校正紙の提出が必要ないため、全ての校正業務がXMF Remoteによる、リモート校正のみで進めることができるという。また、あるパンフレットの仕事では、中身は共通で、価格だけを変更した地域版の制作にXMF Remoteを活用している。こちらも文字校正のみのため、校了・下版までXMF Remote上で完結する。この効率の良さ、使い勝手の良さは、クライアントからも高く評価されているという。
 XMF Remoteの活用は、クライアントの業務効率化にも大きく貢献している。あるクライアント企業では、担当者が東京・名古屋・大阪など複数の拠点に分散しており、以前は拠点間で紙の原稿をやり取りしながら作業を進めていた。しかしXMF Remoteの運用を開始してからは、各地の担当者が共通の画面を見ながらオンラインで打ち合わせを行なったり、他の担当者のコメントを見ながら赤字を書き込んだりすることが可能になり、校正の効率が格段に上がったという。
 一方、XMF Remoteが営業面で武器になり重要顧客の仕事の失注を回避できたケースも。
ある既存の、お取引先から『他の印刷会社からオンライン校正の提案があったが、御社でも、このようなシステムはあるのか』と尋ねられたことがあります。そのときはXMF Remoteをご提案することができ、無事に取引を継続することができました」(岡村社長)
さらに片桐部長は、新規受注につながった例を挙げる。
ある既存お取引先から、『業界の集まりで、オンライン校正の話が出たんだけれど、たしか、岡村印刷さんでも導入済みだったよね?』とお問い合わせをいただき、XMF Remoteをご採用頂いたケースもあります。リモート校正の普及率が高まってきていること、お客様の関心が高まっていることを感じています。コロナ禍で対面での打ち合わせが難しくなっているという背景も影響していると思います。」(片桐部長)


■お客さまに「使って良かった」と言われることを目指して

 岡村印刷工業では、いま、アフターコロナ時代を見据え、営業1人あたりの売上高を伸ばすための取り組みを進めている。打ち合わせや校正の回数を減らすことで、営業が創注・受注活動に注力できる時間を増やそうという考え方だ。XMF Remoteは、そのための強力なツールとなっている。同時に、生産現場での重要課題として、制作・製版工程のさらなる効率化にも力を入れている。
「印刷工程の原価のブレよりも、制作・製版工程の原価のブレのほうが、進め方によって大きく差が出ると感じています。したがって、この制作・製版工程を、XMF Remoteによって効率化・標準化することで、原価低減にも大きく寄与してくれる、と考えています」(岡村社長)
工程の効率性を把握・改善するために、XMF Remoteの活用を進め、担当営業ごと・クライアントごとの校正の出し戻し回数を見える化するように進めているという。
 一方、今後のクライアントへのXMF Remoteの提案について、岡村社長は、「お客さまに喜んでいただくことが何より重要だと考えています。それを実現するための有力な手段の一つが、XMF Remoteと捉えています。より多くのお客さまに喜んで頂くために、まだご提案できていないお客さまにも、積極的にXMF Remoteを提案していきたい」と語る。一方で、闇雲に採用数を増やそうとするのではなく、クライアントの課題を見極めた上で提案を行ない「使って良かった」と言われることを目指している。
「オンライン校正は、今後もさらに活用が進んでいくことは間違いありません。XMF Remoteを有効に活用して、より大きな効果を出していきたいと思います」(岡村社長)


■お客様プロフィール
岡村印刷工業株式会社
住所: 奈良県高市郡高取町車木215
URL: https://www.okamura-pic.co.jp/

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